はじめに
ここ最近新機種に触れて頭がパンク状態だったわけですが、それら最新機種について書いてみたいと思います。
競合しない3機種ですが、最近使った最新3機種についてそれぞれ概要を書きます。
- はじめに
- LUMIX GH7(大型&業務で使えるマイクロフォーサーズ)
- LUMIX S9(小さくて趣味として最高に楽しいフルサイズ)
- NIKON Z6III(新世代オールラウンダーカメラ)
- LUMIX GH7かS9かそれともニコンZ6IIIか
- あとがき
LUMIX GH7(大型&業務で使えるマイクロフォーサーズ)
LUMIX GH7は古くから私の右手として使ってきたLUMIX GHシリーズの最新機種。センサーサイズはマイクロフォーサーズ。GHシリーズは派生のGH5S/GH5M2がありますが、9機種目にあたる最新機種がGH7です。
とにかくガラパゴス的に進化してきたGHシリーズですが、撮影機能だけにとどまらず、画質も目を見張るほど進化してきました。超高ビットレートのProResRAWやProResで撮れる動画性能、GHシリーズとして初の象面位相差AFの搭載、フルサイズ並みのダイナミックレンジを実現したカメラです。春先からこのカメラを使わせて頂きましたが、動画もスチルも高いレベルで使えるカメラです。とはいえセンサーサイズが4/3センサーであるという点は特にスチルカメラとしては敬遠されやすい傾向にあります。
GH7について書いた解説、レビュー記事は下記になります。
センサーサイズに対していろいろ言われる人もいますが、地上波の多くは2/3センサーで撮られた映像なんですよね。映像を撮るならフルサイズ!みたいに言う方はなぜ放送の映像が2/3センサーなのかを考えてみると良いです。(別にフルサイズの映像がダメと言っているわけではありません。)
作例
LUMIX S9(小さくて趣味として最高に楽しいフルサイズ)
LUMIX S9はフルサイズLUMIX Sシリーズの最新機種。その大きさは過去のLUMIX Sシリーズとして最小、最軽量。この機種はビデオサロンさんからお声がけ頂いて先行的に試させて頂きました。
とにかく小さくどこでも持っていける楽しいカメラです。そして私はソッコーで予約して書いました。ガチ撮りの機材は揃っている私ですが、手ブレ補正やAFが優秀なお気軽な撮影カメラが新しい撮影ライフを誘ってくれる様な気がするからなのです。
作例
小型軽量というだけでなく、限界領域(ダーク)での画質も高い事がこのカメラの特徴です。ですが、4K60pはAPS-Cクロップになるのが欠点。もしこの画質で4K60pが撮れればと思うことが多々あります。
NIKON Z6III(新世代オールラウンダーカメラ)
NIKON Z6IIIは動画性能が大幅に向上したカメラです。実はNIKON Z6IIIの発表の直前にX(旧Twitter)で下記のポストをしていました。
Nikon Z6IIIは長らく続いているIMX410(orその派生)支配から脱却して新センサーになるのかに注目してる
— SUMIZOON (@sumizoon) 2024年6月11日
IMX410系は
16:9は6K30fps
2.35:1は6K60fps(垂直クロップ)が限界なので
多くのメーカーはAPS-Cクロップ
16:9の4K60pで使用してるという認識
当然4K120pは不可
さて来るのか新センサー🤔
フルサイズ24MPカメラというのは、その多くがIMX410とその派生センサーが搭載されていると推測してます。SONYの24MP機をはじめとしてLUMIX S1/S5やNIKON Z6、SIGMAfp、DJI Ronin 4D 6K、Z CAM E2-S6は全てのIMX410(およびその派生品種)なのではないかと推測しています。
IMX410は完成された画質が担保されている一方で、フレームレートが6K60p(16:9画角)が撮れないという「性能限界(縛り)」があります。故にカメラとして6Kからのオーバーサンプリング4K60pが16:9画角では撮れない部分で多くの動画ユーザーから「そこだけは残念仕様」と言われています(センサー仕様上2.4:1は6K60pは可能)。故に4K60pはAPS-Cクロップとして使われてるケースがほとんどなのです。
上記ポストは、上記「縛り」からZ6IIIが解放されるのか否かという点に注目して発言したものです。Z6IIIの正式発表前には噂が錯綜していて、私も本当に分からない状態でその発表を楽しみにしていました。そして、その正式発表を楽しみに大阪から新宿まで飛んでいきました。
結果、Z6IIIは6K60pRAWを実現する性能と、APS-Cクロップ4K120p、FHD240pを実現した部分積層CMOSイメージセンサーを搭載した初のフルサイズカメラとして発表されました。で、先行試用をさせて頂いて、書いた記事は下記。実は書きたいことの1/10も書けてないので、このブログでももう少し掘り下げて書く予定です。
