最近はLogで映像を撮るという人が多くなったと思いますが、初めてLog撮影をしたときに、なぜ最低感度が高くなるの??と思ったことは無いでしょうか。
かくいう私も初めてLog撮影したときに、最低感度がISO100のカメラなのにISO400ってどうなのよ??と思った人です。
今回は、この謎を考えてみたいと思います。尚、ここから書く話は私の推測も多分に含まれていますので鵜呑みにせず、他のサイトなどでも調べる事をお勧めします。
とは言え、このLog撮影だと最低感度が高くなる理由に関して、明確に書いているサイトは見たことが無いんですよね。。。
それぞれを撮り比べてみる
結論から書くとLUMIX Sシリーズの場合LogのISO640は通常プロファイルのISO100相当という事になります。
論より証拠。という事で下記にLog撮影時にRAW+JPGで撮った画像を貼ります。シャッタースピードと絞りは全て同条件でISO感度とプロファイルのみの変更して撮影しています。
※LUMIXのGH5S移行のLog撮影可能機種ではスチルの撮影時にもLog撮影が可能になっています。その際にRAWも撮影が可能になっていますのでこういった比較が可能です。(余談ですがLog設定でスチルを撮影してRAW現像するという撮り方は事故のもとなのでおすすめしません。その場合はかなりの露出補正を余儀なくされ結果、画質低下を招きます。)
次に示すのがスタンダードプロファイルで撮影した画像です。照度条件は上の撮影時と全く同じです。
ついでにISO640で撮影したスタンダード設定も比較のために貼っておきます。
最後にLog(ISO640)で撮ったJPGにRec709のLUTを適用したものを示します。
先ほど書いたようにLogでISO640で撮影した時のスチルのRAWは通常プロファイル(スタンダード)でのISO100と完全に一致します。その証拠にRAWレベルでのヒストグラムは完全に一致します。
Log(ISO640)撮影時に出力されるRAW
通常プロファイル(スタンダード)で(ISO100)の撮影時に出力されるRAW
LogのISO640=通常プロファイル ISO100
LogのISO640=通常プロファイル ISO100なのです。
さらに感度をあげて確認しても
LogのISO4000=通常プロファイル ISO640と全く同じRAWが出力されます。つまりV-Logで撮影する場合のLog撮影と通常プロファイルでの感度差は2+2/3段分異なると言えます。
ここまで書いただけで、何を言わんとしているかを理解できる方は相当なお方です。
私を含め多くのカメラマンは通常プロファイルよりもLog撮影の方が圧倒的にダイナミックレンジが広がったという様に思っていると思います。特にハイライトが圧倒的に伸びたという感覚を持っていると思います。この感覚は間違いではないのですが、よく考えてみましょう。ここからは私の推測です。
撮像素子の飽和は画素なり撮像素子内の回路で決まっています。そして撮像素子の動作はLog撮影だろうが、通常プロファイルだろうが同じだったとします。だとすると、通常プロファイルのISO100のハイライト側がクリップするポイントとLog撮影でのISO640がクリップするポイントが同じという事が言えるはずです。同じように黒潰れするポイントも同じです。
分かりやすい様に考えてみましょう、LogのISO640で撮った映像(もしくはJPG画像)と通常プロファイルのISO640で撮った映像(JPG画像)はLogの方がハイライトクリップまでのポイント2+2/3段分余裕があるという事になります。上記の①の右側のRAWデータと③のRAWデータでは明るさが異なるので当然ちゃ当然です。
あくまでLog撮影は通常プロファイルから比べると暗く撮ってハイライトを飛ばないようにする。という動きをしているはずです。これがLog撮影の最低感度が高くなる理由です。
一応Logガンマに関して補足しておきます。
これはV-Log撮影時の被写体照度と記録時の輝度の関係を示しています。これを見ると明るい所がある一定を超えると記録される輝度変化が非常に少ない事を占めている典型的なLogガンマの特性です。人間の目は明るい被写体に対して明るさが変化する事に対して鈍感であることをうまく利用して、広いダイナミックレンジを10bitのコード(箱)にうまく収めるための考えだされたものがLogガンマです。この明るい領域をうまく使うには通常プロファイルに対して標準照度域を暗く(出力コードを抑えて)撮像するという事が必要になるはずです。
LUTを当ててRec709ガンマに戻した際の絵は、以下の比較からISO640で撮影したものは通常プロファイルのISO640相当になるというのわかるかと思います。両者で絵のコントラストは異なりますが、全体の露出のイメージは先ほどの比較よりも圧倒的に近いと思います。そして、当然ですが、Log撮影の方は前記までの理屈から考えて3段近い余裕ができておりハイライト部のクリップがされていないことが分かります。
左:Log撮影+LUT(Rec709) 右: スタンダード設定 共にISO640 F5.6 SS=1/5 WB:電球
結局どう言う事よ?
つまりLog撮影時のISO感度表示はあくまでLUTを当てたあとに表示される絵の明るさを基準に感度設定されているためで、「カメラの中ではISO100撮っている様な動作であってもLogとしてISO640と表示する(しなくてはいけない)」という所に基づいているのかと推測します。
本当はもう少しつっこんで書こうかと思いましたが、今日はここまでにします。というのは私もまだよく理解できていない点がいくつかあるため、ここまでは大きく外していないだろうという所までを推測で書いてみました。今回はハイライト側の話を例に挙げて記事を書きましたが、シャドー側はシャドー側で事を書ければと思います。
尚、この記事はあくまでハイライトのクリップポイントを基準に考えた場合、こう考える事ができるという書き方をしましたが実際はもっと複雑な事になっていると思います。
冒頭に述べた様に、内容に関しては間違っている可能性もありますので、そこはご勘弁を。
尚、Logによっては通常プロファイルとISOが変わらないというものもあろうかと思います。その場合はハイライトがあまり伸びないガンマであるという理解でいます。最低感度が高くなるという現象はトータルレンジが伸びることの現れであって、まぁ、そいういうもんだろうというくらいの理解がいいのかもしれません
。
いろいろグダグダ書きましたが、動画は結局シャッタースピードを落としつつ、ハイライトが飛ばないように露出をコントロールする必要があるのでNDなり可変NDは必要なので用意しましょう。
余談
しかし、上記書いたことが正しいとするとイメージセンサのISO感度が通常プロファイルでのISO15とかを実現しない限りLogのISO100は実現されないって事になると思います。拡張ISOとしてハイライトの伸びを制限してLogのISO100とかは技術的に出来るのかもしれないけど、それじゃLogの意味がないしねぇ。。なのででLUMIX S5はLogの拡張ISO320設定も可能ではあるのですが、確実にハイライトレンジが詰まるので、設定したことが無いです。ここらへんも含めそのうち検証したいと思います。
ではでは
筆者:SUMIZOON
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