LUMIX S5IIXのレビューですが先日下記で記載させていたきました。
動画ユーザー待望 究極オールラウンダーLUMIX S5IIXレビュー | Vook(ヴック) より
これについて補足する記事を書いてみたいと思います。
S5IIX を予約済みの私でしたので、S5IIのレビュー時から「S5IIXをはよ使ってみたい〜」って思っていました。 S5IIとの違いにかなりフォーカスした内容ですので、コアな人以外には少し難解だったり眠くなる内容だったなぁと記事を改めて見ると感じるんですよね。。。ここでは細かい話をせずに少しだけ感覚的な話を含めて書いていきたいと思います。
でも、まさか同記事がPanasonicの公式HPで紹介されているとは思わなんだ。。初めて見た時に「うそん〜」って思いましたw
LUMIX S5IIXをオールラウンダーと表現した理由
前置きが長くなっちゃいましたが、オールラウンダーという表現はメーカーも発信しているキーワードです。私自身このキーワードはしっくりきていて、それをそのまま記事のタイトルに使わせていただきました。
・動画RAW(ProRes RAW / Blackmagic RAW)とProResなど幅広いフォーマットに対応
・外部SSDに対応
・マトモに使えるオートフォーカス
・長時間撮影に対応
・ライブ配信にも対応
・比較的安価
・軽く堅牢性が高い
幅広い層にリーチするという意味でもS5IIXはよく出来たプロダクトなのは間違いないと思います。ただし、制限事項がありますのでその点は理解して使うことが必要です。この点は後述します。
値段帯は全く別ですが、時同じくして8Kを撮影できるカメラが話題ではあります。ですが8Kに関しては撮影、編集できる環境が多くの人にはまだ備わっていないという認識です。8Kの敷居は環境的にも敷居が高い。一方でS5IIXは比較的ライトな層から扱えるものですし、定評のあるRAWフォーマットに両対応、さらにはポスプロと親和性の高いProResを安価で撮影できる他には無い特徴を有しています。
ぶっちゃけProRes422(HQ)が(SSDが必要とはいえ)外部レコーダー無しにに撮れるフルサイズミラーレス機は私の知る限りS5IIXを含め3台。その中で圧倒的にコスパに優れていてライトに撮れるのがS5IIXです。まぁ、数年後はいろんなカメラでProResが撮れるようになるのかもしれないけど、現時点で一番バランスが取れていると言えます。
そして追加で10万出せばフルサイズで6Kに近い解像度でBlackmagicRAWも撮れる。拡張性が高いのもウリです。
被写体に関しても人物から風景、動きモノの撮影でも幅広く使えるのでオールラウンダーに相応しい製品という事ができます。
作例に関して
異論はあることは承知していますが、私が作例を作る上で意識するのは、誰でも撮れるレベルのものを作ること。私自身、大した映像を撮れる人間では無いのでフツーの人がフツーに撮ったらこれくらいのものが撮れるという感覚で見てほしいという所があります。作家性のある作品は著名な映像作家の方々の映像を見ていただくとして、「ワンカットワンカットでこのカメラで撮れるものをイメージしてもらう」と言う作例を作るのが私の思いです。作例の依頼を頂いた場合は一番意識するのはこの点です。
このカメラを手にする人は映像を生業としている方も多くおられるかと思いますが、そのほとんどは私と同じ一般の人。そんな人がこのカメラを手にした時に得られる映像の可能性やその片鱗を紹介するのが私にできることかなと考えます。つまりプロじゃなく完全に一般人目線です。まぁオタク目線かもしれん。
LUMIX S5IIX First Look Vol.1
使用レンズは
・LUMIX S 35mm F1.8
・LUMIX S 24-105mm F4
全編手持ち撮影
撮影に関しては全編Blackmagic Design Video Assist 12G HDRを使用したBlackmagic RAW(.braw)撮影となります。DaVinci ResolveのS5IIXの.brawに対応した評価版を使用させていただいての現像をおこなっています。
LUMIX S5IIX First Look Vol.2
使用レンズは
・SIGMA 50mm F1.4 | Art
全編手持ち撮影 内部収録による4K ALL-I撮影をおこなったものです。ほぼ全カット認識AFを使用した撮影となります。
LUMIX S5IIX First Look Vol.3
使用レンズは
・CANON EF400mm F2.8 L IS + SIGMA MC-21
・SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sports
三脚/ビデオ雲台を使用
夜の撮影に関してはEF400mm F2.8 L ISとマウントコンバーターを介してEFレンズを使用したオートフォーカスを使用した撮影です。他のカットも全てオートフォーカスを使用しています。
特に夜の撮影ではその素材の素性の良さからRAWデータなのに大したノイズリダクションをせずとも、この映像を撮影することができました。
LUMIX S5IIX First Look Vol.4
使用レンズは
・LUMIX S 14-28mm F4-5.6 MACRO
・LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.
