深センの外部モニタを主に設計製造するメーカーのPortkeysさんから、LEYE SDIのサンプルを送っていただきました。
LEYEシリーズは撮影用の外付けの電子ビューファインダーです。
外付けEVFへの憧れとLEYE
私が映像を初めた頃、結構ZACUTOのファインダの話を目(耳)にする事が多く、ものすごく外付け電子ビューファインダへの憧れはあったもののそれらはカメラが買えるほどの値段でした。
外付けEVFに憧れた理由としては
①屋外での視認性向上
②撮影時に被写体に集中(没入)できる
③ファインダ角度が自由で撮影スタイルへの自由度が高い
に加えて
④見た目にカッコいい、業者っぽい(ホンマか。。。)
と言うものがありました、最近は見た目と言うのはほとんど気にしなくなった(と言うかそもそも周りの目を気にしないおっさんになったとも言う。。。)のですが、それでも上記の3つの項目は今でも外付けEVFを使いたいと思っていた点です。
まぁ、EVFがついてるだけで確かにソレっぽいと言えばソレっぽい
最近のミラーレスのファインダでいいじゃないかと思われるかと思いますが、③のファインダの角度調整がミラーレスカメラではできません。なので、カメラを上から覗き込む様なスタイルではカメラのファインダを使わずにバリアングル or チルト液晶を使うスタイルになるのが一般的です。①、②、③を同時に満たすとなると外付けEVFが良いと言う憧れがずっとありました。
でもねぇ、この手のデバイスに大金を使うならカメラやレンズを買ってしまいたくなるので、なんだかんだでずっと避けてきたデバイスです。
で、今回紹介するPortkeysのLEYE SDIはLEYEシリーズの中でSDI入力を持ちながらも比較的安価でコンパクトなデバイスです。そのため趣味で映像を撮っている人にとっても手が出しやすい製品だと思います。
左:LEYE SDI 右:LEYE II(公式ページより)https://www.portkeys.com
Portkeys LEYEにはSDI/HDMI入力を有するLEYE SDIとHDMIのみの入力に対応したLEYE III(IIが現行でIIIは恐らくまだ発売前)に分かれます。
Portkyes LEYE SDIの概要
LEYE SDIはLEYE IIIの上位機(SDI入力が付加)という位置付けだと思いますが、そのスペックについて列挙いたします。
液晶解像度:1440x900
液晶サイズ:2.4インチ
ディオプター範囲:+8〜-3
入力端子:HDMI/SDI
撮影サポート表示:
ゼブラ、フォールスカラー、波形モニタ、3DLUT適用表示、
フォーカスピーキング、アナモフィックデスクイーズ(数値設定可能)
電源:バッテリー駆動(Canon LP-E6)4-pin 航空コネクタ(DC 7〜24V)
操作系:
本体ボタン(使用時左側)
カスタマイズ可能なファンクションボタンx4(使用時右側)
その他:
USB入力によるファームウェアアップデート、LUT読み込み可能
本体重量:233g
本体重量はかなり軽量で、バッテリー(LP-E6)を取り付けた状態でも346gです。なのでホットシューとかにマウントしても極端にはカメラの重量バランスは崩れないと思います。(Video AssistとかNinja V載せる方がよっぽどヤバい)
本体のモニタ部に関しては外装は金属製ですが、モニタ以外のファインダ部に関しては樹脂製となります。この重量を実現するためには致し方ないでしょう。
外装に関しては考えられており、底面に関してはNATOレールになっています。
左:側面から見て下部がNATOレールになっていることが分かる
右:底面を写したもの 1/4インチネジ穴が3つ切られている
なのでマウントの方法はいろいろ考えられます。
バッテリーはCanonのLP-E6を使えば概ね4時間の駆動が可能です。ここらへんは小型のモニタで作られているEVFだからこそなし得る駆動時間だと思います。
実際にマウントしてみる
LUMIX S5にマウントした例を紹介したいと思います。
既に動画でも紹介したやつです。
水平方向に配置したロッドに対して単純にNATOレールのロッドクランプを取り付けただけです。もちろんホットシューとかに取り付けてしまうという方法もありますが、落下事故を避けるためにホットシューに対して直接アクセサリを取り付けるのは避けています。(結構ズボラな性格してるので締め込みが甘くて落下事故を起こした経験があるので以来極力やらない事にしています)
ウチではロッドを通せるタイプのハンドルを使っているのでロッドと上のNATOレールクランプを使ってみました。シンプルでEVFの位置を前後に移動させることは出来ませんが、角度を簡単に変えることが可能なのでミラーレスカメラでシンプルに使うには良いかもと思っています。
