本日2020年1月7日、キヤノンから発表になったEOS 1D X MarkⅢについて書きます。
まだ触ったわけでもないし発売もされてもいない事をスペックを見ながらアレコレ妄想して書くだけのエントリです。尚、発売は2月中旬となっています。
https://cweb.canon.jp/eos/lineup/1dxmk3/
↑の「誰も見たことのない世界へ。」とは毎度そそるキャッチコピー考えるなぁと思います。
この画像は明らかにオリンピックのスタジアムを意識した背景な感じですし、このカメラと白い大砲が東京オリンピックにズラリと並ぶ事は想像に難くありません。
夏になればオリンピックの写真をこれでもかという程、目にするでしょうが、多くがきっとこのカメラで撮られる事になるんでしょうね。
とは言え私の場合はスチルの方に注目するのではなく、その動画機能について着目していきたいと思います。
- 豊富な撮影フォーマットと記録時間の目安
- RAW動画のフォーマット
- 撮影画角
- 5.5Kからのオーバーサンプリング
- 気になる制約事項
- フォーカス方式
- 連続記録
- ボディ内手振れ補正は?
- 記録形式
- お値段
- まとめ
https://cweb.canon.jp/eos/lineup/1dxmk3/
豊富な撮影フォーマットと記録時間の目安
とりあえず、オフィシャルページで目につくのがその記録フォーマットの多さです。とりあえず、フォーマットとビットレートを記載すると共に、各カードでの記録可能時間を計算してみました。
[Canon Log: OFF] | 記録レート | 256Gカード | 128Gカード | 64Gカード |
5.5K RAW(59.94p/50.00p) | 約2600Mbps | 約13.4分 | 約6.7分 | 約3.4分 |
5.5K RAW(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p) | 約1800Mbps | 約19.4分 | 約9.7分 | 約4.9分 |
4K DCI(59.94p/50.00p)/ALL-I | 約940Mbps | 約37.2分 | 約18.6分 | 約9.3分 |
4K DCI(59.94p/50.00p)/IPB | 約230Mbps | 約152.0分 | 約76.0分 | 約38.0分 |
4K DCI(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/ALL-I | 約470Mbps | 約74.4分 | 約37.2分 | 約18.6分 |
4K DCI(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/IPB | 約120Mbps | 約291.3分 | 約145.6分 | 約72.8分 |
4K DCIクロップ(59.94p/50.00p)/ALL-I | 約940Mbps | 約37.2分 | 約18.6分 | 約9.3分 |
4K DCIクロップ(59.94p/50.00p)/IPB | 約230Mbps | 約152.0分 | 約76.0分 | 約38.0分 |
4K DCIクロップ(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/ALL-I | 約470Mbps | 約74.4分 | 約37.2分 | 約18.6分 |
4K DCIクロップ(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/IPB | 約120Mbps | 約291.3分 | 約145.6分 | 約72.8分 |
4K UHD(59.94p/50.00p)/ALL-I | 約940Mbps | 約37.2分 | 約18.6分 | 約9.3分 |
4K UHD(59.94p/50.00p)/IPB | 約230Mbps | 約152.0分 | 約76.0分 | 約38.0分 |
4K UHD(29.97p/25.00p)/ALL-I | 約470Mbps | 約74.4分 | 約37.2分 | 約18.6分 |
4K UHD(29.97p/25.00p)/IPB | 約120Mbps | 約291.3分 | 約145.6分 | 約72.8分 |
Full HD(119.9p/100.0p)/ALL-I | 約360Mbps | 約97.1分 | 約48.5分 | 約24.3分 |
Full HD(59.94p/50.00p)/ALL-I | 約180Mbps | 約194.2分 | 約97.1分 | 約48.5分 |
Full HD(59.94p/50.00p)/IPB | 約60Mbps | 約582.5分 | 約291.3分 | 約145.6分 |
Full HD(29.97p/25.00p)/ALL-I | 約90Mbps | 約388.4分 | 約194.2分 | 約97.1分 |
Full HD(29.97p/25.00p)/IPB | 約30Mbps | 約1165.1分 | 約582.5分 | 約291.3分 |
