とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

BS1H国内正式発表と先行レビュー後記、GH5S/BGH1のBlackmagic RAW対応など

昨日ボックス型フルサイズカメラBS1Hが発表されました。これはLUMIX S1Hをボックス型のBGH1同様の筐体詰め込んだカメラです。

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https://www.pronews.jp/review/202110081110231670.html


S1Hからスチル性能など一部の機能を省きつつ映りのエッセンスを詰め込んだボックス型がBS1Hとなります。発売は12月中旬

まずは、このカメラで撮った映像を紹介します。


www.youtube.com

あまり時間がなかったため多岐の被写体に渡るテストはできませんでしたが、その映像はS1Hそのもので、S1Hと混在させたところで見分けが付く人はいないと断言できます。それくらい絵はS1Hそのもので、美しいハイライトロールオフとグレーディング耐性、高S/Nを持ち合わせます。

執筆したプロニュースBS1Hレビュー記事

すでにこのカメラに関してはプロニュースさんの方で記事を寄稿させて頂いたのでそちらをご覧いただきたいと思います。

www.pronews.jp

言いたかったことのほぼ全てはこの記事に集約しています。なので、ここで書いている事は、上記の補足資料的なものとして読んでいただければ幸いです。

ミラーレス一眼とボックス型一眼のマトリクス

BS1Hを理解するのに、下記のマトリクスで考えた方がよいかと思います。

二つのボックス型のカメラに対してベースとなるミラーレスがあります。そして二つのボックス型の機能はほぼ同じ。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2021/10/ong000_BS1H_37.jpg.webp

https://www.pronews.jp/review/202110081110231670.html

S1Hとは

24MPのフルサイズ動画特化型フルサイズミラーレスですが、この機種の特徴を一言で書くと「Netflixが唯一認定するフルサイズミラーレス」であるということ。

Netflixのスペック上、画質上の規定が規定されています。あのARRI Alexaが認定を受けていないのはそのスペック上の規定によるものですが、Netflixは4Kコンテンツとして一定の水準・規定を設け、それらをクリアしたカメラにのみ認定がされるものです。

Netflix認定であるS1Hは無制限の記録と広いダイナミックレンジ、Dual Native ISO搭載の高S/N、正確な色表現などを有する仕事で使える(むしろ仕事で使うべき)カメラでしょう。(おそらく無制限記録&熱で止まらないという点も規定の一つと推測しています)

S1Hは、本体内部収録の6K撮影や外部レコーダーによるBlackmagic RAW/ProResRAWでの撮影が可能となっています。

https://panasonic.jp/dc/s_series/products/s1h/img/top/s1h_top_mv_pc.jpg

https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s1h.html

GH5Sとは

10MPのフォーサーズセンサを搭載した、マイクロフォーサーズミラーレス一眼です。これの特徴はマイクロフォーサーズの常識をひっくり返した高感度動画性能にあります。そのS/Nの高さは高感度に限らず、低感度の映像にも現れます。
マルチアスペクトを採用しており一般のフォーサーズセンサよりも少し大きなセンサを採用している点もその画質向上に一役買っているものと思います。

https://panasonic.jp/dc/g_series/products/gh5s/img/top/gh5s_top_mv_pc.jpg

https://panasonic.jp/dc/products/g_series/gh5s.html

BG1Hとは

BGH1はGH5Sの画質で動画撮影ができるボックス型カメラで、GH5Sからメカシャッターなど静止画撮影機能を省きつつLANやGenlock、TC IN/OUT端子、3G-SDIを搭載して業務用途を想定した動画に特化したカメラになります。このカメラは「繋がる」を強く意識したもので、特にLANケーブル一本で電源供給できる、複数台をPC上からコントロールできる点は他のミラーレスカメラでは出来ない芸当です。外部からネットワーク待機モード的にしておけば、ソフトを立ち上げた瞬間に各カメラに繋げることが可能です。RECのスタート、ストップは当然ながら本体メニューにアクセスできるので基本的にはカメラに触らずに操作ができるというのがこのカメラの一つの特徴です。

https://panasonic.jp/dc/products/g_series/bgh1/top/img/bgh1_top_mv_pc.jpg

https://panasonic.jp/dc/products/g_series/bgh1.html

BS1Hとは

先に述べたように動画画質はS1H、インターフェースはBGH1を採用したカメラがBS1Hとなります。先の2x2のマトリクス上を見ると、BGH1の開発当初からBS1Hの企画は考えられていたものと推測します。

https://panasonic.jp/dc/products/s_series/bs1h/top/img/bs1h_top_mv_pc.jpg

撮影できる動画フォーマットはS1Hと同じで、当然Dual Native ISOの機能もそのまま搭載されています。当然無制限記録に対応します。

外部レコーダー接続時のBlackmagic RAW / ProRes RAW収録も可能で、その気になればガチのシネマカメラとして運用も可能です。(ここに対する私の考えはプロニュースさんの記事を読んで頂ければと思います。)

