
はじめに
今回は、当ブログのいつものネタとは異なり、この数年感じていた事を書きたいと思います。何かというとSNSの炎上の裏でかなり儲けている人がいるという仮説(というかほぼ確かなことですが)に関してです。
ネットの炎上に便乗した形で「儲かる」だろうなというのは感じていましたし、これがネット社会のマネタイズの有力な手法であることは間違いないです。私自身少し前に軽く炎上していた件に関する考察記事を書いたことがありますが、その拡散力大きく、その様を見て、「そりゃ炎上を焚き付ける記事が増えるわな...」と強く感じた次第です。(こういった記事を書いている時点であんたも同じ穴の狢だという指摘はあろうかと思います。)
私自身、当該記事をSNS上で拡散することは一切せず、Xなどでも一切触れずにいましたが、その記事の内容は瞬く間に多くの人の拡散されました。「全面表示のどこで閉じたら分かない嫌がらせのような広告」を貼っておけば、一ヶ月食べるのに困らないレベルの閲覧数だったと思います。
今回は、陰謀論的に見えるかもしれませんが、実際に炎上の裏ではこういったことが起きているという事について書いてみたいと思います。
ネットの炎上は自然発生的な側面もありますが、その炎上する過程でマネタイズしたいという一部の人で燃料を投下されているという事実があります。
この構造はネット/SNS社会になる前からもありますが、より顕著になったのがこの10年くらいだと思います。それはオールドメディアよりもはるかに厄介な存在かもしれません。
なお、私は、ネットメディア、旧来のマスメディアのどちら側の人間でもない中立な立場としてこれを書いているつもりです。また、収益を望まず信念を持って記事を書いている人もいますのでそういう方への批判は微塵もありません。むしろこういった構造になっているだろうというSNS、ネット構造理解のための備忘録です。
ネット上の炎上の参加者
現代のSNS空間は、情報が一瞬で拡散し、誰もが発信者になれる世界です。
その中で最も注目を集めやすい現象のひとつが「炎上」です。炎上は一見、偶発的に発生するように見えますが、よく観察するとそこには明確な構造があります。
炎上の参加者は大きく2つに分かれます。
・拡散する人たち(共感・反発で動く側)
感情的な動機でシェアやコメントを繰り返し、結果的に炎上を拡大させる。
・儲けたい人たち(燃料投下する側)
炎上を意図的に長引かせ、収益や影響力を得ようとする。
あくまで表向きのスタンスは前者と同じ
この2者が揃うことで、炎上は短期間で爆発的に広がります。そして、その背後には心理的なメカニズム、アルゴリズムの特性、広告モデルといった要素が複雑に絡み合っています。
炎上に関わる二つの役割
儲けたい人たち(燃料投下側)
下記の人たちが全て儲けるために燃料投下しているとは限りませんが、その傾向はあると考えた方が自然でしょう。
情報加工のプロ:炎上の火種を見つけると、切り抜き、要約、煽情的な見出しを付けて再発信。
媒体の多様化:まとめサイト、YouTube解説動画、TikTok短尺動画、SNSスレッドなど複数チャネルを併用し、異なる層に届ける。
収益源:広告表示(Google Adsense、動画広告)、アフィリエイトリンク、チャンネルメンバーシップ、投げ銭、企業案件。Xの青バッチ。
特にXが収益化できるようになってから、青バッチアカウントの明らかなインプレ稼ぎの煽りポストが非常に目立つようになってきたのも事実です。

最近Xを見ててもしんどいなと思うのは「トレンドワード」のポストを見た時に、その手のポストを目にする機会がやたら増えたから...なので「おすすめ」ポストはほぼ見ないようにしています。
拡散する人たち(感情駆動型拡散者)
一次情報の受け手:SNSタイムラインやニュースアプリで炎上の断片を知る。
感情の即時反応:「許せない」「面白い」「呆れる」など強い感情でシェア。
自己表現の一環:意見を投稿することで、自分の立場や価値観をフォロワーに示す。
儲けたい側は計算して行動しますが、拡散する側は多くの場合、収益の存在すら意識していません。
心理的背景──エコーチェンバーと確証バイアス
エコーチェンバー現象
