はじめに
今回はGoogle Pixel 9 Proに搭載されている動画ブーストという機能を使った8K撮影について書いてみます。
Google Pixel 9 Proの製品ページを見ると下記のような記載があります。
Google Pixel 9 Proの製品ページより
https://store.google.com/jp/product/pixel_9_pro_specs?hl=ja
この「動画ブースト」と言われるGooglePixel の機能とは何なのか?多くの人は認識がないと思います。私も実際に撮影するまで、その仕組みを全然理解していなかった一人です。これを読むと「よく分からないけどGoogle Pixelでは8Kが撮れるんだな?」程度の理解になると思います。
Google Pixel 9 Pro 8K動画作例
とりあえず、Google Pixel 9 Proで撮影した映像をご覧くださいませ。
本映像は8Kがオリジナルのサイズですが、少なくとも4K以上の視聴をお勧めします。これを見ると、「スマホ映像もここまできたのか」と思われると思います。特にその解像感は異常なレベルに感じると思います。
なお、この画質の良し悪しに関しては後半で述べたいと思いますが、スマホカメラにありがちな「わざとらしさ」「後処理臭さ」を感じる画質をいう印象をうけます。なので、上記作例では若干手を加えて少し自然な感じで見れるように調整を行なっています。
Google Pixelの動画ブーストとは
Google Pixelの動画ブーストとは簡単に言ってしまえば、撮影した映像が自動でクラウド(Googleフォト)に送信し、クラウド上で8Kにアップコンバート(変換)される仕組みです。その結果はローカルに自動保存(クラウドからダウンロード)されます。
なので、その機能の本質はスマートフォン端末というよりもクラウドを含めたサービスということが言えます。なお、この処理を行う場合はユーザー側のGoogleドライブの空き容量が必要です。そのため端末の容量が空いても、Googleドライブ(Googleフォト)の空き容量がない場合は動画ブースト機能は使用することはできません。(撮影はできるのですが、アップロードができない状態で糞詰まり状態となります)
一応googleのサイトの文章は以下のように説明しています。
Google Pixel で動画ブーストを使用する
Google Pixel では、明るさや色が自動的に調整され、細部まで鮮明に映し出された高画質の動画を作成できます。この機能は、Google Pixel 8 Pro、Google Pixel 9 Pro、Google Pixel 9 Pro XL でのみご利用いただけます。動画ブーストで動画のバックアップと処理を行うには、Google フォトが必要です。詳しくは、Google フォトを使ってみるをご覧ください。
8K変換後のファイルサイズは結構デカいが被写体や撮り方に依る
クラウド変換後の動画ファイルを20個ほど調べてみました。記録時間と変換後の容量を単純計算した結果が下図になります。
私が確認した中で8Kアップコンバード後の最大ビットレートを示したのはFootage NO.17
25秒強の8K30pクリップで1.64GBでした。これをビットレート直すと500Mbsオーバーです。
これは概ね128GBの容量を30分で食い潰すくらいの比較的高いビットレートと言えますが、8K30pとしては比較的一般的なビットレートかなと思います。
一気に撮影すると動画ブースト処理に時間がかかる
これはクラウド側の処理リソースにも依るのかもしれませんが、多くのクリップを撮影した場合、そのアップコンバート処理は時間がかかります。そもそも通信速度が遅ければクラウドにアップロードするだけでもそれなりに時間がかかります。たとえば4G/5Gのモバイルネットワークを通してのGoogleフォトへのアップロードは行なわれない設定をデフォルトにするケースが多いと思うので、WiFiに接続するまでずっと処理がなされないというケースもありえます。
また動画データがアップされてもすぐにブースト処理が実行されるわけではなく、ある意味クラウド側の都合でその処理時間が変わってきます。10秒の動画がバックアップを含めて5分程度で8K化されるケースもあれば、30分まっても処理が終わらないケースもある様です。
なので今回の作例の様に山の中で撮影をして自宅に戻ってきたとしてら全てのクリップが下記のような状態に陥ります。私の場合全ての処理が終わったのは撮影を行った次の日だったと思います。
