Lマウントアライアンスの現在地を振り返る
思えば、Lマウントアライアンスが発足したのは2018年のことです。ライカ、パナソニック、シグマという三社が手を組んだとき、正直「マイナー規格で終わるのでは?」と思った方も多かったのではないでしょうか。私の場合は、アライアンス発表時は驚きと期待でいっぱいでしたが。
それから数年でシグマの積極的なレンズ展開や、パナソニックによる動画機の強化、そしてライカのブランド力によって、Lマウントは確実に存在感を高めてきました。2022年にはDJIが加盟、さらに2025年9月にはViltroxまで加わりました。
DJIのミラーレスカメラの噂に関する過去記事
当ブログでは約一年前に下記のようなエントリを書きました。
もうこの記事を書いてからかれこれ一年経ちます。というか実は「9月」とは2025年の話だったのか?と思えるほど昔の話です。
DJIがLマウントミラーレスカメラを開発しているという噂は昨年の夏くらいから出た話です。思えばDJIがLマウントアライアンスに加盟したのは2022年6月のこと。DJIはRonin 4Dを投入しました。ですが?Ronin 4Dを使うのであれば別にEマウントで良いでしょうしRonin 4Dを使うためにLマウントを使う意味はほぼ無いと思うのです。
そもそもRonin 4Dという機材の特性から、その出荷台数はかなり限られていますし、あれを個人で所有する人というのはほぼ居ないと思います。となるとレンタル前提ですし、レンタルするのであればレンズラインナップが揃っているEマウントで使うのが前提かと思います。

一方で、DJIがLマウントアライアンスに加盟する背景には、アライアンスメンバーの立場を絶対のものとしつつ、他マウントの牙城を崩すくらいの戦略でLマウントの拡充を図り、ミラーレスカメラトップの座を狙うくらいの事があるのかもしれません。
であればアライアンスに加盟する意味があるかもと。ちなみにこの手の噂の発信源は下記。
DJIがLマウントミラーレスカメラ発表の噂
すでの多くの噂サイトで書かれている内容ではありますが、DJIが9/15にLマウントミラーレスカメラを発表するという話。すでにデジカメInfoでも取り上げられています。

AI生成による勝手なイメージ写真
2025年9月15日??
じつは9月には超重要な展示会があります。それがIBCです。
IBCは「International Broadcasting Convention」の略で、オランダ・アムステルダムで毎年開催される、欧州最大級の放送・メディア・エンターテインメント業界向けの国際展示会です。放送機器、映像・音響技術、デジタル編集、コンテンツ配信、ワークフローソフトウェアなど、メディア業界の最新トレンドや技術が集まり、クリエイティブ、テクノロジー、ビジネスのコミュニティを結集する場となっています。
2025年9月5日現在、来場者向けの出展社一覧ではDJIの掲載は見当たりません。一方、WEB検索上は「DJI(Hall 12 / Stand 12.B69)」と読める表示もありますが、IBC2025の公式サイトをみるとDJIというワードはヒットせず、現状、DJIの出展は公的アナウンスとしては確認できていません。