自分と同じ意見を持つ人とだけ繋がることで、似たような情報が繰り返し反響し、意見が強化される現象。炎上時にはこれが加速し、反対意見が「敵視」されやすくなります。先の地方の選挙などはまさにこの典型で、意見が真っ二つに分かれる傾向は今のネット社会のエコーチェンバー現象が生んだ典型だと思います。
確証バイアス
自分の信じる意見や仮説に合致する情報だけを集め、反証を無視する傾向。炎上では、事実確認よりも「自分の感情に合う情報」の方が優先され、誤情報が訂正されにくくなります。
SNSは閲覧している情報を元に、より閲覧してもらうための(読者に撮って都合のいい発言が表示される)アルゴリズムが働くので、強い確証バイアスが働く傾向にあります。なので、知らない間に「この情報こそが真実で、自分が考えている内容こそが真実だ」という考えに簡単に陥りやすいのです。
繰り返しますが、私はSNSに対して否定的な立場ではありませんが、こういった傾向があるというのは理解して使っているつもりです。
“義憤”の共有
怒りは喜びや悲しみよりも拡散力が高い感情です。心理学的にも、怒りは「正義感」と結びつくことで行動を促進しやすく、シェアの動機付けになります。よくSNSはネガティブな話題と相性がいい。という発言を目にしますが、まさにソレ。
なので、LINEのスクショで、こんな理不尽なこと書かれた。とか、客にこんな無理難題を言われた。ドラレコ映像を載せ、こんなけしからん運転している奴がいた。とか、っていうネガティブなポストはすぐに拡散されやすい。
※義憤:不正や不当なことに対して、正義感から自然に湧き起こる怒り
アルゴリズムと炎上加速
SNSプラットフォームのアルゴリズムは、エンゲージメント率(いいね・コメント・シェア)を重視します。前述のように怒りや驚きを引き起こす投稿は反応が多く、アルゴリズムによってさらに多くの人に表示されます(多くの人にとって一般人の朝ごはんの内容になんかは興味がないわけです)。
結果として、感情を揺さぶる炎上コンテンツは必然的に拡散しやすい構造になっているのです。

炎上の経済モデル
炎上が儲かる理由はシンプルです。
広告収益:ページビューや再生回数に応じて広告費が発生。
アフィリエイト:記事内リンク経由の購入で報酬獲得。
ブランド化:炎上解説を繰り返すことで「その分野の第一人者」的立場を獲得。
この手のアカウントに心当たりはないでしょうか?そのアカウント主は炎上が起きるたびに、炎上した内容にけしからんとは思わずに莫大な収益をあげてほくそ笑んでいるかもしれません。特に先の国政選挙ではそのてのアカウントが非常に目につきましたし、目にするたびにモヤモヤしていました。高確率で煽るアカウントは、何らかのニュースの形を模したサイト、まとめサイトとリンクしてものすごい数のリポストになっていましたので、それだけでうん百万円の広告収入を得ていたと思います。
数値モデルで見る燃料投下の効果
ここからは少しAIを使ってシミュレーションしてもらったのですが、燃料を投下すれば
発火から6時間後に燃料投下すると下記の様な結果が得られるというものでした。
広告単価(CPM):300円として48時間後の収益結果
・燃料投下なし:50万PV → 約15万円
・燃料投下あり:110万PV → 約33万円
・単なるウチみたいな万人向けじゃないブログ → 約300円
この差額こそ、意図的延焼の動機になります。いかに、ウチみたいなブログが儲けるには不向きかが分かります(ま、儲ける目的ならこんなブログ書いてないけど)。
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ケース |
初期PV |
燃料投下 |
48時間後 のPV |
広告収益 (概算) |
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A:燃料投下なし (自然鎮火) |
10万PV |
なし |
50万PV |
約15万円 |
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B:燃料投下あり (意図的延焼) |
10万PV |
あり |
110万PV |
約33万円 |
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C:マニアックなブログ (非炎上) |