どんな撮影スタイルに良いか
まず、この撮影スタイルとは非常に相性がいいかなと思います。かなりミニマルなスタイルだと思いますが、女性の方でも楽に扱えるものだと思います。
ウエストレベルよりもやや高めのちょうど胸の高さで構えるスタイルです。これだとカメラの背面部を胸に押し当てて両手でホールドすればブレはかなり抑える事ができます。そもそもこのスタイルは背面液晶でもEVFでも画角を確認することが出来ない構え方ですが、こうやって外付けのEVFを使う事で快適な撮影を実現することができます。ランアンドガンシューティングの様に被写体をアレコレ撮り重ねる手法では都度三脚を立てたりジンバルのオペレーションをするのには不向きですが、これだとダイレクトにカメラを操作できますので非常にくブレの少ない映像の撮れ高があがる撮影方法だと思います。
結局BGH1/BS1Hに使う製品である
HDMI入力があるので撮影時にHDMI出力されるカメラで基本的に使えますが、本来はこの製品はBGH1やBS1Hでこそ活かされるハズ。
一部界隈では結構使われているBGH1&遅れてきた兄貴のBS1H
当然SDI出力アリ(ただしFHDまで)
https://panasonic.jp/dc/products/g_series/bgh1/extensibility.html
というかLEYE SDIは「この2つのカメラで使ってね」という製品よね。(お値段がSDI入力がある分ちょっと高いのでBGH1/BS1Hで使わないのであれば、LEYE IIIの方が良い)
で、日本一リグに詳しい(株)RAIDの鶴田さんに「BGH1/BS1Hでええ感じにEVFをマウントする方法かつ、背面液晶や外部レコーダーをマウントさせる方法って無いですかね?」と伺ってみました。「なるべく安くm(__)m」というリクエストで。
でいくつか提案頂きつつ最終的に下図のような形体となりました。
やべえ、なんかいきなりかっこよくなった。。お前ホントにBSH1なのか?と。。。
というかそこはかとなくメカメカしくて、男の子心を擽るやつです。(形がわかりやすいようにEVFを外しています)
ケージ
まずは何は無くともケージです。こちらはコスパが良いみんな大好きSmallRigのやつ。
というか、今回のパーツは基本全てSmallRigです。www.raid-japan.com
チェストパッド/サイドハンドル
一部で品薄のチェストパッドですが、RAIDさんで購入。即納でした。
今回試させて頂いたのが、このハンドル。
EVFのマウント部
EVFのマウント(キット)は下記をお借りして試させて頂きましたが、既にディスコンになっています。
代替品として
NICEYRIG ダブルNATOレールとSmallRigのEVFマウントを既に手配。というかロッドクランプが付いた長めのNATOレールってSmallRigでは現在扱っていない模様。
ハンドル
お借りしたハンドルは下記のロッドクランプのついたもの
うちにも昔買ったロッドクランプの付いているハンドルはあるけど、ディスコン。
モニターアーム
これに関しては別途じっくり記載したいほどにヤバいやつでした。
可動する軸が3つ+アームの長さが調節できるもので、自由度の高いモニタ配置が可能になるものでした。今回はデモ機をお借りしましたが、ソッコーで購入を決めたやつです。
その他
好きな所にNATOレールつけられるやつですね。ウチには分厚いタイプしかないのですが、最近は薄型のNATO互換レールってのがあるらしい。
で結局EVFとしてどうよ?
途中からリグに感動しまくって話が完全に脱線してしまいましたが。。。最後にLEYE SDIについての感想を書いておきます。
この製品、EVFとしての見え方は残念ながら素晴らしいとは言えません。というのも最近のカメラのファインダーって300万ドットはおろか500万ドットのEVFがあるので、解像度の観点からするとぶっちゃけ見劣りします。なので、高解像度のファインダーが欲しいと言う人には不向きです。ついでに書くと、ファインダ倍率も高くはないので「でっかく見える」という事もありません。
なので、ミラーレスカメラの外付けEVFとして使うというのには少し違う。どうしてもファインダの置き場所や角度を変更する必要があるという方には良いソリューションだと思うケド。
一方で、このEVFは(そもそもファインダが無い)BGH1/BS1Hで使うという用途には抜群だし、他に選択肢はほとんど無いと思います。なのでBGH1で外付けファインダで撮りたいんだ!って方は是非買うべし。
というか、もっと外付けファインダーという製品がいっぱい出てきてもよいと思うのだけどねぇ。