試用を始めると同時にPRONEWSさんからも執筆依頼を頂きました。そして寄稿せさて頂いたのが下記。
とにかく動画機としてはフル画角の6K60pが実現されているだけでも価値があるものです。4K120pこそAPS-C画角になりますが、そもそもAPS-Cクロップでも4K120pが撮れるカメラは数少なく今までのどのカメラのスペックとも異なるものです。そこに価値が見出す人にとっては「非常にコスパの良いカメラ」となります。以前にも書きましたが、静物のスチルだけを撮る目的でこのカメラを使うのであれば、その動画性能はオーバースペックであり「高いカメラ」と思われても致し方ないかかもです。(でもファインダーとかAF性能が格段に上がっているのでそこを含めて判断すべきです)
ちなみにZ6IIIの動画撮影時の読出し速度はZ8を超えると本ブログとPRONEWSで記載しましたが、それについてもう少し説明します。
ここで冷静になってZ8とZ6IIIの動画の読み出しスペックについて考えてみましょう。
ニコンZ8の場合はN-RAWの場合に限り8K60pの撮影が可能です。少し正確に書くならば14.5msec≒68fpsの撮影が可能です。その画素数は
8256x4644画素です。つまり読み出しピーク性能は画素のビット精度が12bitだったとして
8256x4644x68x12=31Gbps
ニコンZ6IIIは6K60pでのN-RAW撮影が可能ですがそのピーク性能を12bitと仮定して計算すると下記になります。9.5msec≒105.2fps
6032x4644x105.2x12=26Gbps
つまり幕速はZ6IIIの方が速いですが、ピーク時のデータレートはZ8の方が高いと言う事ができます。仮にEXPEED7の処理限界が31Gbpsで、センサーにさらに余力があったと仮定するとZ6IIIは6K120pの速度を実現できる可能性があると言えます。(その余力があるかどうかはわからんけど。。。)
一つ言えるのは今でも6K100fpsは実現できそうと言う点。なのでデータの読出し速度以外の処理で速度が律速されることがなければ将来的にZ6IIIは6K100p@N-RAWというスペックが実現されてもおかしくないと思います。
作例
作例はこのカメラの性能限界が活かし切れる夕刻の空港で撮りました。ズームレンズでもISO6400(N-Log)とハイフレームレートを使えばここまで撮れるというものを表現したかったのでした。
LUMIX GH7かS9かそれともニコンZ6IIIか
LUMIX GH7かS9かそれともニコンZ6IIIか?ここをご覧の方であれば、機材に対する意識、見識がある方が多いとは思いますが、正解は「答えは無い」という事になります。というのも結局撮影の手法や被写体次第で最適なカメラが変わるからです。
結局のところ。。。
私がフルサイズLUMIX S1H/S5IIX/S9/ニコンZ8からマイクロフォーサーズG9PROII/GH5S/GH6までを使い分けているのは撮影によってそれらカメラのいずれもがNO.1になれるからなのです。
比較的照度が暗く望遠が必要な機動力重視の三脚を使用した撮影の場合はLUMIX GH5S
中照度までの超解像度重視で機動力が必要ない場合はニコンZ8
高い色表現、モアレを避けた高感度撮影を5.9K30pで行いたいガチ撮影の場合はLUMIX S1H
LUMIX GH7の場合は手持ち撮影、高解像度で撮影、時に高いビットレートが必要な場合や被写界深度が(フルサイズほど)必要ない撮影、長時間の連続撮影が必要の場合、という様にその活躍の領域が広いカメラです。動画機としてはかなりオールラウンド性が高いものです。
LUMIX S9の場合は超低照度にも対応する画質の良さがありますし、手ブレ補正やAFも優秀です。そしてそれらが備わったにも関わらずコンパクトな動画カメラとしては他の追従を許しません。でも長時間撮影には向かない。
ニコンZ6IIIの場合は撮影はS9ほど気軽に撮影できる機材ではありませんが、動画機として比較的長時間撮影できるオールラウンダーとしての特徴がありますし、なにより6K60pをRAWで撮れるので、クリエイティブな撮影に最適です。一方、超低照度のホタルの撮影など画面内をほぼダークが占める被写体だと画質はやや厳しいものがあります。ISO6400で画面内が真っ暗(ダーク)ではなく、低照度(シャドー)〜中照度を多く占める被写体の場合は逆に画質的に今までの24MP機に比べて有利に働きます。
限界画質と通常範囲の画質
