とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

インスタ映えスポットに思う事

 こんにちはSUMIZOONです。

 この手の記事を書くかどうか結構迷ったんですが書いてみます。また、これは特に誰かを否定しているわけではないです。私も時代は違えど写真映えするスポットに夢中になっていた時期があります。

インスタ映えを考えさせられるきっかけ

 昨日行われた伊根町の花火大会を私も見に行きました。

 この伊根町は舟屋の町として、近年多くの人の知るスポットとなり中でも花火大会の日はインスタ映えするスポットとして多くのカメラマンから注目されるようになりました。

 私はこの伊根町の花火大会に8年ほど前から毎年行っていますが、この1,2年は写真をマトモに撮影しなくなりました。ただ単純に都会の花火大会に比べて見物客の人口密度が低くゆったりと鑑賞できる、そして昼間は伊根町の街並みを楽しむ事ができる、ごった返す事無くお祭り気分を味わえる。その目的が今では主で見に行く様になっています。(まぁもちろん撮影もするんだけど、ガツガツ場所取りにいそしんでまで撮る事はしなくなりました。)

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舟屋と花火が同時に撮影できる(撮影は2015年)

 で、なぜ撮らなくなったのかというと、近年見られる下記の様な状況に辟易したからという点もあります。その光景を見てなんか違う。。。。と思うようになりました。

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 伊根の舟屋と花火が絡むスポットは非常に少なく、私も数年前まではこのポジションを取るために朝早く出かけて場所を確保していました。なので、この場所取りに関して私はあれこれ言える立場にはありません。ですが、この手の場所取りまでして撮影することをやめた理由を自分なりに振り返ってみたいと思います。

多くの人が撮るポジションで撮っても面白く無くなったから

 結局ここからのポジションで撮るテッパンの構図、焦点距離ってのがあって、多くの方はそれで撮影していると思います。ですが、初見でみると「おお!」ってなりますが、それって写真を撮る観点で言うと結構面白く無い事で、結局撮影できるのは所謂定番の「ポスターみたいな写真」になるからです。


日本で最も美しい村 京都伊根 花火大会(2015年に動画撮影)

 もちろん、多くのカメラマンが集まる場所で見知らぬ人たちと知り合いになったり情報交換したりっていうのは凄く楽しい事ではあるし、そこで得られるものはかなり有ります。でも、そういったポジションでは、何かカメラマンの意図が感じられる写真とかアイデアがある写真は撮り難く、「どこかで見た写真」「誰かが撮った写真とそっくり」に陥りやすいと感じています。。テッパンの写真が美しく撮れる半面、誰かの作品と似た写真になりやすいという点でこのポジションで撮ることは今後もう無いかも...と思っています。

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こちらも近年大津の花火大会で有名になったスポット(2012年撮影)

 そしてそれらは、後で見返すと、なんでこん所で撮ったんやろ。。。となります。となります。例えば、これを撮った比叡山ドライブウェイの夢見が丘展望台、この撮影ポイントは昔は駐車場代はタダでしたが、今年は1万円だったそうです。うーむ...この手の写真をどこかで誰かに見せようものなら、「ああ、あそこで撮ったのね。高い金払って。。。」と、人によっては思われかねない写真となりますし、今は自分でも思います。


[4K]びわ湖花火大会 2017

 とは言え私も一昨年は撮りました。この場所は夢見が丘展望台の様な駐車場代が必要な場所ではなく、無料ではありますが、その代わり超望遠が必要な場所になります。でも見る人によっては↑と同じ印象を持たれるだけかなと。。。綺麗っちゃ綺麗なんだけどやっぱどうよ?と見返して感じます。

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神戸花火大会の有名スポット(2012年撮影)

 神戸の花火大会の撮影スポットは近年ではカメラマンエリアというのが一般とは別に設けられるようになりました。でもここからの撮影も夜景と花火という「面白みの無い写真」を撮っていました。

 別に迷惑がかからないなら多くのカメラマンが集まるスポットで撮るのにはなんの否定もしないですが、個人的な経験から、ポスターみたいで、どっかで見た写真だ...となるんですよね。

そしてなんか恥ずかしくなる

 いや、わたしが人と違う写真、映像を撮れるかっていうと、そんな事はないですし偉そうな事は言えないのですが、何か多くのカメラマンが集まるスポットで撮る事自体が恥ずかしくなって来たのです。(工夫をするにしても、観客をいれて雰囲気を出すとかそういうバリエーションしか考えられんし。)特に私がライフワークにしている伊丹空港の千里川での撮影も近年多くのカメラマンでにぎわう様になりましたが、最近はそこでも何故か「撮ってて恥ずかしい」感覚に襲われます。

