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キヤノン EOS C50が発表されたので詳細スペックを見ていく

ベルギーはアムステルダムで行われるIBC(International Broadcasting Convention:国際放送機器展 2025年9月12〜15日)に先立ちキヤノンが発表したCinema EOS C50について書いてみたいと思います。

一部の噂サイトではスペックや外観のリーク情報が事前に出回っていましたが、今回、海外での正式発表を受けてその詳細を見ていきます。

引用:Canon EOS C50 Video Camera - Canon Europe

日本の発表はまだですが、海外発表の内容から見ていきます。また、突貫工事で書いた記事ですので例えば4K120pのモードなどについては認識が違っている可能性もあります。間違いに気づいた段階で修正は行いますが、他のサイトも併せてご覧いただければ幸いです。

Cinema EOS C50概要

まずは概要です。フルのスペックシート(PDF)はUSサイトのこちらからダウンロードできます。

・新開発の7Kフルサイズセンサー(32.3MP)
・CFexpress Type B / SDの2スロット構成
・7K最大フレームレートは60p (RAW収録のみ。7K30pはHEVCでも収録可)
・7Kオーバーサンプリングによる4K60p収録(クロップ無し)は60p HEVC収録可能
・内部RAW収録可能
・ボディ内手ブレ補正あり?
(5軸手ブレ補正との記載はあるがセンサーシフトの記載は無し。おそらく5軸ジャイロを元に電子補正を行う方法と推測。詳細確認中)
・オープンゲート撮影対応(x2.0 / x1.8 / x1.5 /x1.3対応)
・空冷ファン搭載
・4K120p(Slow / Fast Motionモードのみ RAW撮影不可 センサーの駆動詳細は不明)
EVF無し
・ビルトインNDフィルタ無し
・背面液晶:バリアングル
・TC端子
・UVC対応
・バッテリー(LP-E6P/LP-E6P NH)

引用:Canon EOS C50 Video Camera - Canon Europe

まず、C50に搭載されているセンサーは完全に新開発の7Kセンサーのようです。過去にキヤノンは7Kのフルサイズセンサーを搭載したカメラはありません。

引用:https://www.usa.canon.com/shop/p/eos-c50

EOS R5やR5C系のセンサーはフルサイズ8Kですし、EOS C80/C400はEOS R3をベースにしたと思われるフルサイズ6Kセンサーですが、今回あえてその間の7Kという解像度のセンサーをC70に搭載していることからこのカメラの力の入れ方が見て取れます。

引用:Canon EOS C50 Video Camera - Canon Europe

なお、このセンサーは画素周辺エリアが大きいことから画素エリアの上下にカラムA/Dを搭載したタイプで、積層センサーでは無いものと推測します。
EOS R3/R1系やEOS R5では積層型を採用してきたキヤノンですが、カラムA/Dや周辺回部をロジックチップに搭載せずとも十分な速度を確保できているようです。

発表から見るC50の気になった特徴

まだ実機を触ったわけではないですが、発表内容から印象的な点をピックアップして紹介します。

物理ボタンがかなりある

カスタマイズ可能に見える物理ボタンは多いです。これはカスタマイズしがいがあるとも言えます。実際にどうやってカスタマイズをするのか、どうやったら使いやすいのかを考え甲斐がありそうです。カメラは言うなれば手段であり道具です。その道具が使いやすくカスタマイズできることに私は大きな意味があると思いますので、もし実機を手にすることがあればとことんカスタマイズして使いたいものです。

引用:Canon EOS C50 Video Camera - Canon Europe

引用:Canon EOS C50 Video Camera - Canon Europe
あとはSETの周りのダイヤルらしきものがダイヤルなのか、それとも単なる斜め入力可能なボタンなのかどうかも気になるところ。

メカシャッターレスである

ここはある意味予想通りではあります。わざわざ動画撮影を主眼に置かれたCinema EOSにメカシャッターを搭載してくる意味はないでしょうからメカシャッターは当然ありません。Cinema EOSで唯一あったのは懐かしのEOS-1D Cくらいだったと思います。

空冷ファンファが搭載

これは予想されたことですが、空冷ファンが搭載されています。

ベース感度、ハイライト余裕

Canon Log 2/Log3のベース感度は800/6400

引用:Canon EOS C50 Video Camera - Canon Europe

このことからもデュアルゲインセンサーであることを示唆しています。スペックシート上はハイライトは1600%で飽和するようですので18%グレーを基準として約6.47STOPとなります。これは高画素センサーとしてはかなり高い部類と思います。実際はシャドー側にどのくらいの情報が残っているかでトータルレンジは決まりますので、ここら辺は実機評価してみたいと思います。

