LUMIX S9を手にしたその日は2024年6月20日
梅雨入りしていたもののその日は天気が良くて暑い日だったので、そのまま蛍の撮影でも行こうとおもって近所の箕面の滝道に向かいました。
もちろんミニ三脚を持って「さーて、S9で一丁蛍のコンポジット撮影でもしますかぁ〜」と思ってました。ですが、無いんですよね。LUMIX S9にはライブビューコンポジットが。。。
ライブビューコンポジットとは
一度でも使ったことのある人であればその恩恵はわかるはずですが、いわゆる比較明合成写真がその場で手軽に撮れる機能です。
ライブビューコンポジットはマニュアル露出で撮影することが前提の機能ですが、撮影枚数を複数枚撮ってそれをカメラ内で合成してくれる超絶便利な機能です。どんな被写体に向くかというと、星の軌跡を撮る場合、花火を時間軸を超えて合成する場合、蛍を撮る場合、夜間に車のテールランプをひたすら重ね合わせたい時などその応用範囲は結構あります。
S5IIなどではライブビューコンポジット機能がファームウェアアップデートにより機能追加された
この機能は撮影中にその合成度合いがリアルタイムに表示されるのが一番便利な点です。
ですが、他のLUMIXに搭載されている「ライブビューコンポジットが無い。。。。」
ライブビューコンポジットが搭載されていない理由
一度ライブビューコンコジットを使ったことがある方はご存知かもしれませんが、ライブビューコンポジットは下記の様な動作をします。
⓪シャッター幕を閉じた状態で撮影(ダーク取得)
①実撮影(1枚目)&⓪で撮影したダークを減算
・・・・
ⓝ実撮影(n枚目)&⓪で撮影したダークを減算
①〜ⓝを繰り返し明合成写真ができますが、画面で表示されるのは1枚目からn-1までの比較明合成の結果です。それぞれの画像は⓪で取得されたダークが引かれていることによって長秒ノイズをキャンセルする機構が働きます。
固体撮像素子による長秒撮影というのはノイズがオフセット成分として乗ります。そしてそのノイズ成分はシャッター幕を閉じて実撮影と同じ秒数撮影すれば取得する事ができます。よくカメラの設定で「長時間露光時のノイズリダクション」というのがありますが、たとえば30秒の露出をおこなった場合、それと同じ秒数(30秒)をシャッター幕を閉じて撮像することでダーク取得を行い、実撮影データから引き算を行います。これを「ダーク減算する」とか「ダークを引く」と言ったりします。
上の例では実は⓪の取得とⓝの温度差が非常大きい場合は正確にはⓝでの撮影に乗っているダーク成分を⓪で撮りきれませんがガチの星夜写真を撮るとかで無い限りは問題ないレベルだと思います。
さてここまで書いたらなぜLUMIX S9に「ライブビューコンポジットが搭載されていないのか」はお分かりかと思います。そう、LUMIX S9にはダークを引くためのシャッター幕が存在していないためです。LUMIX S9に限らずSIGMA fpも同じです。
ちなみにNIKON Z8/Z9やα9IIIはメカシャッターが無いカメラとして有名ですが、それらカメラにはセンサーシールドと言われるものが備わっていて長秒露光の際のダーク減算するための機構として働きます。将来的には長秒露光時のダークノイズがゼロにできればダークを引くという行為は不要になるはずですが、おそらくその未来はなかなか来ないものと思います。
でもやっぱりライブビューコンポジットは搭載してほしい
とはいえLUMIX S9に搭載されているフルサイズセンサーは長秒露光時のノイズはさほど大きくはありません。これはセンサー自身が非常に優秀だからという事が言えるのですが高感度であっても30秒位の露光であればぶっちゃけダークをほぼ引かなくても絵として成り立つほどの実力を持っています。
なので、ダークは引けないながらもライブビューコンポジットは搭載してもいいんじゃね?と思ったりします。パナの技術者は非常に真面目なので「ダークが引けないならライブビューコンポジットは搭載しない」と言う発想になったのだと思いますが、花火撮影とかでの撮影の利便性を考えるならやっぱりあったらいいよねぇと思うのです。
LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.
