銘匠光学 TTArtisan 50mm f/2 を代理店(焦点工房)さんから送ってもらったので試してみました。
もうすでにこのレンズは他メディアやYoutubeで各種レビュー記事が上がっているのでご存じの方も多いかと思いますがウチでも書いてみます。
銘匠光学 TTArtisan 50mm f/2 レンズ仕様
TTArtisan 50mm f/2 のレンズの概要です。
焦点距離:50mm
フォーカス:MF(マニュアルフォーカス)
レンズ構成:5群6枚(高屈折レンズ2枚)
対応撮像画面サイズ:35mmフルサイズ
最短撮影距離:0.5m
絞り:F2-F16
絞り羽根:10枚
フィルター径:43mm
サイズ:約 Φ60×35 mm
質量:約 190-212gマウント:SONY E / キヤノンRF / ライカL / ニコンZ / 富士フイルムX / マイクフォローサーズ / キヤノン EF-M
価格1万2千円前後
コンパクトさは一目瞭然。私の他の50mmと比べてみるとこんな感じです。
第一印象はちっさ!
左からS Pro50mm F1.4 、Sレンズ 50mm F1.8、TTArtisan 50mm F2
このレンズは200gという軽量レンズです。コンパクトな分少しずっしりした印象ですが冷静に考えて軽い。
レンズの絞りなどの文字は刻印ではなくプリントではありますが、ビルドクオリティも値段からは想像できないものです。
当然マニュアルフォーカスレンズなので、ピントは自分で合わせる必要はありますが、操作性も悪くありません。フォーカスリングも滑らかだし、絞りのクリック感も良好。最短撮影距離は50cmなので寄れる印象はありません。テーブルフォトよりもスナップ撮影に向いているレンズです。
そして、値段は1.2万円。
サンプルをもらっておいてなんだけど、これだと財布の紐が緩くなるやつです。というか金属鏡筒で1.2万円でこれを作れる中華パワーがヤバい。。。
ウチで今まで使ってきたTTArtisanのレンズ
私が持っているTTArtisanのレンズは50mmF2を含め4本目です。(前の3本が良かったから今回のレビューを受けたってのもあるし、レビューの話が来てなくても買っていた可能性は高いです)
以前私がが購入したレンズは
・TTArtisan 11mm F2.8 fisheye(Lマウント)
・TTArtisan 35mm F1.4/C(マイクロフォーサーズ用)
・TTArtisan 35mm F1.4/C(Lマウント)
の3本 いずれも今も所有しているレンズです。
TTArtisan 11mm F2.8 fisheye
例えば、11mmF2.8はLマウントに超広角レンズが無かった時から私が大変お世話になってるレンズ。
値段からは想像がつかない写りの良さ。とにかくアホほど広い画角を楽しむなら一本持っててなんら損はないです。
【国内正規品】銘匠光学 TTArtisan 11mm f/2.8 Fisheye ED (ソニーE) 「2年保証付」
フルサイズのイメージサークルをカバーしておきながらお値段3.6万円程度とか、わけわからん。11mmという特性上よっぽど寄らない限りピント合わせは不要です。少し被写体から離れたらすでに無限遠なので、MFレンズとは言えほとんどのケースでピント操作不要。
TTArtisan 35mm F1.4/C
35mmF1.4/CはAPC-Cのイメージサークルをカバーするレンズですが、超小型のお気楽お出かけレンズとして使用しています。16:9画角として少しポスト処理でクロップしてあげるとフルサイズに近い画角で撮影することができるレンズです。
開放描写のピント面とボケの美しさは上記の映像でもご理解いただけるかと思います
とにかく安いのにマトモな写りをするレンズです。
【国内正規品】銘匠光学 TTArtisan 17mm f/1.4 C ASPH (ニコンZ, シルバー) 「2年保証付」
焦点工房さんがいままでのレビューを見てくれていたのかそうでないのかは分かりませんが、今回は提供いただいてのレビューとなります。良いところも悪いところもいってくれてOKとの事でお話を受けましたが、今までTTArtisanを気に入って使ってきたという事もあって、このレンズは試したかったというのはあります。
50mm画角が好き
先にも触れた様に今現在、ウチではLマウントの50mmレンズとして、
・Panasonic S Pro 50mm F1.4
・Panasonic S 50mm F1.8
の2本を所有しています。上記パナソニックのレンズはいずれも美しい描写をするレンズです。特にS Pro 50mm F1.4は何物にも代え難い年輪ボケが一切ない美しいボケと収差を全く感じない描写をする化け物レンズです。
加えて下記のレンズも使っていました。
・SIGMAの50mm F1.4 DG EX(いまだに大事に防湿庫に保管)
・CANON 50mm F1.8 STM(つい先日売却)
以前はレフ機レンズとしてはSIGMAの50mm F1.4 DG EXをずっと使ってきていて、私が写真にハマるきっかけを作ってくれたのが50mmのレンズです。とにかく50mmはその画角から一番自然に使えるし一番画角を作りやすいレンズであると感じています。(逆に35mmとか苦手なんよね。。。)
あのボディに付ける
4本50mmあるなら50mmF不要やん。と言われそうですが、実は手元にこのレンズにぴったりのボディがあるんですよね。。
最近買ったSIGMA fpと今回のTTArtisan 50mm F2の組み合わせ
少し前に今さらSIGMA fpを購入しました。
で、お気軽スナップを楽しんでいるところなのですが、大きさ的に、このレンズが非常にぴったりです。もちろんSIGMAボディなんだからSIGMAレンズ使えよ!と言われそうですが、超小型の50mmというレンズがLマウントには不在ですのでこのレンズが気になっていたという次第です。
そう、50mmは何本あっても良い!