Full HD(29.97p/25.00p)/IPB(軽量) | 約12Mbps | 約2912.7分 | 約1456.4分 | 約728.2分 |
[Canon Log: ON] | ||||
4K DCI(59.94p/50.00p)/ALL-I | 約1000Mbps | 約35.0分 | 約17.5分 | 約8.7分 |
4K DCI(59.94p/50.00p)/IPB | 約340Mbps | 約102.8分 | 約51.4分 | 約25.7分 |
4K DCI(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/ALL-I | 約470Mbps | 約74.4分 | 約37.2分 | 約18.6分 |
4K DCI(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/IPB | 約170Mbps | 約205.6分 | 約102.8分 | 約51.4分 |
4K DCIクロップ(59.94p/50.00p)/ALL-I | 約1000Mbps | 約35.0分 | 約17.5分 | 約8.7分 |
4K DCIクロップ(59.94p/50.00p)/IPB | 約340Mbps | 約102.8分 | 約51.4分 | 約25.7分 |
4K DCIクロップ(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/ALL-I | 約470Mbps | 約74.4分 | 約37.2分 | 約18.6分 |
4K DCIクロップ(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/IPB | 約170Mbps | 約205.6分 | 約102.8分 | 約51.4分 |
4K UHD(59.94p/50.00p)/ALL-I | 約1000Mbps | 約35.0分 | 約17.5分 | 約8.7分 |
4K UHD(59.94p/50.00p)/IPB | 約340Mbps | 約102.8分 | 約51.4分 | 約25.7分 |
4K UHD(29.97p/25.00p)/ALL-I | 約470Mbps | 約74.4分 | 約37.2分 | 約18.6分 |
4K DCI(29.97p/25.00p)/IPB | 約170Mbps | 約205.6分# | 約102.8分 | 約51.4分 |
Full HD(119.9p/100.0p)/ALL-I | 約470Mbps | 約74.4分 | 約37.2分 | 約18.6分 |
Full HD(59.94p/50.00p)/ALL-I | 約170Mbps | 約205.6分 | 約102.8分 | 約51.4分 |
Full HD(59.94p/50.00p)/IPB | 約90Mbps | 約388.4分 | 約194.2分 | 約97.1分 |
Full HD(29.97p/25.00p)/ALL-I | 約135Mbps | 約258.9分 | 約129.5分 | 約64.7分 |
Full HD(29.97p/25.00p)/IPB | 約45Mbps | 約776.7分 | 約388.4分 | 約194.2分 |
Full HD(29.97p/25.00p)/IPB(軽量) | 約18Mbps | 約1941.8分 | 約970.9分 | 約485.5分 |
https://cweb.canon.jp/eos/lineup/1dxmk3/spec.htmlのビットレートからカード内に記録可能な時間を計算
例のカメラ程ではないですが、あれを思い起こさせるほどフォーマットが豊富です。結構エグイ。。ちなみに少し気になる点はRAWの
5.5K RAW(59.94p/50.00p) | 約2600Mbps |
5.5K RAW(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p) | 約1800Mbps |
という記載。RAWの場合はフレームレートとビットレートは比例するのが一般だと思います。ProResもそうだったはず。ところが60p(59.94p)と50pが同じビットレートでその70%(1800/2600Mbps)が29.97p~23.98pです。おそらくRAWなので時間方向の圧縮は行っていないのではないかと推測しますので、1フレームレートあたりの圧縮を行っているフォーマットという事になります。まあ、非圧縮RAWなんて一言も書いてないしね。。
そもそもの記録フォーマットがCanon LogのON/OFFで分かれているのが少し興味深い所。尚公式ページを見る限りはCanon Logでの撮影はRAWを除くすべてのフォーマットで10Bit記録が可能になっているとの事です。