F6.3 SS10 ISO100
他のカメラにあってLUMIX S9に無いもの
メカシャッターとEVFとホットシューに関しては搭載されていない事が多くの人に知られていますが、もうひとつ重要なものが搭載されていません。それは「リモート端子」です。いわゆるレリーズケーブルを接続する機構がないのです。これも割り切りの一つだと思いますが、このコンパクトなカメラだからこそ手軽に花火や蛍、星景写真を撮りたいと思うのは私だけではないと思います。いずれも重い機材を持って歩くのはしんどいシチュエーションになりがちなのでカメラはコンパクトな方がいいのです。
解決する方法
ライブビューコンポジットが搭載されておらず、リモート端子も無いとなると、長秒露光かつ明合成をするのはちょっと面倒ですが、下記の様な方法になります。明合成を前提にした撮影は本体に触ってシャッターを切る撮影はNGです。一枚撮りであればセルフタイマーを使って撮影してもOKですが、カメラはシャッターボタンに触れるだけで位置が微妙に変化してしまいます。複数枚を合成する前提であればカメラには触れずに複数枚を撮影することが前提となります。
撮影時の対策①:インターバル撮影を使う
インターバル撮影機能はひたすら一定間隔で撮影を繰り返す撮影方法です。記録した画像は当然一枚一枚RAWで撮影されるので、最終合成写真しかRAWで残らないライブビューコンポジットよりもむしろポスト処理に長けた撮影方法といえます。
なので、この方法を使うのが一つの方法です。
撮影時の対策②:リモート撮影アプリを使う
もう一つはLUMIX Syncのようなリモート撮影アプリを使ってスマホ側からシャッターを切る事です。これであれば自分の意図したタイミングでシャッターを切ることが出来ます。とは言え、LUMIX Syncはカメラと接続されればちゃんと動きはしますが、接続性が悪かったり、カメラがスリープに入ったら接続が切れてしまうといった使い勝手の悪さがあります。
一方でLUMIX Labは非常に接続性が良いのでLUMIX Labに撮影機能を統合してくらたら。。。と思っているところです。
後処理で比較明合成を行う
ライブビューコンポジットで出来ない!と言うタイトルでこのエントリを書きましたが、そもそもライビュビューコンポジットは非常に撮影失敗のリスクが大きい撮影方法です。例えば、蛍の撮影中に、周りの撮影者がストロボと焚いてしまったり、懐中電灯を照らしてしまうと、それまでの撮影が「パー」になります。それこを30分かけて撮影したデータも全て「オジャン」なので、ライブビューコンポジットで長くても2,3分で終わる様な撮影で使うのが一番良いと思うのです。
やはりどんなにカメラが進化したとしても撮影後に合成するという方法が一番リスクが少ないと思うのです。
では、後処理でどんなソフトを使えばいいのかですが。。。
明合成を行うソフトは複数ありますが、一番多機能なのはAdobe Photoshopでしょう。まぁ多機能過ぎて全部使うこなせないレベルですが。。。
問題はお値段がそれなりにかかる事です。あとはGIMPを使って明合成を行う方法であれば「タダ」です。こちらも高機能ですが、使い方に少しクセがありますので慣れは必要ですが、強力なツールです。なので本を買って勉強するのもアリだと思います。
いずれもレイヤとして複数枚の画像を取り込んでそれらを比較明合成して保存すれば簡単に合成できます。もちろんライブビューコンポジットと異なり、自分の好きな写真のみを重ね合わせる事ができますので、確実な方法だと言えます。
あとは、スマホアプリを使って合成する方法は今どきいくられでもあると思いますので、
PCを使わずに合成したいぜ!って方は是非ご自身で探してみてください。
自己紹介
筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。