はじめに
Youtubeやブログのタイトルをつける際に「最強」とか「神」とか「激ヤバ」とかっていう「釣り」表現は好きではない(むしろ嫌い。。。)のですが、正直なところ他に表現が見つからず。。でも実際に使ってみて「これ革命的にヤバくね?」と正直思ったやつ。それが
NIKON Z8 + Megadap EFTZ21+SIGMA 50-100mm F1.8
です。
後述しますが、SIGMA 50-100mm F1.8 DC | Artは「本来は」APS-C用のレンズです。そう「本来」はというのがミソ。それを今回はフルサイズのイメージサークルで使って動画を撮ってみたという話。
一応扱いはMegadap EFTZ21のプロモーションとなるのですが、この製品をもたらす「変態な世界」をプロモーション関係なしにお伝えしたいと思いキーボードを叩いています。
マウントアダプタ Megadap EFTZ21
Megadap EFTZ21なるNikon Zシリーズ用ボディ用のマウントアダプターのサンプルを焦点工房さんから頂いたので試してみました。
その名の通り、CANON EFマウントレンズをNikon Zシリーズに取り付けるためのアダプターで、オートフォーカス、絞りコントロールを含めてEFレンズがZマウント純正レンズの如く動く事をウリにしている製品です。
Megadap EFTZ21 製品概要
何はともあれ製品概要を下記に示します。
製品名:EFTZ21
対応レンズマウント:キヤノンEF(EF-S)
対応カメラマウント:ニコンZ
質量:約158g
操作系:コントロールリングおよびL-Fn
その他:ファームウェアアップデートはNikon Zから実施可能
価格:42,840円(税込)
販売サイト:こちらのサイトをご覧ください。
焦点工房のサイトより
マウントアダプタなので異るマウントのレンズが取り付けられるというのがメインの機能なわけですが、このアダプターにはコントロールリングとファンクションボタンであるL-Fnボタンが備わっています。
純正のZレンズにはコントロールリングが備わっていて、[絞り値][露出補正][ISO感度]を切り替えることができますが、それと同じ感覚で使うことができます。私の場合はISO感度設定でISOボタンを押してから本体ダイヤルを回すというのが面倒なので、コントロールダイヤルにISO感度を割り振ればISOボタンを押す事なくISO感度が変更できますので、EFTZ21でも同様の使い方をしています。L-Fnボタンにも各種機能をアサインすることができます。
箱もコストのかかっている化粧箱で品質の良さが期待できるやつです
一応説明書も付いてきましたが、他のマウントアダプタ同様に読まんでもすぐ使えます。
当然ながら前面はEFマウントのフランジそのものです
ファンクションボタンとコントロールリングの位置
コントロールリングの設定は機種にもよりますが、NIKON Z8の場合は以下の設定でアサインを変更することができます。
またファンクションボタンですが、以下の設定より各種設定ができるようになっています。
ファンクションはアサインできる項目が多いので、どれを選択すべきかは悩ましいところですがご自身の使いやすいようにアサインすると良いでしょう。
なお、更新版のファームウェアは下記のサイトからダウンロードすることになりますが、2024年7月25日現在の最新バージョンは1.25
備忘録代わりに記載しますが、Megadapの公式サイトは下記になります。
EFTZ21 Firmware Update – Megadap
なお、ファームウェアアップデートはカメラ側からレンズファームウェアアップデートとして行えます。というか、あたかも純正レンズのように使えるというこのカラクリが凄い。。。どうなっちゃってるんだろうねぇ。
どうしてもNikon Z8で試してみたかったド変態レンズ
AFの件は後述しますが、結論からすると、Megadap EFTZ21 と私の所有しているレンズの相性は全く問題無し。というかねぇ、いろいろヤバい事に気づきました。
そもそもウチには過去にそこそこのEFレンズがあったのですが、手元に残しているレンズは僅か。その僅かなレンズはちょっと変態なレンズです。
その一本が
SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art
お値段なんと新品でも12万円程度。中古では8万円台のものも存在しています。
実際持ってみると分かりますが、この重量級のレンズからは考えられない値段です。特に今の世の中物価が上がっているので今このスペックのレンズを出したとしても20万円には収まらないような気がします。
ちなみに重量は1490gなので腕力に自信の無い方のご使用はおすすめしません。ですが、このレンズは単焦点を複数本持ち歩くことを考えたら軽いのかもしれません。
DCという製品名から、レンズ事情に詳しい方であればこのレンズはAPS-C用のレンズであることがお分かりかと思います。そして、マウントはEFマウント用を所有しています。
SIGMAは最近28-48mm F1.8という変態ズームレンズを発表しましたが、そもそもSIGMA 50-100mm F1.8 DC HSMの方はAPS-CながらF1.8ズームという変態レンズを発売していました。(発売は2016年4月)