要は「どのカメラがいいか」というのは結局その時々によって変わるものです。とは言え全て揃えることは現実的ではありません。あくまで上記のカメラ選びは最適解を求めた場合の話です。画質に関しては限界性能を求めない限り通常条件での記録画質はぶっちゃけどれを選んでも大差はありません。
画質ガー、ダイナミックレンジガー、高感度ノイズガーと言っている人ほど、カメラの設定がいい加減で本来のカメラの性能が発揮されない設定や撮影をしていたりします。(私も画質には口うるさい人ですが。。。)そしてポスト処理も疎かにしがちな傾向にあります。世間の断片的な画質評価に踊らされる前にスペック限界までを使い切る撮影方法を身につける方が生産的だと思うのです。と言っている私も道半ばです。口が悪くてすいませぬ。。。。
別途機会があれば記載しますが、一方限界スレスレの領域では画質かなり変わります。ですが、私も含めほとんどの人はその限界画質を必要としないものです。(星景写真専門家やダーク、望遠での夜景ばかりをとる人は別です)。それらをメインにしない人はぶっちゃけ気にしないでいいし、文句を言う前に撮影テクニックを磨く方が先だと思います。
そう考えると、大きさや記録時間や必要なフレームレートはみなさんそれぞれ必要なスペックは把握していると思いますので、あとは自ずと答えが出るかなと思います。
どうしても6K30pで街中を気軽にスナップ撮影したいというならS9が解でしょうし、どうしても6K60pのフルサイズのフル画角が必要ならニコンZ6IIIが解でしょう。それこそDaVinciで扱えるRAWじゃないとだめならZ6IIIってことになるでしょう。
5.7Kオーバーサンプリング高解像度で120pまで画角の変わらない撮影を望むならGH7。フルサイズ並みのボケが必要かどうかとかもそこには関係してくるでしょう。
いや、そう考えると守備範囲の広いα7SIIIとかFX3が動画撮影目的で売れている理由はわかります。。。。解像度こそ高解像度オーバーサンプリングじゃないけど、4K60p撮れるしクロップされるけど4K120p撮れるしと考えるとあれが動画撮影としては最強のオールラウンダーなのよね。とは言えスチル撮影もと考えると解像度的に少し心許ないんですが。。。。
てなわけで、「動画撮影するなら○○が最強!」みたいな記事やYoutubeだけ見ずにいろいろ情報を集めてみるのが良いです(まぁ私も過去にはその手の記事を書いているかもしれんけど)。カメラは(趣味なら)選んでいる時が一番楽しいしね〜
それこそ、「俺は新しい機材にはめもくれず、一生GH2だけで撮影・表現するぜ!」というのだってアリだと思うのです。
別に広角パンフォーカスで日中しか撮らないというのであればアクションカム使えばいいし、iPhoneだって綺麗に撮れる時代ですのでね。
毎度答えが無いのが答えというのですいません🙇♂️
あとがき
世間ではインフルエンサーに貸し出すのがけしからん、「あいつらに貸すくらいなら俺に貸せ」という声もよく耳にします。私自身はインフルエンサーという自覚はありませんし、単なるカメラ、動画好きのユーザーであるという認識です。とは言え各所で色々製品の紹介している立場からするとインフルエンサーと見られても仕方ない部分はあります。
一つ言いたいのは、商品を先行レビューしたりテストしたり、というのは相当な時間もカロリーも必要ですし、はっきり言って仕事にするならばまったく割に合いません(笑)。私の様にサラリーマンをしながらこの手の記事を書いたり作例を作るなんてのは、単なる憧れではやらない方がいいです(そんな人が居るかは知らんけど)。
とは言え私がなぜレビューをやるのかと言うときっと、「動画撮影を行う道具としてのカメラの性能の探求心が人より異常にあるから」という点と「単純に好きだから」という事から来ていると思います。
以前友人から「〇〇のカメラについてどんなレビューをするの?」聞かれた時に「望まれたレビューをする」と端的に答えた事があります。その言葉には「メーカーが望むレビュー」では無く「他の人とは私しかできないレビュー」をすると言う意味が込められています。
このサイトは初中級者に広く読まれる系のサイトとは異なり、機材についてより詳しい情報を知りたいという人に(意外にも)広く読まれているという認識です。その人たちに対して望む記事をしっかり書くと言うのが、私&読者の「望むレビュー」だと考えています。
時におちゃらけて記事を書くこともありますし、一個人の書いている記事なので意図せず読者にバイアスをかけてしまう事もあるでしょう。そして私の言うことは完全に正しいなんてことはありえません。なので先にも述べた通り、本サイト以外のサイトや解説しているYoutubeが存在していますので、これからも是非本サイトと合わせてご覧いただければと思います。
ではでは
筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人