つまるところ動画ブーストによる8Kは「撮影してすぐに編集に入れる」というものではありませんので、そこのところを理解して使いこなすのが良いと思います。
Google Pixelの動画ブーストによる8K画質
Google Pixelの動画ブースト8Kの画質というよりもクラウド上で処理される8Kアプコンの画質と言った方が適切かと思いますが、その画質について書いてみたいと思います。
結果から書くと今回の作例の様な高解像度を要求されるような被写体の場合、「効果はかなりある」と言っていいと思います。スマートフォンで撮影された動画とは思えない程の解像感は出せます。が、先にも述べた様にその画質には若干「嘘臭さ」というか「処理臭さ」というか「デジタル臭さ」とのものが見られます。そもそもエッジが不要なほどに立っていて明瞭度が異常なほどに変換されてしまうのがその主要因かと思います。
①動画ファイル(元素材からの切り出し)7680x4320ピクセル
元の画像を見てみるとこんな感じです。解像度の高い映像を「目に刺さる」と表現する人も多いですが、これだとちょっと行き過ぎな感じというのが全体的な画像印象です。
画像を倍に拡大してみると下図の様になっています。
さらに倍のトータル4倍 スモールセンサーなりの画質がベースだからかもしれませんが高い解像感に対して輝度の階調が出ていないような雰囲気です。特に中央付近の枯れた葉っぱなどはのっぺりしていてもう少し階調が欲しい印象です。
さらに拡大して中央部のシダ植物を8倍にまで拡大したものが下記になります。この部分はいわゆるエッジの縁取り的な処理がなされていそうな雰囲気の画像です。枯れた葉っぱの内側部分は明瞭度が低いですが、シダの葉のエッジに関してはバギバキに立っている印象です。背景が暗いところでは明確に葉っぱのエッジに縁取りしたような処理がなされています。
④ ①の動画ファイルの中央部分を8倍に拡大
これがどのくらいクラウド上での処理に起因したものなのかは分析ができていませんが、逆にいうと文句の付け所に関してはこれくらい。人物撮影でこの機能を使ったことはないですが、少なくとも風景撮りに関しては限りなく8K(ぽい)映像は十分に得られていると感じます。
動画からの切り出しサンプル
他にも何枚か作例動画からの切り出ししたものを貼っておきます。いずれのカットもオリジナルサイズで貼っていますので気になる方は拡大してご覧くださいませ。
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
Google Pixel 9 Pro 動画ブースト8K(8K30p)
最後にもう一回動画作例貼っておきます。
まとめ
クラウドを利用した8Kアプコンという処理ですが、想像していたよりも効果が大きくその映像は8Kと言っていいほどに解像感が得られていると感じました。暇があればチャートを撮って解説したいと思います。ただし、この結果はたまたま相性がいい被写体だったからという可能性もあります。これから他にもいろいろ撮ってみたいと思います。でも逆に考えると8Kが効果的なシチュエーションは私が撮ったようなシチュエーション以外にあまり思いつかない。。。ってのもあります。
まぁいずれにせよ、スマホが照度条件がいい中での撮影とはいえ、これだけの画質を出せるというのは恐ろしい事です。一方で勘違いしないで頂きたいのは、アップコンなどの画像処理無しに撮れるミラーレス一眼の画質はまだまだスマホに対してアドバンテージがあるということです。よく、ミラーレス一眼とスマホの画像比較をしている方がSNS上では見受けられますが、それらは限られた条件で撮るなら結果
一眼≒スマホ
となりますが、その階調性や絵の素直さは圧倒的に一眼に軍配が上がります(差は縮まってきているとは言え、少なくとも今はそうだと言えます)。後処理に対する余裕度も全く違います。ましてや動画撮影における高感度特性は比較になりません。
それは高画質スマホと一眼を両方使っている人にしか分からないことかしれませんが、使っている人がその絵をNELに取り込んだなら一発でわかるレベルです。
AIなどの画処理に大きく頼らない一眼画質はさらなるスマホの高画質化が進んでもその存在意義はこれからも十二分あるでしょう。そこそこそれっぽく見せるならその限りではありませんが、私は
一眼>>>>>スマホ
と感じるものです。例えその感覚が「古いよ」と言われようとも。少なくとも2024年にはそう思っている。という私の備忘録でした。
まぁ、一年後あたり違う事言ってたらスイマセン。
ではでは
自己紹介
筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。