とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

2020年に使ってみて良かった、失敗だったと思う動画機材

年末になるとこの手の動画や記事が増えますが、私なりに今年試したもしくは導入した製品を振り返ってみたいと思います。特に順番はどれが上位とかいうものはありません。ランキングというのが個人的には好きじゃないので敢えて順位は付けていません。

良かった機材

LUMIX S5 + キットレンズ

ランキング形式にしないと書いたもののこれは2020年で一番刺さった製品。スチルを撮るも良し、動画を撮るもよし、コスパも良し。サイズ、重量も良しのとにかく楽に綺麗に撮れるカメラとして絶賛運用中。

スチルとの兼用と24M画素からのオーバーサンプリングを考えると同時期に発売されたα7SIIIよりも個人的には良いと思える製品。夜間の動画撮影やハイフレームレートに限ってはα7SIIIの方が良いと思うけど、オールマイティに使える機種だなと思います。安いのに4K30pも4K60pも10bit撮れてしまうのでお仕事にも問題なく使えるカメラ。ただし、S1Hと異なりローパスフィルタレスなので、特定高周波成分のモアレにはご注意を。

尚、キットレンズの20-60mmが絶妙な焦点距離でこれまたよいです。思えば10年前にEOS 5D+Sigma20mmで広角が楽しくてバカみたいに広角写真ばかり撮ってた時期がありますが、その時を思い出す楽しさ。テレ端60mmは実使用上よく使う焦点距離。このレンズ一本あるだけでかなり楽しいです。とはいえせっかくの小型フルサイズなのでボケる純正50mmf1.8も楽しみなところで発売が待ち遠しいです。

そういや↓の動画を公開したものの他の映像はあまり公開してないので、また近いうちに何か公開したいと思います。


LUMIX S5 firstlook "It's the S1H Mini"

Z CAM E2-M4

個人的に凄くええやん!コレ!と思ったカメラ。中国はZCAMのZ Cam E2-M4。独自RAWも撮れる(ちょっとZRAWは現状使いにくいフォーマットではあるけど)。ProRes、H.264、H.265の他にNinja Vとの組み合わせでProResRAWまで撮れる小型シネマカメラ。とにかく、連携するスマートフォンのソフトの出来が良い。さらにこのカメラの凄い所は4Kが120fps撮影可能な点。2:35:1であれば4K160fpsまで可能というお化けっぷり。また撮影はiPhoneスマートフォンを接続する事で全てのコントロールが可能。ProNewsさんの依頼を受けてレビューさせて頂きましたが、今どきの中華製品の完成度の高さに改めて驚いた製品でした。
マイクフォローサーズの新たな可能性を感じる小型モンスター。


ZCAM E2-M4 firstlook

こちらの機材は私が買ったわけではなくプロニュースさんのレビュー案件で半月ほどお借りして撮影をしていました。機材の詳しいレビューに関しては下記をご覧いただければ幸いです。

www.pronews.jp

VILTROX EF-M2Ⅱ0.71 X スピードブースター

Kipon EF-MFTやCommliteの格安レデューサーに比べて光学的にしっかりしている製品。特に400mmF2.8L IS USMとの組み合わせで使用しましたが、マスターレンズをスポイルする事なく見事な描写で、今まで使ってきたレデューサーってなんだったの?となった製品です。さっさと買っておけば良かったと逆に後悔するほど気に入っている製品。本家SpeedBoosterは高いけど、描写は価格が遥かに安いこっちの方が上という噂も。


エグい画質!?夜間最強GH5Sにヨンニッパとレデューサ付けたらどんな映像が撮れるのか

 

Hollyland Mars400S

電波法の関係で日本では室内での運用しか出来ませんが、部屋の中で、撮影する時の必需品になっている製品。ケーブルに縛られる事なく大型のテレビを撮影用の外部モニタにしてしまう事が可能(それが本来の使い方じゃないと思うケド)。一度使うとクセになる製品だと思います。自宅ではほとんどこの機材を使って大型テレビをプレビューモニタにして撮影しています。

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尚、下記レビュー動画では屋外で使いたいと述べましたが、この製品は5GHz帯をつかっている製品のため日本国内の電波法では原則屋内の利用のみ許可されている製品となります。ご注意を。


