とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

S1Hのダイナミックレンジは13.8STOP!

Cinema5DがS1Hのダイナミックレンジのテスト結果を発表していました。私もS1Hを使い始めて2週間程ですが、S1Hの記事になるとつい目にとまります。

www.cinema5d.com

 これについては、お友達のトモさん(S1H所有)が分かりやすくソッコーでまとめてくれてツイートしてくれてました。

てなわけで、私もちょっとこの事について書いてみようと思います。

 

Cinema5Dでのダイナミックレンジ測定について

Cinema5Dではいわゆる反射型ではなく、21f-STOPのチャートの背面から光源を当てる透過型チャートを使用したダイナミックレンジテストをしており、これを標準のダイナミックテストとして位置付けています。詳しくはここ読んでね。チャートの明るい側(の2つめ)がクリップした所からどれだけダーク側の階調がノイズに埋もれずに撮影できるかという視点でレンジを測定しています。

https://www.cinema5d.com/wp-content/uploads/2018/10/Xyla-21.jpg

https://www.cinema5d.com/the-cinema5d-camera-lab-is-back-dynamic-range-tests/

 

S1Hのダイナミックレンジは13.8STOP

で、結果はというと下記の様です。測定はV-Logガンマを使用した際の結果になります。メーカー公称値が14+STOPなのでやや低く出ていますが、大概のメーカーの公称値よりCinema5Dの測定値は低くでる傾向にある様です。

https://www.cinema5d.com/wp-content/uploads/2019/10/Lab-Results-Panny-S1H-1-640x344.jpg

https://www.cinema5d.com/panasonic-s1h-lab-test-dynamic-range-and-rolling-shutter-results/

他のカメラは?

比べないとよくわからんという方は下記を参考に。ちょっと古いデータですが。尚、下表のBMPCCは4Kじゃなくて初代ポケシネのデータになります。

 https://www.cinema5d.com/wp-content/uploads/2018/10/recent-results-640x815.jpg

https://www.cinema5d.com/jp/the-cinema5d-camera-lab-is-back-dynamic-range-tests/

尚、最新のBMPCC6Kもここにテスト結果が乗っていますが表になっていなかったので表に示すと下記の様になります。

BMPCC6K Rec.Format ISO D-Range
SNR=1 SNR=2
Super35mm 6144x3456(16:9) BRAW3:1 25p 400 12.9 11.8
3200 11.3 10

https://www.cinema5d.com/jp/blackmagic-pocket-cinema-camera-6k-lab-test-dynamic-range-latitude-rolling-shutter-more/

ちなみにCinema5Dでは、ある時から1/SNRSNR=1、1/SNR=0.5をSNR=2として記載するようになりました。信号とノイズレベルが同じになるという定義で測定したレンジがSNR=1で信号とノイズレベルが2:1という定義のもとに測定したものがSNR=2となり、後者の測定の仕方が厳しめな測定と言えます。

Cinema5DによるとSNR=2での12.7STOPってのは過去に測定したARRI Alexaの14STOPに次ぐ値との事で非常に高い評価をしている様です。

 

また、実際の感覚を書いておくと、私が併用しているGH5/GH5S/BMPCC4Kよりも明らかにレンジが広がったと感じます。それは数値を見る前から強く感じていたものです。

GH5=10.8/GH5S=11.7(ここの記事からBMPCC4Kは低ISO側で12.7STOPと読める)と比べると2~1STOPの差ですが、明らかにレンジは異なると感じます。意外と1STOPの差というのは人間の感覚としてはかなり大きいのかもしれません。

 

まとめと自論

 以上、ダイナミックレンジに関してでしたが、自論を書かせてもらうなら、実際の映りは当然ながらダイナミックレンジだけで決まるものではありません。カメラの諸性能(色再現やノイズレベルやノイズの形状)などはもとより、そもそも被写体、演者さんや光線状態、撮影者のスキル、はたまた運など多くのファクターで決まるものですし、むしろカメラが映像のクオリティを決める要素は大きくは無いと思います。

  ですが、結構、撮影が難しい(照度が暗いとかレンジが要求される被写体)条件ってのはモロにカメラの性能が出ます。絵にするのが難しいギリギリの条件の時こそレンジの差は目に見えて現れるもので、そういう条件でこそ、「この性能」がより活かされるのかなと思います。私は絵にするのがギリギリの条件でこそ、誰も見たことの新たな映像が撮れると思っちゃっている馬鹿野郎なので、時に、このカメラじゃないと撮れない映像を模索してみるのも楽しいんじゃないかと思う今日この頃です。(まぁそれもカメラの楽しみ方の一つよねぇ)完全にカメラファーストな考え方だなこりゃ。。。

 とりあえず、前回に引き続き、制作中のYoutubeではまだ公開していない、限定公開のS1H作例を貼っておきます。このカメラの実力はまだまだこんなもんじゃないと思っています。


S1H firstlook β Ver. 

 それと、このカメラ、画質(とその大きさ^^;)に注目が集まっていますが、このカメラの神髄は画質と共にその機能美にあると思います。少し使い込んでいるうちにそれが分かってきました。それについては後日書こうと思います。すごい考え抜かれたカメラだという事に使い込む程に気づきます。まだまだ浅いわワシ。。。

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そんなマニアックな部分については、おいおい書いていきたいと思います。