とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

幻想的なホタル動画を撮る

こんにちは、sumizoonです。

ぼちぼち蛍の季節になりました。

 

そういや、以前、蛍動画を撮って見ようと思って試したことについて記載していきたいと思います。

一昨年、こんなのを撮ってYoutubeにアップしました。

 

これに関しては一部の方からどうやって撮るの?というご質問を頂きました。その後、撮影、編集のチュートリアルを作りましたので合わせてでご覧いただければ幸いです。

といわけで、この蛍動画の概要について少し解説したいと思います。

タイトルにある様に、これが幻想的なのか?という突っ込みはスルーさせて頂きますm(_ _)m

 

 

蛍動画に必要な機材

 α7SIIとかGH5Sとかの化け物級の高感度特性を持った機材が必要ではないの?と思われがちですが、実はそうではありません。

 上記撮影に使ったカメラはGH5です。高感度特性に関してはAPC-C機の方が圧倒的に綺麗ですし、撮ろうと思えばiPhoneでほぼ同等の映像を作る事すら可能です。実はこの映像はカメラの性能にはほぼ関係ない撮り方で撮っており「キモ」は撮影後の編集にあります。

ただし、どんなカメラでも良いかと言うとそうではありません。と言いながらも

少なくとも動画撮影時にシャッタースピードを設定できる事だけが必要です。そういう意味ではほとんどのカメラで撮れる、という事になります。逆に言うとシャッタースピードを設定できるアプリがあればスマホですら撮影が可能です。

そもそも多重露光が前提の撮り方をする

 これまた個人的な経験を書かせていただくと。。。ワンカットで合成無しに背景も綺麗に映しつつ蛍動画を撮るのは、ぶっちゃけ非現実的な撮り方だと思います。そもそもGH5Sやα7Sで撮ればそれなりに綺麗な動画が撮れるでしょうけど、かなり感度を上げて撮らなければならず、これらの機種を使っても蛍はあまり綺麗に撮れるとは思いません。

 それに蛍の乱舞する状況でしたらワンカットでもそこそこ目を引く映像が撮れると思いますが、都会から少し離れた水辺にいる蛍はそんなに多く飛んでいるわけでもないです。

インスタ写真とか見ると凄い飛んでるように見えるけど...

 インスタグラムやツイッターでこの時期にタイムラインを賑わす蛍の写真では「物凄い数の蛍が飛んでいる」様に見えます。実際そこそこ飛んでいるとは思いますが、かなり現実と異なるイメージの場合がほとんどだと思います。そしてこれらの写真に必要なテクニック(という程たいしたものでは無いですが...)が「比較明合成」というものになります。

 「比較明合成」は今更説明が不要な位使われている合成方法ですが、要は複数の写真を重ねて、ピクセル毎に明るい絵を採用する合成方法です。これを使うとたとえ飛んでいる蛍が1匹だったとしても2枚合成で2匹、100枚合成で100匹の蛍が飛んでいるかのような写真を作り出すことが可能です。花火撮影とかでも常套手段の撮影方法です。(これを写真と言うかどうかってのは別の議論ですけど、フィルム時代から多重露光という手法がありまして...以下略)

 というわけで、この比較明合成テクニックをそのまんま動画に転用して撮った映像が先に紹介した映像となります。ただしちょっとスチルの撮影方法とは異なる手法を取っています。ただしやり過ぎに注意です。あくまで人間の記憶や感覚に近い中で合成しないとめちゃめちゃ非現実的な動画が出来上がります。(上の動画もかなり非現実的ですけどね^^;)

複数のカットが必要

 前記のように比較明合成をするので当然複数のカットが必要です。わたしの場合は

①背景となる蛍が映っていない動画

蛍が映っている動画

 に分けて撮影しています。

①に関しては日没後の残照が残っているなんとか動画で背景が撮れる時間帯に撮影を行います。また、このカットで蛍が映っていないようにするのがポイントになります。

明るさがあるのでそこそこのカメラで十分撮影が可能です。

②に関しては蛍だけが映る様にします。蛍の明るさは明るいレンズを使えばISO800程度で十分に映ります。要は蛍の光だけが映ればOKです。

①に関しては最悪の場合はスチルでも問題ありません。これは後述するチュートリアル動画の中で説明していますがすべての映像は

完成映像=①+複数の②

という合成になります。

①に関しては人が映っていたりするのも面白いと思います。

必ずフレームレートにおける最低シャッタースピードを使用する

私は開放シャッターという表現をしていますが、この呼び方が動画界隈で共通なのかどうかは不明です。たとえば30fpsで動画を撮影する場合は1/30のシャッターとする。24fpsの場合は1/25もしくは設定が可能であれば1/24のシャッタースピードに設定することが必要です。これは上記動画の後半で出てくる蛍の光跡を表現するのに必要な設定となります。これもチュートリアルの中で説明をしています。②の映像は必ずシャッタースピードはフレームレートの逆数にして撮影してください。

三脚は必須

これに関してはどんなものでも構わないと思います。以前紹介している8,000円以下のこういう三脚でもOKです。特にパンするとか言う事もしないですし最悪はどっかの台の上に置くとかでも全然アリです。

 

編集で複数を明合成(スタック)する

初心者の方には少々敷居が高いと思われがちですが、全然そんな事はないです。

DaVinciResolveとかは無料ですし、FinalCutProXとかでも簡単に行えます。

下記のチュートリアルではFinalCutProXでの合成方法に関して紹介していますがAdobe PremiereやDaVinci Resolveでも同様です。

手順を書こうと思いますたが、ここは動画を見てもらった方が早いとおもいますので動画リンクを貼ります。

※余談ですが、DaVinci Resolveは無料で使えるプロが使う動画編集・カラーグレーディングソフトです。モーショングラフィックも扱えて頭おかしいんじゃないの?というくらい機能がてんこ盛りなのに無料配布されています。

有料版も存在しますが、その違いはノイズリダクションやOPEN FXが使えるかどうかぐらいです。よく勘違いされてますが、4Kの読み込み、書き出し、手振れ補正、カラーグレーディングは無料版でも使えます。


蛍動画の制作方法

4K撮影が便利

この時に使っていたカメラはご存知GH5ですが、やっぱりこの手の動画を撮る際には4Kで撮るのが後からパンやチルトの効果を作るのに便利です。暗い中で固定で撮るのが前提なので後からトリミングするにも高解像度データの方がやっぱり便利なのです。

てなわけで、ざっくり紹介した蛍動画ですが、今年も機会があれば撮影してみたいと思います。

撮影の注意点

暗い中でも撮影になりますが、撮影する際は背面液晶にカバーを付けるなどして光漏れに注意しましよう。私は黒い布で完全遮光して撮影しています。蛍は光に影響されやすく、こちらが光を発することで寄ってきたり逆に遠のいてしまうことがあります。駐車している車にハザードランプなどにも過度に反応します。自然をそのままにそっと環境を乱さないためにも撮影には十分注意しましょう。スマホライトやフラッシュ、ビデオライトの使用は以ての外です。

最悪設定で背面液晶を見ないといけない場合はGH5/GH5S/G9では背面液晶を赤色にするナイトモードがありますのでそれを使うと便利です。(本来は星景写真をとるために使う人の目に優しい表示モードになります。)

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ナイトモードを使うと目に優しくきっと蛍にも周りにも優しいはず

 

ではでは次回

 

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