RAWを除くCanon Log:OFFの表は8Bit時のビットレートで記載されていて、Canon Log:ONの場合は10Bitのビットレート時の記録レートが記載されているのではないかと推測しています。なので下の表を書いてみたのですが。。。イマイチ傾向がわからん。。。
まあ圧縮コーデックのアルゴリズムなぞ私には全然理解できないので、あれこれ書くのもどうかとおもいますのでやめときますm(__)m。単純な10/8=1.25なんていう単純なものではないのでしょうけどLogの方がレートが落ちているフォーマットがあるのは何故なのだろう。。
MODE | Log:OFF | Log:ON | ON/OFF比率 |
4K DCI(59.94p/50.00p)/ALL-I | 940 | 1000 | 1.1 |
4K DCI(59.94p/50.00p)/IPB | 230 | 340 | 1.5 |
4K DCI(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/ALL-I | 470 | 470 | 1.0 |
4K DCI(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/IPB | 120 | 170 | 1.4 |
4K DCIクロップ(59.94p/50.00p)/ALL-I | 940 | 1000 | 1.1 |
4K DCIクロップ(59.94p/50.00p)/IPB | 230 | 340 | 1.5 |
4K DCIクロップ(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/ALL-I | 470 | 470 | 1.0 |
4K DCIクロップ(29.97p/25.00p/24.00p/23.98p)/IPB | 120 | 170 | 1.4 |
4K UHD(59.94p/50.00p)/ALL-I | 940 | 1000 | 1.1 |
4K UHD(59.94p/50.00p)/IPB | 230 | 340 | 1.5 |
4K UHD(29.97p/25.00p)/ALL-I | 470 | 470 | 1.0 |
4K DCI(29.97p/25.00p)/IPB | 120 | 170 | 1.4 |
Full HD(119.9p/100.0p)/ALL-I | 360 | 470 | 1.3 |
Full HD(59.94p/50.00p)/ALL-I | 180 | 170 | 0.9 |
Full HD(59.94p/50.00p)/IPB | 60 | 90 | 1.5 |
Full HD(29.97p/25.00p)/ALL-I | 90 | 135 | 1.5 |
Full HD(29.97p/25.00p)/IPB | 30 | 45 | 1.5 |
Full HD(29.97p/25.00p)/IPB(軽量) | 12 | 18 | 1.5 |
RAW動画のフォーマット
そもそもキヤノンのシネマEOSシリーズではCinema RAW Lightというコーデックが採用されている機種があります。
https://cweb.canon.jp/cinema-eos/special/c200/cinema.html
なのですが、どうも見ている限りEOS 1D X MarkⅢが採用している動画のRAWフォーマットはこのコーデックなのか否かの情報がありません。いやCinema RAW Lightを採用していたら書くと思うので違うんでしょうかね。。。
Cinema RAW LightフォーマットであればDaVinci Resolveが対応※している事もあり、そのままDaVinciを使ったカラーグレーディングのワークフローの載せられる可能性もありますが、現状はまだはっきりしません。※いろいろ調べるとCamera RAWには対応してなさそうですが読込みや通常のグレーディングには対応してそうです。
というかオフィシャルのページを見る限りは
「※ RAW動画は「Digital Photo Professional」で現像処理を行うことができます。」
https://cweb.canon.jp/eos/lineup/1dxmk3/feature-movie.html
とあります。いや、DPPも悪いソフトではないけど動画の現像とグレーディングでは流石にワークフローに乗らないのでは。。。という気がします。さらに独自RAWフォーマットだったりすると実質カラーグレーディングが出来ないという事になってしまいますので、そこらへんがどうなっているのかが非常に気になります。
これに関しては後日情報が分かれば記載していきたいと思います。
撮影画角
静止画画角が5472x3648というピクセル数に対してほんの少しクロップされた状態が4K UHDとなります。当然3840x2160よりも多い画素数からの4K UHD画像を生成するわけですので、後述するオーバーサンプリング処理が行われます。
https://cweb.canon.jp/eos/lineup/1dxmk3/feature-movie.html
5.5Kからのオーバーサンプリング