映り(写り)はどうなのよ
小さい軽い、安い!と言いましたが、いくら小さく軽く安くても映り(写り)が悪ければ無用の長物ですが、これがぜんぜん悪くない。むしろ独特の雰囲気が良い。もちろん、周辺描写はある程度のパープルフリンジが見える事もありますし、結構滲んだ感じに写ります。ですがもともと隅まで解像してほしい被写体じゃないようなスナップ撮影では、そんな事は言うほど気にならないです。星撮るとかは粗が見えるでしょうけどね。。
この開放描写から得られる雰囲気はどことなくオールドレンズのそれを感じさせるものです。
エモいレンズである
いや正直エモいという概念をあまり理解していない筆者ですが。。。このレンズは斜めに光が入ってくるとなんとも言えないコントラスト低下を引き起こすフレアが発生します。悪く言えば逆光特性が高くはないと言えるのですが、いい味を出してくれます。
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
SIGMA fpとの組み合わせによる撮影ですが、開放撮影の場合、光源が入ると光源からセンターに向けてほわーっとしたフレアが発生します。コレがなんともインスタ映えしそうなやつです。
コントラストを低下させる系のフィルタを付けた様な描写ですが、大きく違うのは逆光撮影以外の描写です。太陽や強い光源が無ければこのレンズはマトモな描写をします。
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「Monochrome」
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「Monochrome」
撮影協力:RUAN
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
以上は絞り開放での撮影です。絞るとある意味フツーのレンズになるのでむしろ開放で遊びたくなるレンズです。
解像度
解像度について触れておきます。写りに関してなるべく作例で特徴を紹介していきたかった所ではありますが、解像度だけは数値化してみたかったのでいつものパール光学製のチャートでざっくり撮ってみました。比較的近距離撮影での比較となりますので、無限遠の場合の特性とは異なる事が一般ですのであくまで参考までにご覧ください。
ウチには映像用のチャートしかないのでコレで測定(画像はF2開放の画像)
あらためてチャートを撮ると開放ではうっすら紗がかかったような描写の様ですが、F2.8にすると既に解像度がピークを迎えるようです。
レゾチャート+HYRes IVによる測定結果 左:F2 / 右:F2.8 中央の解像度はF2.8でピーク
周辺の描写に関しては一番目の画像をみても分かる様に解像度は高くなく、収差が結構出ている描写となっています。中央および隅にあるクサビで水平解像度を測定したものが下記になります。
傾向をみるとF2.8以降は中央の解像度はかなり高い傾向にあります。一方で隅の描写は絞っても大きく改善はしないです。隅の描写は期待しない方がいいです。
参考までにS Pro 50mm F1.4とS 50mm F1.8のデータも載せると下記の様になります。
左:S Pro 50mm F1.4 右:S 50mm F1.8
S Pro 50mmF1.4に関しては20万円を超える最強の50mm、またS 50mmF1.8も撒き餌的なレンズではありますが5万円のレンズです。
周辺描写に関しては純正レンズの両者は当然の事ながらかなり高い事が分かります。一方で中央だけで見ると24MPカメラで使う限りは4200本を超えるという意味ではTTArtisanの50mmF2の一段絞った状態もかなり健闘していると言えるでしょう。
逆光耐性/パープルフリンジ
逆光耐性に関しては高いとは言えません。むしろ逆光時に発生するゴーストやコントラスト低下を楽しむレンズと言えます。
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
こういう描写を楽しむレンズの様な気がする。
尚、パープルフリンジに関しては四隅では少し見えます。以下は開放撮影の一枚ですが左上の電線のところで見える部分があります。
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
周辺減光
周辺減光(周辺光量落ち)自体は開放では結構あります。これはF2.8まで絞るとかなり改善されますが、そもそもオールドレンズ風に楽しむのがこのレンズの楽しみ方だと思いますので、これくらい周辺が落ちていてもなんら問題なしかなと思います。むしろこれくらい落ちている方が撮って出しでそれっぽく見える(いやマジで)
TTArtisan 50mm f/2 + SIGMA fp カラー設定「パウダーブルー」
とここまで書いていたところでふと気づきましたが、これ1万円のレンズなんですよね。。ほとんどの描写は味として楽しめるものですし、これらを問題にするなら高いレンズを買うべきでしょうけど、小さくてこれだけ軽い、F2の明るさで楽しめるレンズもそう多くはないでしょう。
まとめ
とにかく小さく軽い50mmが欲しい、マニュアルフォーカスで構わない、よく写るレンズだとなんか物足りない(贅沢な。。)という方にとってはこのレンズは検討する価値のあるレンズだと思います。開放でのエモさ(いまだにエモいが言語化できてないけど、逆光時のゴーストやフレアはそれを感じさせる)は今どきのレンズでは描写しないものがあります。
今どきの端まで綺麗に解像する、収差もしっかり補正されている、周辺減光も少ないというレンズは素材撮影には素晴らしいですが、こういったレンズを一本持って特徴のある写真や映像を撮るのも楽しいです。
カバンに一本忍ばせておくのもよし、これ一本で超お手軽に町をスナップするもよし。とにかくどこでも持っていける気軽さは日常のフォトライフ、ムービーライフを豊かにしてくれるかもしれません。
筆者:SUMIZOON
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
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