三脚による固定撮影で、最後のカットを除いてはFIX撮影になります。
特にこの映像はビットレートが必要な細かいパターンを含むものです。Youtubeでの再エンコードされたものとは全く別で、その素材の映像品質の高さは群を抜いています。
惜しまれる点はその素材クオリティを共有するほどのエンコード画質が今のYoutubeには無いことです。よって
なるべく再エンコードで画質が落ちない様、カメラが動かない固定撮影でかつ、木々や葉の動きが少ないカットを選んでいますので、その画質の片鱗は感じて頂けるかもしれませんので、例え表示パネルがFHDであっても是非4K設定でご覧ください。
S5IIとS5IIXを悩むなら
S5IIとS5IIXの値段差は置いておいて、S5IIかS5IIXのどちらを選ぶか悩んでいる人もおられる方もいらっしゃるかと思います。少し私なりの考えを書いてみます。
・スチルしか撮らない→S5II
・動画はたまに撮る→S5II
・動画は撮るけどProResやProRes RAWやBlackmagic RAWて何?→S5II
・快適に編集したい→S5II(場合によってはS5IIX)
・少しでも動画画質を向上させたい→S5IIX
・グレーディング大好き→S5IIX
・生配信など手軽に行いたい→S5IIX
・RAW収録でゴリゴリ現像したい→S5IIX
・ブラックボディかっこイイ→S5IIX
とまぁ、こんな感じでしょうか。要はProRes/ProRes RAW/Blackmagic RAW/ALL-I収録/ライブ配信機能が必要か否かという点です。これらを使わない、魅力を感じないのであればS5IIで十分と言えます。とは言え、ここをご覧の方は割とガチに動画撮影してる人が多いと思うのでそういう人はS5IIXですかねぇ。
ProRes外部収録の課題
まず、ProResの4K以上の解像度はSSDを使った外部収録が前提となります。4K30pならSDカード(V90)でイケそうなビットレートなのですが、S5IIXではSSDが必要となる仕様です。
vookに寄稿した記事では
・SSDの取り付け取り外し
・USB給電ができなくなること
・バックアップ記録ができなくなること
の3つを記載しましたが、もう一点お伝えしておきたい点があります。それは
・バリアングル液晶がUSBポートと干渉して回転できなくなる
点です。これに関してはGH6やS1Hの様にチルトフリーアングル液晶ではないのでS5II、S5IIXではUSBポートにケーブルを接続するとバリアングルモニターが回転しなくなるというものです。よってローアングルやハイアングルではSSDを繋ぐと使いにくいことになります。この点も考慮してSSDを使う様にしましょう。
S5IIXのSSDに関して
先行レビュー時にS5IIXに接続したSSDは私は3つ(いずれも個人所有)
SAMSUNGのT5(500GB/1TB)T7(2TB)いずれもPanasonic公式に動作確認がされているSSDです。当然3つとも何の問題もなく収録できました。S5IIXの公式ページだと下記の情報がどこに載っているか探しにくい部分もあるので2023年5月現在の情報を引用させていただきます。
- Panasonicで基本的な動作を確認した結果であり、すべての記録動作/性能を保証するものではありません。(2023年5月11日)
※事前に、撮影する設定や記録形式で正常に記録できるか、お試しいただくことをお勧めします。- 外付けSSDの詳細については、外付けSSDの取扱説明書やメーカー情報でご確認ください。
- ご使用前に、必ず本機でフォーマットしてください。また、外付けSSDの書き込み速度が低下してきた場合も、再度フォーマットの実施をお勧めします。
- ご使用状況によっては、外付けSSDが高温になることがあります。また、外付けSSDが高温になると、書き込み速度が低下する場合があります。