ケーブルからの解放!カメラ、PC映像を高画質にワイヤレスで飛ばす MARS400S

iPhone 12 Pro Max

iPhone 12 Pro Maxはプロニュースのレビューで発売日に2台お借りして作例を撮りました。

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ご覧いただいた方も多いかと思いますが、とにかく手振れ補正の効きが素晴らしく、ダイナミックレンジもそこらへんの一眼に引けを取らない性能です。ダイナミックレンジの広さの要因はおそらくラインバイラインの複数露光による合成と推測していますが、その手のカメラに発生しがちな不自然なアーチファクトは私が使う中では感じることがありませんでした。
高感度は残念ながらISO400までが使用限度という感じですが、Filmicproを使うとマニュアル撮影も可能ですので、かなり動画のクオリティを上げられると思います。

www.pronews.jp

とにかく使ってて楽しかった機種の一つです。


Shot on iPhone 12 Pro Max

RODE ロード Wireless GO ワイヤレスマイクシステム

最近では下記動画の後半のインタビューに使用しました。音質が凄く良いわけではないけど、どこでも簡単にワイヤレスで音声を拾えるってのは便利です。また同動画では元の音源を鳴らしたスマートフォンとWireless GOの送信側をS-KEY-Aさんのポケットに忍ばせておいてもらって、それに合わせて歌ってもらい、後からリップシンクをしやすい様に撮影しました。音がうるさい屋外(映像は高架下)での撮影でリップシンク映像を撮る場合は結構アリな運用方法だと思います。


【MV】Snowflakes S-KEY-A

【国内正規品】RODE ロード Wireless GO ワイヤレスマイクシステム WIGO

【国内正規品】RODE ロード Wireless GO ワイヤレスマイクシステム WIGO

  • 発売日: 2019/09/27
  • メディア: エレクトロニクス
 

デスク、デスクチェア、ワゴン

これを動画機材として扱うか迷いましたが、編集の時に必ず使う環境という意味で記載いたします。
今年に入ってから在宅ワークが増えたため導入したものがこれらです。

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値段も全部揃えても3万円しないという...デスク回りなのでもうちょっと金かけろよ、と言われそうですが、十分使用に耐えられるものでした。ただ、個人的にはデスクはもう少し高さが低くても良かったかなと思います。大柄じゃない私には70cmくらいの高さが丁度いいかなと思います。

尚、デスクに関しては設置サービスを使った方が絶対に良いです。私は組み立ては自分でやりましたが、1時間では組み立てられませんでした。そもそも重くて設置個所まで持っていくのも結構大変でした。特に女性が一人で組み立てるとかは絶対にやめた方がよいと思います。天板を下に向けて組み立てるので、最終的にはひっくり返さないと設置できないのですが一人ではちとキツイ。。。

デスクチェアは下記のものをチョイスしました。そもそも収納時にデスクチェアをデスクの下に入れる事を考えるとアームレストが跳ね上げられる製品で安く評判が良かったと言うのでコレを選びました。

 これはデスク回りというよりも我が家に数多くあるバッテリーチャージャーを効率よく収納したいという思いから導入しました。この手の製品は同メーカーでなくても数多く販売されていますので、どれを買っても問題ないと思います。

これら3点で仕事、編集効率は格段に上がりました。

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銘匠光学 TTArtisan 11mm f/2.8 Fisheye ED

激安中華魚眼と言ってしまっていますが、作りも写りも全然マトモな製品です。魚眼って本来は飛び道具なので、あまり金額をかけたくない製品の一つなのですが、普通に買うとかなり値段が張ります。でもこのレンズは実売3万円以下という撒き餌的な値段設定。個人的には広角好きなら絶対持っていて損はない製品の一つだと思います。


【作例】TTArtisan11mmF2.8激安魚眼レンズを超広角レンズとして使う。持ってないと損な一本?

以下に等倍鑑賞可能なスチル作例も含めて載せてますのでよろしければどうぞ。

sumizoon.hatenablog.com

 

SIGMA fp

使ってから時間が経ってしまったというのもありますが、今年の春に試したSIGMA fpも素晴らしい製品だったと思います。とにかく本体+SSDでの12bitRAW動画撮影が可能な点は特筆すべき点ではあります。

sumizoon.hatenablog.com

上記はとある方の紹介で、デモ機をお借りしてレビューを書いたものですが、なんとも不思議な魅力があるカメラだと思います。恐ろしくコンパクトでメカシャッターを排するなど尖ったカメラではありますが、とにかく割り切りが良い製品です。AF-Cを使いたいという人には向かない製品ですが、チャレンジャブルな動画機と言えると思います。また、CinemaDNGはDaVinciを使ったグレーディングが可能ですので色を弄るのが好きな人にはたまらん製品だと思います。
尚、VideoAssistを使った撮影では.BRAWが使えますが、CameraRAWモジュールでのフルの機能は使えないのが少し残念な点ではあります。


