動画カメラとしてマイクロフォーサーズを使うならG9がコスパ最高であると言う話。
意外と知られていない話ですが、LUMIX G9は昨年11月に超大型のファームウェアアップデートがなされており、10bit撮影が可能になりました。
https://panasonic.jp/dc/products/g_series/g9pro.html
このアップデートですが、動画の撮影時間こそ4K30p:30分/4K60p:10分といった制限はあるのもの、それ以外を見るとGH5を超える仕様となります。
手振れ補正はGH5よりも上であり、カラーサイエンスはG9/GH5Sを境に変更されており、加えてGH5よりも高感度に強いと言う評価が多く、画質はGH5を超えるものとなります。
私はマイクロフォーサーズ機はGH5Sをメインに使っていますが、G9はGH5Sを補完するいい機種と思えたため、この記事を書いてみます。
- 動画目的で考える4つのLUMIX比較
- 手振れ補正
- 絵作りの差
- 4K30p10bit撮影が可能
- GH5に出来てG9に出来ない事 連続撮影時間/XLRアダプタ/ALL-I記録
- 使い方によってはGH5よりも良い
動画目的で考える4つのLUMIX比較
てなわけで、動画撮影を考えた場合に主要なスペックを、それぞれ比較してみました。
比較項目 |
LUMIX GH5 |
LUMIX GH5S |
LUMIX G9 |
LUMIX G99 |
有効画素数 |
2033万画素 |
1028万画素 |
2033万画素 |
2030万画素 |
Log撮影 |
オプション |
プリインストール |
オプション |
プリインストール |
10bit撮影 |
○ |
○ |
○ |
X |
4K60p (内部8Bit記録) |
○ |
○ |
○ |
X |
ALL-I記録 |
○ |
○ |
X |
X |
手振れ補正 |
○ (5段) |
X |
◎ (6.5段) |
○ (5段) |
カラーサイエンス |
旧世代 |
最新 |
最新 |
最新 |
最大撮影時間 |
4K30p 無制限 4K60p 無制限 |
4K30p 無制限 4K60p 無制限 |
4K30p 30分 4K60p 10分 |
4K30p 無制限 |
ベクトルスコープ |
○ |
○ |
オプション |
X |
波形モニタ |
○ |
○ |
オプション |
X |
4K60p10bit |
HDMI出力可能 |
HDMI出力可能 |
HDMI出力可能 |
X |
XLRアダプタ対応 |
○ |
○ |
X |
X |
重量 |
645g |
580g |
586g |
484g |
発売日 |
2017.3.23 |
2018.1.25 |
2018.1.25 |
2019.5.23 |
価格 |
¥191,211 |
¥253,396 |
¥114,054 |
¥99,900 |
SFU1考慮価格 |
¥200,821 |
ー |
¥123,664 |
ー |
ポイントを5つ挙げるなら、下記の通りです。
・絵作りがGH5の世代から更新されている
・手振れ補正が他のLUMIXと比べて強力
・4K30p10bitの撮影が可能
・4K60p10bitの外部撮影も可能
・価格がGH5に比べて8万円近く安い
尚、平均価格は14万円ですが、下記Amazonとかだと税込12.5万円を切っている様です。
手振れ補正
G9が飛び抜けている点としては、手振れ補正です。
https://panasonic.jp/dc/products/g_series/g9pro/dual_is.html
一言にボディ内手振れ補正といっても、各社、カメラ毎に手振れ補正の効きはかなり異なります。が、G9の手振れ補正は60mm域であれば単体(レンズ側のOISを使用しない)状態で6.5段と言うエゲツない手振れ補正が可能です。
https://panasonic.jp/dc/products/g_series/g9pro/dual_is.html
少なくともGH5には搭載されていないセンサもしくはアクチュエータが搭載されており、これにより強力にブレ補正を行う様です。
余談ですが、G9にはハイレゾショットと言うセンサーシフトを利用して超高解像度のスチル撮影を行う機能がありますが、GH5には搭載されていません。おそらく、このブレ補正の機構の違いによりGH5には搭載できないものと推測します。そもそもセンサーや機構が搭載されていないためにGH5ではファームアップで対応しようにも出来ないと言うのが実状だと思います。
絵作りの差