- カメラ本体が熱くなった場合は、本体の保護のため、動画撮影が途中で終了することがあります。
- 2TBを超える外付けSSDは使用できません。
- 外付けSSDの接続・取り外しの際は、必ず本機の取扱説明書記載の手順をお守りください。
手順どおりに行わないと、外付けSSDを認識しなかったり、外付けSSDや撮影データが壊れたりするおそれがあります。
動作確認済み記録メディア情報 | 動作確認情報一覧 | デジタルカメラ LUMIX(ルミックス) | お客様サポート | Panasonic
SAMSUNG T5の500GBと1TBは同じ大きさですが、SAMSUNG T7は少し厚みが薄くなっている代わりに大きくなっています。ビット単価的にはSSDの値段はかなり下がっているので、この際大きな2TBの使用をお勧めします。値段的にも2023年5月現在で1万8千円台ですのでProResを多く活用されるのであれば2TBは必須かなと思います。
全般的な感想
これはvookに寄稿させていただいた記事にも記載したところですが、S5IIXは個々の機能を見るとそれぞれは「世界初の〇〇機能を搭載」的なカメラではありません。
そりゃ.braw/ProResRAWを撮れるカメラはそう多くは無いにせよ世界初ではありません。ProResが撮れるカメラもぽろぽろ存在します。
ですが、フルサイズで像面位相差画素を備え、ProResRAW/Blackmagic RAWの外部収録が可能で、SSDによるProResRAW記録が可能で、ライブ配信機能を搭載したカメラはS5IIXの他に存在していません。比較的小型のボディに考え得る機能をてんこ盛りにしたカメラ。それがS5IIXです。
一点残念な部分といえば4K60pがAPS-Cクロップになるところでしょうけど、その画質はもう十分じゃね?と思うほどにしっくりくるものです。
とにかく、素直な色とカスタマイズの自由度などを考慮する(考慮しなくとも)とS5IIXは私の今現在のよき相棒であると言えます。(6/22まで自分のボディ待ちやけど。。)
最後に
動画撮影において外部レコーダーを使用してまでRAW撮影を行っている人というのはユーザー比率で考えると少ないかもしれません。とは言え、RAWで自分が満足するまで素材の現像をゴリゴリやりたいと思っているユーザー層はアマチュアの中でもかなり増えてきたともいます。スチルのRAW現像をやってきた人にとっては動画はスチルほどに色を弄れないと考えておられる方も多いと思いますが、そういった人にこそ動画でのRAW収録&現像をトライしてもらいたいとも思います。スチルユーザーが慣れたフルサイズフォーマットで比較的気軽にRAW動画を体験できるBlackmagic RAW / ProRes RAWに両対応しているフルサイズ機としてS5IIXはいいカメラだと思います。
また、前述の様にSSDの追加だけでProResが撮れるフルサイズでこれだけコスパに優れているカメラは他にありません。
十年前までは「動画なんて一眼に不要」と言われていた時代です。時は変わり、SNSなどで一眼で撮影された動画を見ない日はほとんど無くなったくらいに普及してきました。
スチルにはスチルの良さはありますが、スチルユーザーが動画撮影を行わないのは勿体無いと思います。是非スチルユーザーにも手に取って欲しい、そんな思いが湧き出てくるカメラ。それがS5IIXなのです。
また、近いうちにS5IIXをリグ化する話、リアルタイムLUTについてのマニアックな解説も書いていきたいと思いますので、気になる方はブックマークしておいて頂けると幸いです。
ではでは
筆者:SUMIZOON
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
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