SIGMA fp DNG12 bit RAW TEST Footage

QooCam8K

民生機唯一無二の8K VRカメラがQooCam8Kです。とにかくハード的にはかなりチャレンジャブルなカメラです。そもそも一般の4KVRカメラってどれもリフレームした時の解像度は大概FHD以下になってしまうので、書き出しすると画角によっては解像感が全くなく、全然使えないという事に陥りやすいのですが、この製品の場合は元素材が8Kであるために、少々のリフレームでもへこたれない解像度を持っています。

G〇Pro Fusionとか、Insta36〇とかは扱い易い製品だと思いますが、そもそも解像度がなくて素材撮影には使えないという方はこちらを試してみるのがよいと思います。


8K10Bitのバケモノがやってきた QooCam8K作例

手前味噌ではありますが、下記オフィシャルページでウチの映像も使って頂いております。

www.kandaovr.com

 

基本的にスマホを使った編集を行うのがおススメですが、PCのソフトの方も日々進化をしているので初めて使った時に比べてだいぶ進化した様に思います。

Soonwell FB-11


SOONWELL フレキシブルLED照明 FB-11紹介

ウチのメインの照明がこちら。コンパクトな面光源で演色性が非常に高く、これを使うと非常に美しくグレーディングが決まるので屋内撮影では非常に重宝しています。もう中華機材ってのは安くて性能が良いというのは当たり前になったんだと感じる製品の一つです。屋外でも使用可能なVバッテリー仕様。室内での撮影ではほぼコレを使っています。

全然製品とは関係ないですが、今年の春に日本からマスクが消えた時期にSOONWELLの日本担当の Ginaさんから、「日本はマスクが入手困難と聞いてるので、よければこれ使ってね」と大量のマスクが送られてきたのは有難かったです。大切に使わせていただきましたm(__)m 

今年も多くのメーカーや代理店、メディアの方々とやり取りさせて頂く機会がありましたが、特に中国の人に対するイメージが凄く変わった年でもありました。仕事が速く優秀というイメージだけでなく、私のやりとりした中国の方は皆、優しく非常に礼儀正しい方ばかり。製品が良いのに高飛車にならず、こういった人を抱えているメーカーさんは応援したくなります。(とはいえ製品は誠実なレビューを心掛けてますが。)

ATOMOS NINJA V + Sandisk SSD Ultra 3D

 ご存じ外部モニタ兼レコーダーのNINJA Vです。過去にNINJA Assassin/NINJA Infernoを使ってきましたがいずれもモニタが大型で、「そこまで大きく無くてもいいのにねぇ」と思いつ使ってきました。GH4では4:2:2 10bit記録が必要で、GH5では4K60pの4:2:2 10bit記録のために使っていましたが、このATOMOS NINJA VはS1H/S5のProResRAW収録を行うために導入しました。

下記は公式サイトで推奨されているメディアの一つです。ただし、一部日本のサイトでは速度が足りない可能性が示唆されているという情報もあります。一応LUMIX S1H/S5の5.9K 30p ProResRAW撮影では問題なく記録は出来ていますが、全ての個体で動作を保証するものではありません。仕事で1フレームも撮り直しがきかないと言う方にはそもそも高解像度ProResRAWは少しリスキーかもしれません。かならず高負荷テストをしてから撮影に臨みましょう。 

SanDisk 内蔵 2.5インチ SSD / SSD Ultra 3D 500GB SATA3.0 / SDSSDH3-500G-G25

SanDisk 内蔵 2.5インチ SSD / SSD Ultra 3D 500GB SATA3.0 / SDSSDH3-500G-G25

  • 発売日: 2018/12/07
  • メディア: Personal Computers
 

導入した感想は、恐ろしいほど圧縮ノイズの無いクリアな映像がとれてビビる。というものでした。特に森の中とかの細かい木々とか岩のエッジなど、明らかに圧縮コーデックに不利なシチュエーションでの撮影では、ゾクッとするほど鮮明な描写に驚きます。ただし、これは再圧縮のかかるYoutubeを通してシェアをすることが出来ないのが非常に残念ではあります。


LUMIX S1H 5.9K ProResRAW firstlook (LUMIX S5発表記念?)