手ブレ補正は電子+レンズ協調型?/NDフィルタ非搭載

Cinema EOSは今までボディ内手ブレ補正機構を搭載したカメラはありません。Cinema EOSの熱耐性の強さはここに理由があるのかもしれません。
EOS R5Cではボディ内「電子」手ブレ補正でしたし、EOS C80では内蔵NDフィルタはあるもののボディ内手ブレ補正の類は搭載されていません。いずれにせよCinema EOSシリーズには物理的にセンサーシフトさせるボディ内手ブレ補正を搭載したカメラはありませんでした。今回のEOS C50はボディ内手ブレ補正を下記の様な記載にしています。

引用:Canon EOS C50 Video Camera Specifications - Canon Europe

ここに関しては、物理的にセンサーシフト式のBISが搭載されているのか否かについては詳細確認中ですが、IN-BODY IMAGE STABILIZERの記載がOptiocal and Digitalという記載になっているため、いわゆる5軸のジャイロ情報を活用した電子手ブレ補正の類なのかと推測します。これに近い記載は初代EOS R(BIS非搭載)でもされていたと記憶していますが、詳細が分かれば追記します。ただ、これに関しては主に回転ブレ(Roll)に関しては電子のみで、Pitch/Yawに関してはレンズの光学補正を主に使うものと推測しています。

オープンゲート撮影に対応する

Cinema EOSやEOS Rシリーズでは3:2のアスペクト比率のオープンゲート撮影ができるカメラは今まで無かったというのが私の認識です。オープンゲート撮影といえばLUMIXが有名ですが、ついにEOSでもオープンゲート撮影ができるようになります。

引用:Canon EOS C50 Video Camera Specifications - Canon Europe

これはデスクイーズ表示が内部で4パターン選べることを意味しているのかと思いますが、こちらも実機確認したい部分です。

高解像度の4K120pが撮れる?

これはちょっと分かりません。話は少しそれますが、EOS C80/C400のセンサーは4K120pの撮影においてフルサイズ画角で撮影することはできません。そもそもC80/C400のセンサーは120pのフレームレートを6K解像度で撮影できないのはセンサー自体の速度限界があるからと推測されます。ところが今回のC50ではSlow and Fast Motionレコーディングモードで4K120pが記録できる記載があります。

引用:https://www.usa.canon.com/shop/p/eos-c50

7Kセンサーからフル画角の4K120pの映像を撮影するための方法は2つ考えられます。

・7Kからのオーバーサンプリングからの4K映像
・7Kの2画素混合=3.5Kからのアップコンバートでの4K映像

の2つです。個人的にはEOS C50がこのどちらの方式を実現するのかが気になっています。ただ、これに関しては4K60pが7Kのオーバーサンプリングである旨はセンサーの特徴として記載されているものの4K120pに関しては触れられていないので、後者なのか?とも推測されます(クロップされる旨の記載は見つけられなかったので)。

ここら辺も何かわかれば追記します。

カスタム周りの仕様は使ってみないと分からなさそう

カスタム登録系の機能は個人的に気になっています。私や、私の界隈の動画撮影者は複数のカスタム設定に異なるフレームレートなどの動画設定をセットし、撮影現場で瞬時にそれらを切り替えることによって多くの撮影バリエーションを撮るという撮影方法を行なっています。これは撮影時間が限られるドキュメンタリーやイベント記録系の撮影ではある意味必須の機能(私の界隈では)で、いかに撮れ高を稼げるかがカメラを選ぶ基準になったりします。EOS C50はカスタムボタンが豊富なのでカスタマイズ性が高いのでカスタム登録周りの仕様も作り込まれていることを期待していたりします。
ここら辺の仕様が実際にどうなっているのかは実機で試したいところです。

EOS C50のターゲットになる層は?

EOS C50は今までのCinema EOSよりもかなり広い動画撮影者層を視野に入れて開発されたカメラだと思います。日本での値段はまだ発表されていませんが、歴代のCienama EOSの中でも安い部類に入ることが想定されます。そして今までのCinema EOSに比べると断然使いやすさを感じるようなスペックになっています。従来のCienema EOSよりも小型化されたパッケージングにもそれを感じさせるものがあります。こういった所はライト層にも大きく響くものと思います。

7Kという解像度からもクロップ耐性の自由度も高いですし、あえて8Kにしなかったところからも解像度とフレームレートバリエーションの高さを両立させた自由度の高いカメラであると感じます。なおEOSの8K系カメラでは8KオーバーサンプルでのHEVC収録ができないので、C50は7KオーバーサンプルHEVC収録ができる点だけでも価値があると思います。

繰り返しになりますが、このカメラは上位機種を食ってしまうほど幅広い動画撮影者をカバーしている動画カメラという印象を受けました。

とにかく一度使ってみたいぞ

EOS C50に限らずいつも書いてますが、新し物には目がない私なので是非使ってみたいカメラです。

以前EOS R5MarkIIの際にはしばらくお借りして下記記事の執筆をしつつ作例を撮りましたが、その時から何度かEOSを触っているもののガッツり触っていないので是非とも触ってみたいです。

 

というわけで、他にも続報があれば当ブログで紹介したいと思います。ではでは。

 

筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人

2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。

 

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