私はこのレンズを普段はマイクロフォーサーズとLマウント用に変換して使っています。
一方でこのレンズをLマウント(マウントアダプター SIGMA MC-21を併用)で使用した場合は画角がAPS-Cに強制的にクロップされてしまうのでこのレンズの実際のところのイメージサークルの範囲が分からずいました。
このレンズのイメージサークルの大きさを知る方法はあるのかもしれませんが、私の手元にある環境では知る術がなく、もしかしたらこのレンズ、実際のイメージサークルは大きいのでは??と疑いを持ったままでした。そしてその予想は当たっていたのでした。
Megadap EFTZ21の場合APS-Cレンズでもフル画角が設定できる
ちょっと語弊があるかもしれません。ウチにあるのはあくまでAPS-C用のSIGMAのレンズ「SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM」。なのでいわゆるCANONのAPS-C専用のEF-Sマウントレンズではなく、EFマウントのAPS-Cをカバーするレンズ。ややこしいですね。。
で、Megadap EFTZ21を使ってこのAPS-Cレンズ「SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM」を装着するとどうなるか。そう、ここまで引っ張って申し訳ありませんが。
35mm判のイメージサークルで写すことが可能です。
もちろんレンズ自体のイメージサークルが小さければ、35mm画角で撮影したとしてもケラれるだけで使い物になりません。ですが、「SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM」につけて動画撮影した場合、周辺減光は凄いですが、ほぼケラれません。(なお、歪曲はワイド端ではかなり出ますが動画編集ソフトで修正は可能です。気になる方は10%ほどクロップして使えばほぼ問題ないレベルになると思います。ワイド端は絞るとケラレがやや顕著となります。)
これは期待していたことではあるのですが、かなり意外な結果でした。Megadap EFTZ21はSIGMAのAPS-Cレンズをつけた場合であってもフルサイズレンズとして認識させる様です。だからイメージサークルの保証外のエリアでも撮像できる。と言うことになります。
もちろんコレが周辺描写の劣化を引き起こすことは容易に想像できますが、とりあえず、写真を撮った作例をご覧ください。
NIKON Z8 + Megadap EFTZ21+SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art
SS:1/200sec ISO:3200 F1.8 焦点距離100mm
NIKON Z8 + Megadap EFTZ21+SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art
SS:1/60sec ISO:3200 F1.8 焦点距離100mm
NIKON Z8 + Megadap EFTZ21+SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art
SS:1/60sec ISO:3200 F1.8 焦点距離94mm
ちなみに前述のように開放での周辺光量はかなりですが、周辺描写が極端に甘いかというと決してそんなことはないのです。思うにこのレンズ、Artを名乗るだけあって、イメージサークルをAPS-Cギリギリの設計をしたのではなく、周辺描写を向上させるためにわざと大きなイメージサークルを確保したのでは?と推測しています。
この組み合わせが動画で活きる理由
イメージサークルが大きいと書きましたが、動画撮影の場合はそれがさらに有利に働きます。
NIKON Z8 + Megadap EFTZ21+SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Artで撮影したフル画角の画像を見ていただくと下記のようになります。
上の状態だとかなり周辺減光が厳しいのでLighroomで周辺光量補正を最大に設定したものが下図
さらに動画撮影をイメージした16:9に切り出したのが下の例です。
動画撮影の16:9画角切り出しの場合は3:2撮影と異なり、上下の減光よりもかなり内側で切り出されることになるためより減光は目立たない状態となります。(さらに2.35:1のようなシネスコ比率だとさらに目立たなくなるでしょう。)
なお、この傾向は絞るとほぼ周辺減光が分からない状態まで改善するのですが、そもそもこのレンズを使いたい理由は開放の明るさにあるのでこの周辺減光とうまく付き合うことを考えた方が良いと思います。
これらのことから、このレンズはより動画だとこのレンズの限界を使いやすいと言えます。まぁAFの駆動音がかなりあるレンズなのでAF-C撮影で音を収録する場合においては向かないと言えるのですが、このレンズじゃないと撮れないシチュエーションはかなり多いです。
次にその代表的な作例を示します。
Megadap EFTZ21 だからこそ実現した映像
制作中の映像を少しご紹介します(現状限定公開です)。