LUMIXはGH5以降に明らかに絵作りを変更しています。GH5以降のLUMIXは人肌が凄く綺麗に撮影出来る様になった他、マゼンターからシアンにかけてのグラデーションが非常に諧調豊かになったと感じます。特に夕暮れの空を撮影するとその違いは感じる事が出来ます。これは私がGH5とGH5Sを同時に使用した時の感想ではありますが、多方面で伺うとやはり、GH5S以降では絵作りを変更しておりG9でも同様に変更した、と言う話を伺いました。
私の感じたGH5/GH5Sの絵作りの違いは、下記の3次元色コントロールに起因したものかどうかは分かりませんが、明らかに違います。
https://panasonic.jp/dc/products/g_series/g9pro/high_image_quality.html
また、スチルを撮っている方の多くの方が、GH5とG9を比べた場合、圧倒的にG9の方が良いと言う意見があり、動画の映像に関してもこれは同様だと多います。
また、高感度特性も含めてGH5より上、と言うのが定説の様です。
4K30p10bit撮影が可能
ぶっちゃけ書くと10bit撮影はLog撮影で色を弄る時以外はほぼ必要は無いです。
逆にLog撮影を行うなら10bitは個人的には必須だと思っています。Log撮影ではオプションのアップグレードキー「DMW-SFU1」が必要になりますが、10bit Logのグレーディングに最適な映像が撮影出来てしまいます。
てか、この機能をG9に搭載した事自体、私には衝撃でした。もうヤケクソアップデートやん。。。
↓ではGH4専用と記載されていますが、GH5/G9に使用可能です。
ついでに、G9ではHDMI出力時は4K60pの10bitを出力出来るので、Ninja Infelno/Ninja Vなどの外部レコーダーを使えば4K60p 10bit撮影が出来ます。なお、未確認ですが、この外部収録の場合は、時間制限はもしかして無いのでは?と推測していますが、どなたかご存知の方教えてください。
GH5に出来てG9に出来ない事 連続撮影時間/XLRアダプタ/ALL-I記録
G9の唯一の残念ポイントは4K撮影時の時間制限がある所です。なので、ライブなどで長回しをするには不向きです。おそらく4K30pに関しては30分の制限はあるものの、撮影を再開すれば無制限に撮れるものと推測しますが、4K60pは10分と言う制限がある事から、熱で止まる可能性が高いと思います。
おそらくGH5とG9の60gの重量差分と言うのはここら辺の熱設計に起因しているのではないかと思います。
とは言え、普段は4K30pで撮影を行い、スローモーションなどのスポット的な使いからをすると言うスタイルなら、この4K60p 10分制限も気にならないかもしれません。
またGH5/GH5Sでは対応しているXLRアダプタが使えない様です。なのでXLRマイクを使用したいと言う方は注意が必要です。
さらにALL-I記録が出来ない点も違いではあるのですが、これは通常のLongGOP撮影と差がわかる人はほとんどいないと思います。そもそもALL-I記録はイントラコーデックとも呼ばれ時間方向の圧縮が無い記録方式ではありますが、元々、LUMIXのLongGOPも民生機としては言うほど低ビットレートでは無いので、その映像の差がはっきり分かる人はいないと言う理解です。それよりもALL-I記録はデコード時にPCに負担が少ないと言うメリットの方が大きいのかと思います。が、メディアコストも考えて、普段は私も基本はLongGOPで撮影を行っています。
なのでどうしてもALL-Iじゃ無いといやだと言う方以外は支障は無いと思います。
使い方によってはGH5よりも良い
10bit撮影が出来て、手振れ補正が強力、高感度も絵作りもGH5より好ましいとなるとGH5がG9よりも秀でている点は連続撮影時間だけと言う事になります。
それくらい思い切ったアップデートをG9に搭載しており、「出し惜しみせずに全てを搭載した」と言う感想です。
連続撮影時間制限に関しては出し惜しみではなく、GH5の様な堅牢な熱設計を行っていないためだと思いますが、この連続撮影さえしなければ、GH5よりもG9をオススメします。
連続撮影時間の無制限のために差額8万円の価値を感じる人はもちろん居るでしょう。
でもちょっとした映像作品を作る程度であれば問題は無いかと思います。
今が最安値であるG9ですが、気になっている方はぜひ検討してみては如何でしょうか。
ではでは
筆者:SUMIZOON
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOONをアップしている人