こんにちはSUMIZOONです。
S1Hの長期レビューの続き第二回目になります。
画質編になります。とりあえず、説明動画はこちら
S1Hレビュー②【ガチのシネマカメラも超える!? 動画画質に関して】
この動画では特にダイナミックレンジとS/Nに関して言及しました。短い尺の中で色々書けなかった部分に関して今回は書いてみたいと思います。
動画画質という尺度に関して
画質と言うとかなり主観的な要素がありますが、動画画質に関しては現状S1Hを超えるミラーレス一眼は存在しないと思います。※そもそもこのカメラはいわばシネマカメラとも言えますので、ミラーレス一眼の括りで比較すること自体が間違っているとも言えますが、メカシャッターも付いてるし、一眼の形してますしね。。。
画質と言うと評価軸はかなり範囲が広く、「ダイナミックレンジ」、「色再現性」、「S/N(ノイズ耐性)」は当然ですが、動画の尺度となると加えて「時間的分解能」、「空間的解像度」「撮影ファイルフォーマット/Bit数」が加わると考えています。後者3つは機能的側面と考える方も多いと思いますが、画質を左右する大きなファクタですので私は画質を下記の様に6の軸で捉えています。
「レンジ」→一枚のフレームで高照度から低照度部まで映るか
「色再現」→変に偏った絵にならないか
「S/N(ノイズ耐性)」→高ISOに限らずノイズが乗らないか
「時間的分解能」→高いフレームレートに対応するか
「解像度」→高い解像度のフォーマットで撮れるか
「撮影ファイルフォーマット/Bit数」→撮影データのカラーサンプリング方式及びBit数
作例動画
まぁ、難しい事はわからんって方のために、これくらいは苦労なく撮れてしまうという作例を貼っておきますので参考までに。パンニングとかはそれなりに経験が必要ですけど撮影に特別な事はしていません。
動画画質は複数のファクタの掛け算
たとえば、「レンジ」が高く、「色再現」が完璧で、「S/N(ノイズ耐性)」が非常に高い「空間解像度」4Kで撮れるカメラであったとしても15pしか撮れない「時間的分解能」のカメラでは全てをスポイルしてしまいます。これでは動画機では無いと言えます。24pなら映画的な動画を撮るギリギリですけどね。
また、仮に「レンジ」が高く、「色再現」が完璧で、「S/N(ノイズ耐性)」が非常に高い「空間解像度」4Kの「時間的分解能」30pが撮れるカメラであったとしても「ファイルフォーマット」がダメダメならミラーレス一眼で撮る意味が低くなってきます。
ポスト処理でグレーディンまで追い込みたいという事を考えると、10Bitのデータが欲しくなりますし、合成処理をする場合は4:2:2のクロマサンプリングが欲しくなります。
となると各々のファクタは足し算では無く、どちらかというと掛け算で決まる事となるかなという感覚です。
名だたるカメラを比べてみる
私が動画撮影カメラとして所有している機材を各評価軸で比べてみます。
・Panasonic LUMIX GH5
・Panasonic LUMIX GH5S
・BlackmagicDesgin BMPCC4K
・SONY α7S
・Panasonic S1
・Panasonic S1H
GH5 | GH5S | BMPCC4K | α7S | S1 | S1H | |
ダイナミックレンジ | △ | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ |
色再現 | △ | ◎ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ |
S/N | △ | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ |
時間分解能 | ◯ | ◯ | ◯ | △ | ◯ | ◯ |
空間的解像度 | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ |
撮影フォーマット/Bit数 | ◯ | ◯ | ◎ | △ | ◯ | ◎ |
まぁ本来この手の評価にはそれぞれのファクタに重み付けが必要ではありますが、とりあえず表を単純に縦に足し算したものと、掛け算したものを数値化してみます。まぁ掛け算した数値が画質の価値っていうなら案外感覚的には外れてなくもない気もする。
あくまで私の主観も入っていますが、画質軸で考えるとやはりS1/S1H系が飛びぬけます。 α7Sはフルフレーム4K30(外部Rec)での撮影が可能ですが、今となっては意外と常用感度ではノイジーな機種です。最高感度設定こそ凄いものの、私の許容する感度は概ねISO3200~6400でそれだとGH5Sとあまり変わらないんですよね。。
◎を5/◯を4/△を3としています。
GH5 | GH5S | BMPCC4K | α7S | S1 | S1H | |
ダイナミックレンジ | 3 | 4 | 4 | 4 | 5 | 5 |
色再現 | 3 | 5 | 4 | 4 | 5 | 5 |
S/N | 3 | 4 | 4 | 4 | 5 | 5 |
時間分解能 | 4 | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 |
空間的解像度 | 5 | 4 | 4 | 4 | 5 | 5 |
撮影フォーマット/Bit数 | 4 | 4 | 5 | 3 | 4 | 5 |
足し算ポイント | 22 | 25 | 25 | 22 | 28 | 29 |
掛け算ポイント | 2160 | 5120 | 5120 | 2304 | 10000 | 12500 |
まぁあくまで試しに数値化してみただけですので、参考までに
他のカメラは?
所有していないカメラを評価するのは無責任なので、表にして比較する事はやめようと思います。かと言って↑の表も主観評価ではありますけどね。ですが、とりあえず思うことを書いておくと。。。
α7Ⅲに関しては4K24pのフォーマットだけで撮る限りはコスパが高い機種だと思いますが、4K30pだとクロップされる状態です。残念ながら一切10Bitでは撮れません。大きくグレーディングすることは破綻に繋がるので4K30pまでの撮って出しに近い状態でよいならお勧めです。
また、一眼動画という新たなジャンルを開拓したCANONは少なくともEOS R系に関しては4K動画に対してかなりのクロップファクタとなり残念ながら4K撮影機としては他に比べて比較対象としては弱いです。FHD動画及びスチル機としては良いと思います。
X-T3はこの尺度でだと上位に入るはずです。レンジ作例を見ている限り広く、10Bitや4K60pが撮れる点からも優秀ですしS/Nも高いはずです。(使った事ないけど。。)
S1Hの画質
レンジが広く、解像度も高い、それでいてノイズ耐性も非常に高く、ほぼ全ての撮影で10Bitが使える。Super35mmにクロップされるが4K60pで撮れる。というのは概ねお分かりと思います。それよりなによりハイライト付近の描写が綺麗です。なんというか太陽光がフレームに入っていてもそのハイライトからクリップするまでのトーンの滑らかさというか自然さというか、一切の不自然さが無いのはS1/S1HのLogを弄って凄く感動した部分です。(S1は現状のファームにするとS1Hとほぼ同じ絵になりますが、60pの10Bitは内部収録不可なので結局S1Hが良いんですよね。。)
なんやかんや、上でウダウダ書きましたが、こういった尺度で数値化して比べること自体ナンセンスだと思います。(ここまで書いといて今更言うかと言われそう…)
そもそも映像って官能的なものであって複雑に絡み合って人間の感情に訴えかけるモノですし単純な数値化は困難だと思いますけど、美しい映像を撮りたいって方は一度は触ってみた方がいい機種だと思います。
なぜ私がS1/S1Hに移行したか
私がαから移行してGH5/GH5Sを使ってきたのは一部の方はご存知だと思います。
その理由は4K60pや10Bit対応など、LUMIXは新しい技術が盛り込まれるのが他のカメラに対して圧倒的に早いからという点があります。4K60pが撮れるので4K30pで50%もしくは4K24pで40%スローが使えるって言うのは映像を作る中では圧倒的なアドバンテージなのです。
そして、GH5Sでのノイズの少なさ、10Bitのグレーディング耐性や色に惚れ込んでいます。そのGH5Sの上を行くS1/S1Hの絵を見たかった、という単純な欲求ももちろんあります。GH5Sがフルサイズ化されたでけでワクワクしますしね。そして孤高のHのつくヘンタイカメラが出たら気にならないはずは無いです。
加えて、現実に目を向けると、それ以上にGH5SとS1/S1Hのマルチカムを考えた場合、各素材の色が全機種でほぼ一致しているというのが何気にポイントです。GH5Sをサブ機に考えた場合にも全く違和感なく混ぜられるという点があります。ここぞって時にボケや階調性を活かしたS1H/S1を使いちょっとしたカットにGH5Sを使うという使い方が非常に楽です。ほぼ同じグレーディングパラメータでワークフローに複数カメラを労せず乗せられるというのがなにより大きいです。
先日GH5S/S1/S1Hの3台で画家の荻野綱久氏の撮影をさせて頂いたのですが、この3台での撮影が如何に楽かを改めて思い知った次第です。
【S1H/S1/GH5S】荻野 綱久 ライブペイント "SANCTUARY"
ではまた次回に。いろいろ書きたいことはあるけど、先は長い。。。。
②動画画質←今ココ
③撮影機能のヘンタイ的側面
3-1 動画撮影フォーマット
3-2 手振れ補正のレベル
3-3 ISOオート時のリアルタイムISO表示
3-4 スポット輝度メーター
3-5 カスタムメニューの仕掛け
3-6 赤枠REC表示
3-7 電子接点の無いレンズの手振れ補正設定
3-8 分割撮影機能
④外装的なヘンタイ側面
4-1 チルトバリアングル
4-2 冷却ファンがヘンタイ
4-3 前面、上部に配置されたRec専用ボタン
4-4 タリーランプ
4-5 ツイスト防止穴
4-6 液晶の明るさ
4-7 肩液晶表示
4-8 撮像面マーク(距離基準マーク)
⑤その他