一応作例もアップしたけど、完全にYoutubeの圧縮で本来の美しさはスポイルされてしまっているのが残念です。

ある意味Youtubeで動画をシェアするためにはここまでのクリアさは不要なのかも?と思ったりもしますが、やっぱり綺麗な動画を撮りたいしRAWの世界にハマってみたいという方は手を出すのが良いかと思います。私も冬休みには改めてS5でProResRAWで撮影してみたいと思います。

番外編

LUMIX S1H

S1Hは昨年導入している機材ですのでこの記事に載せるか迷いましたが、使用頻度からしてこの機材を外すわけにいきません。それくらい普段一番信頼をしているカメラです。

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とにかく炎天下で長時間撮影でも熱停止と無縁の放熱性でヘンタイ度Maxの一眼カメラです。外付けタリーをたかTubeさんに作ってもらったのも記憶に新しいです。

sumizoon.hatenablog.com

画質もモアレの心配のないOLPF仕様ですので高周波成分にやられたというケースもありません。とにかく安心して業務で使えるという印象。とは言え私、ほぼ趣味で撮ってますけどね。


S1H Firstlook β - DNA of H -

PENGO (ペンゴ) 1080p グラバー キャプチャーボード

今は激安のキャプチャーボードが結構数多く出ていますが、私は最終的にこの製品を使っています。WEBミーティングや一部配信で使用しました。今年の夏以降は新型コロナの影響でカメラをWEBカメラ化するためのキャプチャーカードがほぼ売り切れ状態でしたが、そんな中、手にしたのがこの製品です。質感はSamsungSSD T5とほぼ同じ(と言ったらわかる?)外装がアルミケースなので質感も上々。動作や互換性も全く問題なく当時は8千円程度で買えた記憶があります。

失敗した機材

VoightLander 単焦点レンズ NOKTON 25mm F0.95

実はプロニュースさんのZ CAM E2-M4のレビュー案件に併せて導入したものです。なのですが、開放撮影でフルサイズ並みのボケ量だぜウェーイとしたくて買ったのですが結果的には開放描写はかなり甘くて個人的には好きになれなかったレンズです。開放f値0.95は特殊な世界なのでこれには異論はあるかもしれませんが、通常の動画用途ではLEICA 25mm F1.4があれば個人的には十分かなと思います。

切替器、ABLEWE USB3.0 切り替え 5Gbps高速転送 PC2台用

在宅ワーク用に複数PCでキーボードを2台接続するのに導入したUSB切り替え機。

Amazonチョイスでレビューも多いので導入しました。これも基本的には使えるのは使えるのですがウチで使う限り5Gbpsは出ていない。。。まぁキーボードやマウスを切り替える前提なので、いいのですが、コレにSDカードリーダーを付けたところで転送速度は大きく劣化しました。そもそもUSBのメスの形状が小さいのか、USBのオスを挿すときに結構な力が必要です。ビルドクオリティも安物なりです。とは言え使えなくはないので一応使っています。

【2020最新版】USB C ハブ 6-in-1 USBハブ usb hub

 これもMacBookPro用に導入したものです。いや、ほとんどの要件はコレで問題無いのですが、HDRテレビに接続したときに、HDRメタデータが飛ばずにSDRとしてしか接続できないのが残念ポイント。今思えば「2020最新版」とか言うタイトルの製品紹介は大当たりしたことが無い。。Amazon中華製品あるあるの一つだと思います。

あと、意外と使ってると七色に光るLEDが邪魔だなと。。繰り返しますが言う程悪い製品ではないと思います。そもそもめっちゃ安いし。。。

CY 90 Degree Down角度付きFPVマイクロHDMIオスto Mini HDMI FPCフラットケーブルfor GoPro Multicopter航空写真50 cm

コレは私が完全に購入をミスった製品です。なので、製品自体が良いか悪いかは不明です。

そもそももしかしたらこのケーブル、LUMIX S5でバリアングル液晶の可動域を失うことなくHDMI接続できるんじゃね?と思って試しに買ってみた製品です。ですが、そもそもMicro HDMIの形状の出っ張る側が液晶側になっちゃうので要件を見たなさい製品となります。仮に180度逆にさせたとしても出っ張り具合からして液晶の可動域は広がらない事も分かりました。少なくとも同じ類のコネクタを使用している製品だとダメです。

そして、Micro to Miniなので仮にコネクタの方向が180度逆だったとしてもNinja Vとか外部モニタを取り付ける事ができません。寝ぼけて発注してしまったのも反省する内容。。。返品するのもアレなので、ケーブル入れの中で眠っています。

まとめ

ウチの場合、他のレビュー系のYoutuberの方の様に新しい機材を数多く導入する事はできませんが、機材メーカー様、代理店様、大手レビューサイト様などを通じて結構な数の機材を試させて頂いた年でした。来年も今どきの動画機材のトレンドをにらみつつ、いろいろとお役に立てる様になるべく深堀りした情報を発信していきたいと思っております。ぜひ、これからもよろしくお願いいたします。

 

筆者:SUMIZOON

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