 結局は多くのカメラマンが思っているように「人と違う写真、映像」が撮りたいと思っているからかもしれません。だからこそ他の人が撮っているエリアに魅力を感じないのかもしれません。まぁでもそれが撮れないことがほとんどなんですけどね。

  なーんて事を書きながらも、最近撮ったエアフォースワンも多くのカメラマンの中の一人としてちゃっかり撮ってるんでねぇ。。。いろいろ自己矛盾しているわたくしではあります。(まぁ、そこでしか撮れない雰囲気や被写体は確かにあるので、私もインスタ映えスポットは行きますが。。。。)


[Air Force One/G20]エアフォースワンの機体が美しすぎた 伊丹空港

 そしてその恥ずかしさに苛まれた挙句テイクオフは自分なりを探してみて↓の映像の撮影となったわけです。自分なりに満足はしていますけど、それでもこの映像も数年後に改めて見返すと恥ずかしい映像となるかもしれません。。


エアフォースワンまさかの逆ランテイクオフ 伊丹空港

カメラマン以外の人に迷惑が掛かるから

 前述の伊根の花火大会のポジションは舟屋と花火を美しく撮れる場所であると同時に、美しく花火を鑑賞できるスポットでもあります。ですが、この通り花火が始まると最前列は完全にカメラマンで埋め尽くされると思います。残念ながらカメラマン以外の人はこのポジションから花火を鑑賞することは難しいかと思います。ここでの花火鑑賞を楽しみに伊根町に来たけど多くの三脚で埋め尽くされて見えないという観光客の方も多いのではないかと想像すると、このポジションでの撮影はいずれ禁止になる可能性もあるかもしれません。そしてその方がよいのかもしれません。

 また、夢見が丘展望台に関しては数年前からありえないほどの料金を徴収する様になりましたが、それは一般の人がただ花火を鑑賞するにはあまりに高い金額です。(まぁそれ以前に昼前にはカメラマンの車で駐車場が満車になって普通に鑑賞できないです。)

 インスタ映えの裏には多くの人に迷惑をかけているというケースがあると思います。なので余計にそういったエリアには近づかなくなりました。

カメラマンに対する世間の目が厳しくなっているから

 昔は多くの観光地では三脚の撮影は許されていました。また、京都の石塀小路とかは数年前に明確に撮影禁止になったと記憶しています。そりゃまぁ生活道路で声を上げつつ無許可でブライダルの撮影とかをしてたり、ワイワイと写真を撮る人が増えて行ったらそうなりますやね。自分が当時、そうでは無かったかと言うと自信はないです。そういう意味で撮影禁止になった要因を作った一人かもしれません。

 すごく貴重な場所だし美しい街並みですが、残念ですが、ここでもたとえスナップであっても撮影はNGになっているはずです。同様に南禅寺でも近年はブライダル目的の撮影が多いためトラブルが絶えないという話を耳にします。(結局ブライダル絡みの撮影は今では禁止になったはず)

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最後に撮影したのは5年以上昔だったかと思います

 カメラマンがこぞって集結するスポットはそれだけで世間の目は自ずと厳しくなりますし、付近住人の方や純粋に観光を楽しむ観光客の方にに迷惑が掛かると撮影禁止になるケースは少なくないです。と同時に世間のカメラマンに対する風当たりは強くなるばかりです。単純に場所を長い時間占拠するだけでも、他の方からしたら邪魔以外のなにものでもないですから単独行動をしていたとしても考えないといけないと思います。

まとめにならないまとめ

 風景やイベントと撮るに際しては、誰にも迷惑の掛からない自分が納得できる自分なりのスポットを見つけるって事ができればいいのですが、実際はそんなに甘くはないです。そんな場所あったら誰かが見つけてるし仮にそんなものがあったとして、そのスポットは今の世の中あっというまに拡散されます。そしてまた、そこにカメラマンがこぞって集まる。さらに行き過ぎると撮影がNGになる。もしくはビジネス的に使えると判断したそのエリアの所有者はお金を徴収するという流れが見受けられます。

 そこを思うとなんだか写真や映像を撮ること自体、例えは悪いですが、イナゴの大群みたいでどうなのよと...なにかこれを書いているのが夜だからかポジティブな方面に思考が回らないようです。

 まとまりがないですが、そうは言いながらも自分なりの写真・映像を探求して行けたら良いなと思っている今日この頃です。(ちと乱暴ですが、もう寝ないと明日の仕事に響く...)

 というわけで、来週も写真・映像を撮るぞ!(意味不明)