そもそも表示系とBISが無いですので、屋外で使うとなった場合は必ず外部モニターと手振れに対する対策が必要です。なのでハンドルもしくはジンバル、三脚搭載が必要となります。価格は40万円前後でS1Hよりもかなり安いですが、LANや配信系、SDI、Genlockを使わない、手持ちでの撮影もしたいというのであれば、S1HやS1、S5を選択するべきでしょう。

このカメラを導入する意義はLAN、SDI、Genlockを使うか否かとい点だと思います。複数台のBGH1/BS1Hを使ってカメラをコントロールしつつLANだけで配信するなどという芸当もこのカメラでは可能となっており、カメラ単体で撮影を行うというよりも「繋ぐ」事によりこのカメラの存在意義が大きくなります。

このカメラのクライアントワークでの使いどころ

プロニュースさんに寄稿した通りラフに動画カメラとしてはS1Hを使うべきというのが私の意見ではありますが、使い方として考えられる点について記載したいと思います。

クライアントワーク向けにミラーレスカメラを使うのは出力系統が1系統しかないミラーレスカメラとしては困るという人が多いかと思います。また、出力がHDMIだと長距離の伝送が行えないことからSDIに変換しないと使えないという方もいるかと思います。BS1Hは3G-SDIではありますが、長距離伝送が行えるSDI端子がありますので、長距離はなれた場所でのモニタリングが可能となります。

つまり、LANとあわせれば大きなホールで置きカメをして外部から複数台(12台まで)のBGH1/BS1Hのコントロールが一つのソフト上で同時にコントロールすることが可能となります。

もちろんSDIを使わずにLANだけで配信をするという使い方も可能で、こちらは4K60pまでのRTSP/RTPを使った配信が可能です。

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2021/10/ong000_BS1H_28.png.webp

https://www.pronews.jp/review/202110081110231670.html

ただし、閉じたネットワークを用意できない場合は、安定した4K配信ができない可能性があるので、12G-SDI対応して欲しかったという気もする。

簡単な配信実験の様子は下記をご覧ください。

youtu.be

その他、配信以外にもリグを付けまくれば制作カメラの様相ですので、それはそれでクライアントワーク向きかも。

BS1Hの発表日にあったもう一つのサプライズ GH5SのBRAW収録対応

さて、ここからはBS1Hではなく、BS1Hの発表日にあったもう一つのサプライズについて書きたいと思います。ここは全く寝耳に水の状態でした。それはコレ

LUMIX GH5SとBGH1のBlackmagic RAW収録対応の件です。

下の画像は公式ページのものですが、G9のアップデートにはBlackmagic RAWは含まれておりませんので勘違いのなきよう。

https://news.panasonic.com/jp/topics/items/d3442-4415-4855608a923cb0219d0f-0.jpg

https://news.panasonic.com/jp/topics/204415.html

news.panasonic.com

【1】DC-BGH1/GH5Sの動画記録性能強化
●Blackmagic Design社製レコーダー「Blackmagic Video Assist 12G HDR」へのHDMI経由での動画RAWデータ出力に対応し、「Blackmagic RAW」記録が可能
カメラ本体からHDMI経由で、Blackmagic Design社製レコーダー「Blackmagic Video Assist 12G HDR」へ、Cinema4K(4096×2160)、アナモフィック3.7K(3680×2760)の動画RAWデータを出力することが可能になります。これにより「Blackmagic RAW」記録が可能となり、撮影後にBlackmagic Design社製ソフトウェア「DaVinci Resolve Studio」ですぐに編集できるなどポストプロダクションへの対応力を強化し、映像制作のワークフローを強力にサポートします。

https://news.panasonic.com/jp/topics/204415.html

ついにGH5SでもBlackmagic RAWが使える様になるとの事(Video Assistは必要ですが)

これは早速試したい!というところですが、ファームウェアのダウンロードは11/4開始なので、それまで指をくわえて待ちたいと思います。

https://news.panasonic.com/jp/topics/items/d3442-4415-bfb5ed54362b13265bcc-1.jpg

これでLUMIXでBlackmagic RAWが撮れる組み合わせは

S1H / S1 / S5 / BS1H /GH5S / BGH1

の6機種となるわけです。

未だに進化するGH5Sは発売当初からすると、もう別のカメラになったという状態です。レンズのリニア駆動にも対応という事なのでこちらも使い勝手の向上が見込めます。

 

筆者:SUMIZOON

Facebookグループ一眼動画部主宰 お陰様でメンバー4000人突破間近

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