500PV/日 |
なし |
約1,000PV |
約300円 |

中立的な考えを持つのが難しくなってきたネット社会
SNSはもともと自由な発言空間であるはずですが、今では中立を保つこと自体が難しくなっています。先に述べたエコーチェンバー現象で、一旦どちらかの側の発言を見てしまうと、反対意見が表示されにくくなるので、フラットかつ俯瞰してものごとが見れなくなるのが一番目の要因です。シーソーや天秤が一気に傾くのにそのさまは似ていると思います。SNSでは反対意見を目にして、「そいいう考え方もあるね、ふむふむ」とはなりにくい。
アルゴリズムの偏りによりタイムラインはユーザーの感情を揺さぶる投稿を優先表示し、冷静な情報は埋もれがちという点もあります。
結局当初は中立的な立場の人も、最終的には賛否いずれかに巻き込まれる状態に陥ります。どちらに転んでも反対意見側を持つ人にとって当該の人は「ダークサイドに落ちた」と見えてしまう。
この結果、炎上が発生すると社会は二極化し、複雑な事象であっても単純な対立構造に押し込められてしまいます。
この二極化は見てて非常にモヤモヤとしますが、実は中立な立場の人は意見していないだけなのですが、SNS上にはどちらか一方の意見だけがその人の意見に合わせて表示されるのです。
実例にあり得そうな例
ある有名人の失言が小規模に拡散した段階で、炎上系まとめチャンネルが動画化。
・再生回数100万回、広告収益約30万円
・動画が再度SNSでシェアされ、派生スレッドが乱立
・元の発言が切り取られた形で拡散され、誤解が増幅
・数日後、関連ハッシュタグがトレンド入りし、メディア報道へ波及
一次情報よりも加工後の情報の方がはるかに拡散力を持つ典型例です。今の高校野球の件も、一次情報が炎上の元になっていますが、既に一次情報から離れ、TVや新聞、週刊誌を巻き込み既にオールドメディア vs SNSみたいな二極化した状態に陥っています。
暴力はもちろんダメで、高校は被害者の補償をしっかりする必要があるが、SNSはネットリンチの構造を避けるべきとは多くの人が分かっている事ですが、そうは問屋がおろしません。この件、大手の週刊誌などのメディアが追い討ちをかけて行き着くところまで行く可能性もあるかと。対応が悪ければ廃部、更に深刻な状況に陥れば廃校の可能性すらあるかもしれません。
その裏では、儲けたいという人が燃料を投下しているという背景は多くの人は思わないでしょう。もちろん燃料を投下しないでも炎上はしている事象だと思いますが、一定数、これで美味しい思いをしているメディアの存在は間違いなくあります。
また、大掛かりなケースとしてはあらかじめ炎上のストーリーが決められていて、SNSの炎上(大炎上に見せかけて実のところ)は第一段階の着火でしかない場合すらあるのかもしれません。いつの世も、「許せない」という怒りは当の被害者でなく、利害関係のない第三者であっても世論やSNSの意見として集中すれば爆発的なエネルギーとなります。それは人間の本質的な部分だと思いますし、それ自体を否定するものではありませんし、そういう動き、世論でしか出せない膿ももあるでしょう。ですが、陰謀論的かもしれませんが、それによってお金が落ちる仕組みを巧妙に活かしている「正義の仮面を被った人、組織」は多く存在していると思った方が自然です。多くの人にとってそれは心当たりはあるものかと思います。
まとめ
SNS炎上は偶発的な現象ではなく、しばしば収益構造やアルゴリズムによって加速されます。儲けたい人たちが火種に燃料を注ぎ、それを無償で拡散する人たちが延焼を広げます。
現代のネット社会では中立を保つことすら難しく、私たちは「見ない・拡散しない」という選択肢を意識的に取る必要があります。
とはいえ、多分、もうこれは人間の性というか、SNSのシステム的にも難しいだろうなと...
なので、炎上を目にすると、こういう見方の分析はするののの、なるべくその話題には深入りせずに持たずなるべく俯瞰して見るようにしています。
カメラと全く関係のない話でしたが、夏休みの雑記として書いてみました。きっとこの記事はほぼ誰の目にも止まることはないでしょうけどね。ではでは。
筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。
