とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

ついに無線伝送も4Kの時代が来た HOLLYLAND MARS4K

このブログでは過去にワイヤレスビデオ伝送システムであるHOLLYLANDのMARS400Sを紹介したことがあります。MARS400SはFHDの低遅延のワイヤレスビデオ伝送システムであり、私の自宅ではライブ配信時などで活躍しているシステムです。

sumizoon.hatenablog.com

今回はIBC※にてHOLLYLANDから発表のあった「4Kワイヤレスビデオ伝送システム MARS4K」について書いていきたいと思います。MARS4Kは発表の少し前から試させていただいていましたので、メーカーのHPに記載されていない実際の使い勝手などについても記載していけたらと思います。(また、質問事項などコメントを頂ければ記事を都度更新していきたいとおもいます)まずは紹介程度ってことで。

※オランダ・アムステルダムで開催されている国際放送機器展
「IBC(International Broadcasting Convention)2022」2022年9月9日(金)~12日(月)

HOLLYLANDとは

HOLLYLAND(ホーリーランド)は中国深圳に本社を構える無線機器の製品開発を得意としたメーカーです。

特にワイヤレスビデオ伝送システムのMARSシリーズや、ワイヤレスマイクシステムLARK、インカムのSolidcomは最近では多くの動画制作者・ライブ配信者が使っているものです。直近ではノイズキャンセリング機能を持たせた超小型のワイヤレスマイクシステムLARK M1が話題になっていました。

最近話題になったノイズキャンセラー搭載ワイヤレスマイク LARK M1

Hollyland Lark M1 Clip-on Microphone Wireless, Budget Wireless Lavalier Microphone for Sale-Hollyland

 

他社の真似事ではない独自の開発路線を突き進む高い技術力を持ったHOLLYLANDは映像界隈では市民権を完全に得たと言っていいと思います。

そんなHOLLYLANDが放つ新製品がワイヤレス4Kビデオ伝送システムがMARS4Kです。

ついに4Kワイヤレスの時代へ

以前MARS400Sを試したときに、その高い映像品質に感心した一方で、「いずれは民生価格帯で4Kで無線伝送する時代がくるんやろうなぁ」と思っていました。その「いずれ」は私の想定ではもう少し先の話と思っていたのですが、思いのほか4Kで無線伝送する時代が来ました。つうか、開発速度含めてこういった製品をポンポンだせる中華パワー凄すぎる。。。

ライブ配信も徐々に4Kの解像度で配信されている方も増えてきたし、その時代は近いと言う気もしていたのですが、それにしても技術の進歩は激しいものです。

これがあれば、例えば、映像ソースを4K、配信ハードorソフトも4Kに対応にしてしまえば、映像ソースと配信ハード間をワイヤレスに伝送させる事ができます。

また、ライブ配信だけでなく、撮影現場において4Kのクライアントモニタに撮影中の映像を4Kで表示させることもできます。

場合によっては超高画質なワイヤレス監視カメラシステムだって可能です。とにかくFHDの4倍の情報量を持つ映像を無線伝送で送受信させることができます。

MARSシリーズの最新機MARS4K

MARS4Kの製品概要について記載します。

送信機側

映像入力 HDMI 1.4 / 3G-SDI
     入力解像度:4K30p(HDMIのみ) / FHD60p 他
電源供給 DC input : 6V~16V / USB-C 5V 2.5A / NP-Fバッテリー
無線規格 802.11n(5GHz帯)
消費電力 <8.5W
本体重量 223g

受信機側

映像出力:HDMI 1.4 / 3G-SDI
     出力解像度:4K30p(HDMIのみ) / FHD60p 他
電源供給 DC input : 6V~16V / USB-C 5V 2.5A / NP-Fバッテリー
無線規格 802.11n(5GHz帯)
消費電力 <5W
本体重量 223g

共通事項

ビットレート 8Mbps~20Mbps
レイテンシ  0.06s(60msec)
最大伝送距離 150m

販売価格 税込11万円程度

 

※尚、本製品はメーカーによると当該製品は日本国内の技適は取得しているものの、デモ機自体には日本国内の技適マークが確認ませんでした。デモ機のため認証情報が無いのかと思いましたが、下記で認証情報を確認することができます。

技適認証情報】

アプリから認証情報を確認することができます。MARS4Kをアプリで接続した後、スマホ画面から確認することができます。総務省への実験届け出を行ったもののこれらは必要ないものでした。

