とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

LUMIX S5のDual Native ISOの切り替え感度について

LUMIX S1HとS5にはDual Native ISOが実装されている事は、ここをご覧の方はご存知かと思います。(GH5SやBGH1とかも実装されています)

f:id:sumizoon:20210223222756j:plain

panasonic.jp

 S5のページを見ると下記の記載があります。

LUMIX S1から受け継いだ高感度性能に加え、当社製シネマカメラ VARICAMに搭載している独⾃技術「デュアルネイティブISOテクノロジー」を搭載。例えばV-Log撮影時にISO4000以上を必要とする低照度環境下では、ベース感度がISO4000に自動的に切り替わり、低ノイズ・高ISO回路を使用した撮影になります。これにより、通常の低ISO回路(V-Log時ベース感度640)で撮影した場合と比べてノイズを抑制した映像クオリティを実現します。作品の品質を大きく落とさず、照明機材のコンパクト化や定常光を活かした撮影が可能となります。ノイズリダクションなどの撮影後ワークフローの短縮も可能です。さらに、本機ではISOオートでの撮影中にもリアルタイムにISO感度を表示し続けるため、ノイズレベルをイメージしながらの撮影が可能です。

https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s5/movie.html#dual_native


ISO4000を境にベース感度が切り替わるのがお分かりかと思いますが、この感度の切り替わりはあくまでLog撮影の場合においては、ISO4000を境に切り替えが行われます

以前ここで書いたように、センサの動作としてはLogのISO640はスタンダードプロファイルのISO100にあたります。なので通常プロファイルの場合はこの切り替えポイントがISO4000よりも低い感度で発生するはずです。

sumizoon.hatenablog.com

 

てな訳で、今回はLogプロファイルとスタンダードプロファイルでの2種類でのS/N比を出してみたので、その切り替わりポイントについて考えてみたいと思います。これを知る事は、より品質の高い映像を撮るための手助けになるのでは無いかと思っています。

Logプロファイルのベース感度切り替えはISO3200/4000で行われる

実は、この検証はパナソニックのサイトにDual Native ISOの切り替わりポイントが明言されてないはず。ならば、それをちゃんと調べてみよう。という所がスタートでした。でも、このブログを書こうとしている最中に、上記の様に公式ページで公開されていたのを知り、この記事あんまり意味ないんじゃね?と思っています。。。まぁせっかく調べたのでいっか。。。

てな訳で単一光を入光して、得られた画像から標準偏差を調べS/N比を算出してみます。

生物学をやっている方などにはお馴染みのImageJを使って算出していますが、あくまでLogをTIFF変換してそのままImageJに食わせているだけなので正確なS/N比は算出できませんが、相対評価なので問題なしと判断しました。(本来はリニア変換&オフセット減算すべきですが、切り替えポイントを知るだけなら、そこまで必要なしと)

f:id:sumizoon:20210518234922p:plain

ここではLogプロファイルにとっての0EVをターゲットに照度を設定し、ISO感度を振っています。さらにダーク側は完全に遮光した状態と2つのカーブを描きます。

結果がこちら。縦軸は前述の様に正確なS/N値ではないので縦軸の数値は非表示としています。あくまで傾向を参考にして頂ければと思います。

 

f:id:sumizoon:20210518232759p:plain

ここでわかるのは低照度(ダーク付近のレベル)に関してはISO4000の切り替わりでノイズが大幅に改善するという事です。ISO800とISO6400が等しいレベルです。つまり「夜のLog撮影においてはISO4000を迷いなく使うべし」という事がお分かりかと思います。むしろISO3200の方がノイズが多いのでこのポイントを知っているのと知らないとでは、映像の品質に大きな差が出てきます。

ですが、これはあくまでLog撮影の場合だという事を認識しておくのも必要です。その理由は次のスタンダードプロファイルの場合を見ていただけるとお分かりかと思います。

スタンダードプロファイルの切り替えはISO500/640で行われていそう

まぁ、予想通りっちゃ予想通りです。そもそもセンサ駆動としてはLogのISO640がスタンダードプロファイルのISO100に相当するという事から、この切り替わりポイントは同プロファイルではかなり低感度側にあると思ってましたので全然意外な結果ではありません。

さらに付け加えると完全に遮光した状態だとダークノイズは計測不可能な程ノイズがないので少しだけ光を入れて計測しています。(クリップレベルを下回らない様な微小な光を入光)

Logの様には明確には切り替えポイントの差は出ませんが、シャドー部はISO500を使うならISO640もしくは800の方が綺麗に撮れる可能性があると思って良いでしょう。

f:id:sumizoon:20210518232818p:plain

なお、これを見るとわかるようにISO3200までほぼフラットな状態ですので、通常プロファイルではISO3200もへっちゃらな特性だという事が分かります。

各プロファイルでおそらく切り替えポイントは異なるはず

てな訳でプロファイルによって挙動が異なることがお分かりかと思いますが、その他、ベース感度がISO200のCineLikeDはおそらく切り替えポイントはISO1250にあると思います。また、HLGに関してはベース感度がISO400なので切り替えポイントはISO2500あたりに設定されているものと推測します。(計測しようと思ったけど上記2つのカーブ書くのに時間を食って途中で断念)

余裕があったら各プロファイルでのそれぞれのDual Native ISOの切り替わりを調査したいと思いますが、V-Log以外のプロファイルでは連続的なカーブを描いていますので、あまり切り替わりを意識する必要がないかもしれません。(HLGあたりは差が顕著に出るかもしれないので把握しておいた方が良い可能性があります。)

てな訳で、夜な夜な実験した結果を備忘録代わりにブログに残します。

V-Logでこそ活きるDual Native ISO

以上の事から、V-Logの際にはDual Native ISOの恩恵は非常に大きいものだと思います。切り替わりポイントを意識することで露出設定の際にあれこれ迷わずに済むというのは大きな差かなと思います。

機会があれば、V-Log撮影時における最適な露出設定について考えて見たいと思います。

 

ではでは

 

筆者:SUMIZOON

Facebookグループ一眼動画部主宰 お陰様でメンバー4000人突破間近

www.facebook.com

Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON をアップしている人

f:id:sumizoon:20200713234902p:plain

よかったら是非チャンネル登録お願いします

お陰様で登録者1万人到達しましたm(_ _)m