一般的な考えだとIBCで実機を展示すれば多くのメディアに取り上げることになり、宣伝効果は抜群です。なので、本来であれば、IBCの前日に発表、IBCでの一般展示というのが一般的な流れでしょう。
実際、過去にSONYのFS7/FX9/BURANO、CANONのC700、Blackmagic DesignのBMCC6KがIBCのタイミングで発表されたと記憶しています。
一方、DJIのミラーレスカメラと噂される製品の発表は9/15とされています。つまりIBCの最終日もしくは終了直後のタイミングでDJIが発表するという可能性を示唆しています。
今までの常識的な発表の仕方にとらわれずDJIがIBC開催直後にぶちあげる特大の花火とも考えることができます。コレ業界に喧嘩を売る形であり、かなり懐疑的です。
IBCに出展するのか、否かお分かりの方が居られればコメントに記載いただければと思いますが、近年DJIは大型の展示会には出展しない傾向にあるかと思います。というか、自社発信だけで十分注目される状態ですので、この手の展示会はDJIにとっては、もう意味をなさないのかもしれません。
各社の発表、展示が終わった後に後出しジャンケンのように大々的に製品を発表するのであればそのやり方はどうなのよ?と思わんでもないけど、それはそれでインパクトがありそうです。
でもねぇ、やっぱりなんかこのタイミングには若干違和感があるっちゃある。やっぱ噂はフェイクなんじゃ?と。
発表日以外にもある違和感
DJIブランドとしてカメラを発表するなら、それはスチル機というよりも動画機としての特性が高いはずと思います。子会社であるハッセルブラッドはスチル機としてのていで誰も違和感はありませんが、純粋にDJIがスチル機ベースのカメラを作ることがあれば、そのこと自体に違和感を感じるのです。DJIがDJIブランドとして出すのであればやはり動画とは切っても切れない製品だと思うのです。となると以下の2つの違和感が残ることになります。
・スチル機として製品発表するのであればDJIのブランドイメージに対する違和感
・動画機として製品発表するのであればIBCタイミングを絶妙に外すという違和感
となります。
噂の信憑性をどう見るか
正直なところ、この噂が本物かどうかは分かりません。過去にも「DJIがフルサイズ機を出す」というリークが出回り、結果的に肩透かしだったことがありました。
噂サイトがアクセス稼ぎのために“DJI × Lマウント”という鉄板のネタを繰り返しているだけという可能性も否定できません。とはいえ「何度も噂になる=一定の裏付けや関係者のリークが存在する」可能性もあるわけで、判断が難しいところです。
数日前にViltroxがLマウントアライアンスに参加表明した事実
2025年9月にViltroxがLマウントアライアンスメンバーになったことがアナウンスされました。というか、すでにViltroxはLマウントアライアンスメンバーの一員だと思っていたのですが、つい先日のことです。
このことと今回のDJIがLマウントミラーレスカメラの製品を出す。という事と何か関連しているのかもしれません。
Viltrox加盟との関係は?
このタイミングでViltroxがLマウントアライアンスに正式参加したのは偶然でしょうか。中華勢のViltroxとDJIが同時期に動きを見せたことで、「アライアンス内で中国ブランドの存在感が一気に増すのでは?」という予感すらあります。
もちろん単なる偶然の一致かもしれません。しかし、中国発の映像ブランドが団結してLマウントを支える構図ができあがれば、これはこれで面白い展開かもしれません。もしくはLマウントという存在がDJIに飲み込まれるという可能性もあります

現在はEマウント/Zマウント/Xマウントを中心に展開しているViltroxだが...
Viltrox Official Store – Viltrox Store
DJIがミラーレスカメラの勢力図を描きかえる時代が来るのか
この一連の噂が本当ならばという前提で書きます。SIRUIにせよViltroxにせよ、中華メーカーがLマウントに対して「美味しさ」を感じ取ったからこその加盟したという見方もできるわけで、それが「DJIの本格参入→ミラーレス時代の勢力図が大きく変わる→Lマウントの急拡大」という潮流を感じ取った可能性もあるかもしれません。
さらに言うと、DJIにとってのLマウントは既存ミラーレス勢(特にEマウント)を潰しに行く足掛かりとさえ見ている可能性もあるわけで、そうなると本当に業界の勢力図がガラッと変わる時代がすぐそこにきているのかもしれません。
ま、あくまで妄想記事ですけどね。
DJIはプロモーションの上手さによる圧倒的な追い上げや、ブランドイメージの作り方の上手さに長けたメーカーだと思います。ドローンにせよジンバルにせよ、アクションカムにせよ、すでに存在していた技術や小さな市場を圧倒的な開発リソースと資金力で市場を新たに創造することに成功しているメーカーですので、本当にLマウントの小型カメラを出すと本当に勢力図がひっくり返ることはありあるのかもと思っています。画質に関しては言いたいことは結構あるのですが、それは機会があれば別の機会にでも。
まとめ
結局のところ、真相は9月15日を待つしかありませんが、個人的にはフェイクだと思っています
発表が本当にあるのなら、Lマウントアライアンスにとって大きな転機になりますし、もし肩透かしであれば「またガセネタか…」というオチになります。
それでも、こうして繰り返し噂される時点で、Lマウントがそれだけ注目される規格になった証拠なのかもしれません。
筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。