実際の使い勝手に関して

画質

本システムが伝送を行う、どのくらいのデータレートで送受信を行っているかに関しては先に述べた様にスペックシート上は8Mbps~20Mbpsとなります。ただし、伝送時にどんなコーデックで伝送しているかはスペックから読み解けません。つまりこの8Mbps~20Mbpsとあるものの実際にどのくらい画質が出るかは実際に実験してみないと分からないのです。

尚、参考までに下記の様にPCから4K映像を伝送し外部レコーダーの高ビットレートで受信&記録を行った上で映像の劣化具合を見てみます。

リファレンスHDMIを直接接続した場合(PCからの4K映像→Video Assist4KでのProResHQ記録)



Mars4Kでの4K伝送した場合(PCからの4K映像→Mas4K@TX → Mars4K@RX → Video Assist4KでのProResHQ記録)

動きがゆっくりの場合は解像感に関しての劣化も含めてディテールの劣化も全く見られません。

やや動きのあるシーンですが、情報量が少ないためディテールの劣化は見られません

最後は動きもあり、ランダムパターンの多い圧縮コーデック泣かせのパターンです。流石にここまでいくと圧縮によるディテールは失われていきますがそれでもスペック上の20Mbps上限ビットレートというのを疑いたくなる状態 

尚、Youtube動画では再エンコードによる劣化が分かりにくいので本件、静止画として共有させていただきました。

レイテンシ

画質と速度のバランス設定での確認をまず確認しました。カメラのHDMI出力遅延とモニタの表示遅延を差し引いたざっくりした値を調査してみましたが、MARS4Kの4K30pの送受信でのレイテンシは140msec程度の数値となっています。

※当初GH5Sでの実測をしたところ計算上90msecが観測されましたが、後日ストップウォッチの精度が少し高いもので再計測を行いました。前回計測のデータはストップウオッチの分解能が悪く(スマホ60Hz駆動液晶)、その誤差が大きく出たためと思います。お詫びして訂正します。尚、今回あれこれ実験するとカメラのHDMI出力遅延は結構設定によって変わることが分かりました。それに関しては有益な情報だと思いますので別途紹介したいと思います。

MARS4KではFHD60pでは60msのレイテンシをうたっています。こちらはほぼスペック通りのものが観測されました。

レイテンシは原理的にはゼロにできませんので、これ関してはご自身の使い方を含めて検討頂くのが良いかと思います。(ウチみたいな配信は全然気にならいですが、マルチカム配信などで同時性が要求される撮影の場合はご注意ください)

接続性

ここらへんは動画で別途お伝え予定ですが、起動からチャンネル設定までオートで行えるのでユーザーの操作は不要です。起動から接続までの所要時間は30秒ほどです。電源を入れてほったらかしにしていれば接続まで完了するので気にならないレベルです。

バッテリーの持ち

これに関しては別途検証を行っていきます。追記予定です。

スマホと連携するHollyView

受信機側で映像を行うだけでなく、MARS4Kはスマホを使った映像確認も行う事が可能です。HollyViewはMARS400Sでも使用していましたが、表示ツールとして良くできています。これに関しても今後のレビュー動画で紹介したいと思います。

日本での使用に関して

現状、日本国内においてこの製品が屋外での使用ができるのかはまだ確認できていません。ですが、前機種のMARS400s Proには屋外使用を可能にするDFS(Dynamic Frequency Selection)昨日が備わっています。日本では5GHz帯の屋外使用は基本的に認められていませんがDFSを使用する場合、他の無線機器に干渉しないチャンネルを選択する機能が実装されていることで屋外使用が可能となっています。

おそらく日本での発売時にはこの機能が実装されるものと思われますが、まだ詳細は分かりません。いずれにせよ屋内の使用は問題ないと思います。ここらへんは購入される場合は最新の情報を入手されるようにお願いします。

まとめ

この機器に関してはこれから深堀をすすめますが、とにかく4Kで手軽に無線送受信ができる時代に突入したのは感慨深いものです。この機器の可能性も含めて動画レビューでは紹介していきたいと思います。

いやはや、いい時代になったものだ。。。

最後に、このレビュー記事執筆後に制作した動画の方を紹介しておきます。

youtu.be

 

筆者:SUMIZOON

Facebookグループ一眼動画部主宰

Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
チャンネル登録して頂けると幸いです

 

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