こんにちは、sumizoonです。
スチルで複数三脚を持っている人はこの流れを経験したことがあると思います。
・とりあえず安いの買う 以降、三脚沼と一脚沼、雲台沼にハマっていく... |
スタビライザー(電動三軸ジンバル)も同じ傾向を持つ製品かもしれません。スマホ様に軽いのが欲しい、小型のミラーレスに中型のが欲しい。そして、大型のカメラや大型のレンズ付けた場合に大型のスタビライザーが欲しい。
ウチにこの度やってきた新しいスタビライザー(とは言え代理店様から提供頂いた品になります。)MOZA Air2はしっかりどっしり、そして4.2kgの負荷に耐えられる横綱級のスタビライザーです。剛性感も半端ないです。
ただし、いつもどこでもこれで撮るかっていうとそれは無いかもしれない、でもガチで撮る場合は私の必須のアイテムとなり、そうなそんな製品。
「悪い点は悪いとはっきり書いていただいて結構です」といつも言って頂いてますので今回も公平な目でレビューを書いてみたいと思います。
なぜRoninSじゃなくてMOZA Air2なのか
この重量級クラスのスタビライザーの代名詞と言えばご存知DJI RoninSです。今回は使ってもいないのにRoninSと比較しても信頼性に欠けるので友人から一ヶ月ほどRoninSをお借りしてRoninSとの比較を行ったうえでレビュー記事を書きます。
DJI RoninSに対して優れている点
肝心のジンバルのスタビライズ特性については特段大きな違いは感じられませんでした。両者自分好みの設定まで追い込む事ができました。
DJI RoninSに対して劣っている点
一方、RoninSに劣るところもあります
- バッテリーグリップ部が脱着式ではないのでコンパクトに収納ができない
- 現時点でGH5のUSB経由でのフォローフォーカスやISO変更などのカメラコントロールには対応していない。(2.5mmのピンプラグ使えば録画開始停止は現時点でも対応)
- 本体充電が出来ない。(バッテリーチャージャーのみ充電可能)
なお、両者の共通事項としては以下の事が言えます。
- どちらも今までのスタビライザーには無い圧倒的な剛性感がある。
- 重い。。。
以前から至る所で書いてますが、ジンバルは「映像を撮るための手段」であって、これを扱うことが目的ではありません。 なので本来軽くて扱いやすい「道具」として優れている方が良いです。
どっちが買いなのか?
いくつかの観点でどちらが買いなのか、を書いてみたいと思います。
機能的な観点
GH5で純正レンズを使って簡単にフォローフォーカスをしたいならDJI RoninSの方が向いているかもしれません。上記の様に「現時点」ではスタビライザーとカメラをケーブル一本で繋いでフォローフォーカスすることが出来ません。なので今すぐこの機能が欲しいという方はDJI RoninSの方がよいと思います。
ただし、この本体のみでフォローフォーカスする機能に関してはMOZA側がファームアップをする可能性を示唆していますので近い将来ケーブルのみでフォローフォーカス出来る可能性があると思われます。対応ファームが出たらすぐに試したいと思います。
※現状の最新ファームではGH5/S1/S1Hでフォローフォーカスが可能であることを確認しています。(ただし、GH5よりもS1/S1Hの方がホイールとの相性は良いです。回転角に対して適度にフォーカス移動させやすい)
運用的な観点
紹介動画でも述べていますが、RoninSとの大きな違いはOLEDを搭載したMOZA Air2は本体のみでほとんどの設定を行える点にあります。
ジンバルのモーター軸には
Tilt(Pitch) / Roll / Pan(Yaw)の3つの軸がありますが、どの軸をロックするのかフォローに設定するか、また軸のフォロースピードをどう設定するかを本体のディスプレイを見ながらジョイスティックをポチポチ&ダイヤルをグリグリすることで簡単に行いたい動きに設定する事が可能です。
Tiltは上下方向の動きに対する軸でRollは撮像面から見た回転方向の軸、Panは左右方向に対する軸になります。
撮影したいシチュエーションやモーションに合わせて必要な軸を撮影者の動きに合わせてジンバルがフォロー(追従)することでスタビライザーは浮遊感のある特有な動きをすることが可能ですが、モーションに不要な軸はロックさせてしまうのが良いと思います。この表示がF(Follow)/L(Lock)として表示されています。
各軸のF(Follow)↔︎L(Lock)の状態変更は、ジョイスティックを押し込む回数で変更することができます。