公式ページには下記の記述があります。5.5Kのデータから4K DCIを生成すると記載されています。(4K UHDの場合は5.5Kよりも若干少ないハズ)
つまり全画素読みからのオーバーサンプリング処理を行うという事になります。尚4K UHDクロップ画角では同オーバーサンプリング処理はされず、ピクセルバイピクセル読みを行うため、ディベイヤによる解像度劣化が生じると思われます。
https://cweb.canon.jp/eos/lineup/1dxmk3/feature-movie.html
最近の多くの機種がこのオーバーサンプリング処理を搭載する中、EOS Rはオーバーサンプリングを行ってなかったハズなのでキヤノン機としてはこれが初なのではないかと思います。
気になる制約事項
スペック表と説明書きを見るといくつか目に止まる点があります。それは
・RAW動画撮影時はAF及びフォーカスガイドが使用できない。
・4K60p/4K50p及び4K DCI(クロップ)設定時はAFが使用できない。
という点。まぁ個人的には撮影中のAFが効かないのは全然問題ないと思います。(というか普段からあまり使わないですし。。。)ですが、これが撮影前のワンプッシュAF自体が不可能だとするとちょっと面倒です。4K60pでAF効かせてトラッキングしたいぜ!って方には少し残念な仕様かもしれませんが、そもそもそんなにAFって要る?っていう気もします。
RAWと4K60pの撮影前、ワンプッシュAFが可能かどうかについては、実機に触れる機会があったら是非試してみたいと思います。
フォーカス方式
キヤノンお得意のデュアルピクセル CMOS AF方式です。全部が位相差画素を兼ねる的なやつです。なので動画AFとしても結構優秀な部類なのではないかと推測します。
ただし、前述の様に4K60p/50pの場合とRAW及び4K DCIクロップ時はAFが不可能との事。これはエンジン側の制約なのかセンサ側の制約なのか。。4K DCIクロップ時にもAFが効かないという仕様から、いろいろ想像できそうなので少し考えてみたいと思います。
連続記録
いわゆる熱停止や関税絡みの29分59秒縛りがあるのかという事ですが、これに関しては現状オフィシャルページには記載が見当たりません。関税絡みの29.59秒記載がないという事は、きっと30分以上は撮影が可能だという理解です。また、ボディも大きく排熱もきっとしっかりしているので長時間撮影にも耐えうるのでは?と想像しています。
ボディ内手振れ補正は?
「5軸補正に対応した、動画電子IS」との記載がありますが、これはEOS Rも含めて意外と勘違いしがちですが、これはボディ内手振れ補正では無く、カメラに搭載されたジャイロによるブレ情報を元に動画記録時にブレ補正を行うというものだという理解です。なのでこの動画電子ISをONにすると基本的には画角が狭まります。
記録形式
Logの10Bit時は圧縮はMPEG-4 H.265/HEVC、記録形式はHEVCのみとなっています。非Logの場合はMPEG-4 H.264/AVCとの事。
軽い気持ちでLogの10Bit記録だぜイェーイとか言って撮ってると、後でPCでの編集・再生が重すぎて大変になるという事が起こりうるので注意しましょう。(てか、このカメラで動画撮るツワモノにはそんな注意は不要だと思うけど。。。)
お値段
直販価格ではボディのみで80万円(税抜)との事。実質ほぼ90万円近いです。
これを高いとみるか安いとみるか。
まとめ
一言で言うとバケモノです。私が使っている例のカメラもバケモノ(というかヘンタイ)ではありますが、動画フォーマットだけを見る限りは同じ様にこのカメラもバケモノだと思います。ぶっちゃけこんな動画機能を積んでくるとは想像していなかっただけに驚きました。さらにS1H(4K60pはSuper35mmにクロップ)では達成していないフル画角の4K60pをAFが出来ないながらも搭載している点は凄いです。
ここでは言及していませんが、スチル機能の性能向上部分と合わせて「とにかく全部詰め込んだ」感があります。秒間16コマの連写といい感度向上といい、高耐久シャッターユニットと言いまさにキヤノンのフラッグシップここにあり、といった感じです。
個人的にはこのスチル機能をカットした動画寄りのモデルを少し安く出してほしいと思います。その反面、多くの方はここまでの動画機能要らんから少しでも安くしてほしい!という声が聞こえてきそうです。おそらくこのカメラを使う大半の方は動画機能を使用しないと思いますしね…
EOS Rが発売された際に、キヤノンは一眼動画は力を入れないんだなという印象を受けたのですが、ここへ来てこの変貌ぶりは「どういう事???」と思える機種です。
てなわけで、最後になりますが、賛否を呼びそうなこの動画機能ですが、実際の所どこまで動画撮影に便利に作られているかという点は今の所分かりません。この動画機能・性能は実際触ってみると撮れるけどいろいろ使い勝手が悪く「使えねー」となるかもしれませんし、一方でSONYのFX9を脅かす一眼レフシネマカメラとなるかもしれません。とにかく気になる機種が発表されたもんですわ。。。
ではでは