ジョイスティック1回押し:Pan軸のF(Follow)↔︎L(Lock)状態変更
ジョイスティック2回押し:Roll軸のF(Follow)↔︎L(Lock)状態変更
ジョイスティック3回押し:TiltのF(Follow)↔︎L(Lock)状態変更
となります。慣れてしまえばこれは凄くわかりやすく設定変更が非常に容易です。常にこの状態はモニタに表示されていますので間違った設定をしていたとしても瞬時に設定をやり直す事ができます。
また、意外と設定をコロコロ変えたいけど変えにくかったフォロースピードはジョイスティックの下にあるダイヤルをクルクル回すことでこれまた簡単に行う事ができます。
余談ですが、ほとんどのスタビライザーはこのフォロースピードが比較的速く設定されていると共に後に述べるデッドバンド角が狭く設定されています。私はフォロースピードは遅く、デッドバンド角は広く設定したいカメラマンなのでジンバルを買ったら真っ先にここを設定します。古くはこの設定はパソコン経由でしか設定できませんでした。
ここ数年でスマホのアプリからBluetooth経由で設定できる機種がほとんどになったもののやはりスマホを撮影現場でいちいち取り出して設定するっていうのは面倒です。
このAir2は各軸のF(Follow)↔︎L(Lock)状態変更、フォロースピード設定、デッドバンド角の設定は当然の事の様に設定可能で、モーターパワーの設定やフィルターの設定まで可能なのでスタビライザーをある程度使いこなしている人でも満足いくところまで本体飲みの設定で追い込む事が可能です。
MOZA Air2の本当に運用が楽な点はこの部分にあると言えます。古くからスタビライザーを使っていた人は必ず家でPCで作った設定を撮影現場で試しては「これじゃあかん!もう一回家で練り直しだ!」と失敗を繰り返していた人も多いと思います。今はたとえ気に入らない設定になったとしてもスマホさえ不要でダイヤルをクルクルしてポン!と設定変更が可能です。本当いい時代になったものです。
カメラを搭載するプレート構造もよくできています。これもRoninSには無い機能です。従来のスタビライザーはプレートを固定する位置で前後バランス調整を兼ねていましたがAir2は前後バランス調整部とプレートの取り外し部が独立構造となっています。要は一旦カメラをスタビライザーから取り外してしまうとバランスを取り直ししないといけなかったのですが、それが不要になるというものです。私はスタビライザー撮影と三脚、手持ち撮影をコロコロと変更する人なので、これは非常に助かる作りです。
てな訳で運用面においてはRoninSに比べて圧倒的にAir2に軍配が上がります。
劣っている点はバッテリーが本体充電に対応していない点挙げられますが、この点に関しては撮影が週1〜2回程度の頻度であれば特に問題はないと思います。
分解しての収納が不要という点もありますがこれも大きめのカメラバッグで対応しています。
総合的な観点
RoninSが大きく勝っている点はDJIと言うブランド力でしょう。その知名度は動画界隈ではもう知らない人はいないくらいでしょう。私もDJIのドローンを所有、愛用している1ユーザーでもあります。その中で思うのはDJIは大手企業と言う事もあり大きな代理店を通しての修理サポートもしっかりしていて、将来的にRoninSのファーム更新などのサポートやオプション展開もしっかりしていると感じます。そういった点を期待するならRoninSの方が良いと思います。
ではGUDSEN製品はあかんの?と言うとAmazonなどで修理交換対応してくれるちゃんとした販売店がありますし、昨年から国内のリンクスインターナショナルが扱うことになった事もありヨドバシなどの大規模小売店舗での販売も始まりました。なので販売点をよほど怪しい所で買わない限りは修理の時に困ったと言う事にはならないと思います。
GUDSENは近年MOZA Air/Aircrossの評判の良さで急激に知名度を上げてきたメーカーの一つです。少なくとも性能、品質がZhiyun、Feiyu-Tech、Pilot-Flyなどのメーカーよりも落ちる事は無いどころが値段はそれらメーカーの製品よりも安いです。
安くて製品の品質も良いと言う点はGUDSENの真骨頂だと思います。ここに書いたのは一個人の意見ですので他の人の意見も参考にして頂いたら良いと思いますが、私はGUDSENの製品が凄く気に入っていることは事実です。
では次回から少しMOZA Air2の機能について述べていきたいと思います。