この時期の京都では宇治川と嵐山で鵜飼を見ることができます。鵜飼を見たことがある方はお分かりかと思いますが、そのシチュエーションは撮影するには相当難しい明るさです。おそらくほとんどの方は写真、動画撮影に苦労する条件なのは間違いないです。
鵜飼は画角的には引きは50mm程度で寄りは100mm程度は欲しいシチュエーションなので70-200mmF2.8と24-70mmF2.8のレンズを使うか、時間のない中で明るい単焦点をつけた複数のカメラを用意して撮影に望めばいいのですが、実際に2台を使うなんてのはしんどい。。。そしてF2.8のレンズの場合はF1.8のレンズに比べてISO感度を2.4倍に設定しないと同じ露出は得られないので、鵜飼のような極端に暗い状況ではF2.8だと綺麗に撮れないケースが多いのです。
例えば、上記動画の撮影では4K120pがメインでしたが、そのF値のほとんどはF1.8での撮影です。日没を迎えた後はその場を照らす明かりは篝火のみ。概ね露出は
F1.8 SS:1/125 ISO4000
ですが、仮にF2.8のレンズを使ったとするとISO感度は10000程度まで上げる必要があります。(たとえ高感度番長のSONY α7SIII/SONY FX3を使ってもISO10000だとこのクオリティは出せないと思います)
また、F1.4やF1.8の単焦点を使えばISO感度を抑えることはできますが、(クロップせずに)画角を変えるにはレンズ交換するか2台持ちするしか方法はありません。それに時間が限られている撮影ではカメラをスイッチしている暇はありません。となるとF1.8のズームレンズの有効性は明らかです。しかも、SIGMA 28-48mm F1.8と異なり、こちらは望遠域のズームなので、「寄りたい!&画角調整したい!」というニーズと「超明るく撮りたい!」というニーズを満たすのはこのレンズしか無いと思うのです。
もう、このシチュエーションでフルサイズ4K120pのフレームレートとクオリティと運用性を求めるなら
Megadap EFTZ21 + SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art
しか現状選択肢が無い。。。これを革命的と言わずしてなんと呼ぶ(笑)
でも、他に選択肢があったらコメントください🙏
尚、これに近いクオリティが出せるカメラとレンズの組み合わせとしては
LUMIX GH7/G9PROII + LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm / F1.7 ASPH.
があります。被写界深度を1段深くしたいのであれば結果的にはこちらの方が有利となるケースもあります。
AFの挙動
AFの挙動に関しては感じ方がそれぞれだと思いますが、少なくとも普通に使う分には十分実用範囲です。
挙動に関しては下記動画を制作したので参考にしてみてください。
スチル撮影時のAF挙動
スチルの場合は最速でフォーカスを合わせることがカメラに求められる用件ですので、とにかくそのフォーカスの挙動は速いです。
AF-SもAF-Cもほぼ問題なく使えると言って過言ではないと思います。ただし、AF-Cは一瞬もたつく印象はありますが、これはレンズ側の問題もあるかもしれません。
いずれにせよ極端な動きものを撮影するのでなければ純正レンズとほぼ同じ感覚で使えると思います。
動画撮影時のAFの挙動
動画撮影の場合は自然なピン送りで動画の閲覧者が違和感なく見れることが前提となるので割とジワーっと動くことが多いです。
SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art + Megadap EFTZ21 + Nikon Z8の組み合わせでAFの速度は標準で作例を撮りましたが、少し速度を落とした状態で撮影するのが良いと思います。
まとめ
作例も含めて、Megadap EFTZ21じゃなく、SIGMA 50-100mm F1.8のプロモーションのような雰囲気の記事になってしまいましたが、そもそもSIGMA 50-100mm F1.8をマトモに使えるのはMegadap EFTZ21のおかげなわけでして、
「Megadapよ、よくぞやってくれた!」
というべきでしょう。
そして、多くの人が気づいていないこの組み合わせのヤバさをとりあえず誰かに伝えずにはいられなかったのでした。
あ、でもSIGMA 50-100mm F1.8は激重レンズなのでそこは覚悟して使ってください。そして、マウントを傷めないためにもストラップはレンズ側につけたほうがいいと思います。
一応、筆者は手持ちでも三脚固定でも三脚座の部分で支える様にしています。
あとついでにEF400mmF2.8 L IS USM での作例も撮っているので機会があれば動画作例も紹介したいと思います。
NIKON Z8 + Megadap EFTZ21 + CANON EF400mm F2.8 L IS USM
SS:1/40sec ISO:4000 F3.2 焦点距離400mm
NIKON Z8 + Megadap EFTZ21 + CANON EF400mm F2.8 L IS USM
SS:1/60sec ISO:4000 F3.2 焦点距離400mm
この製品、国内代理店の焦点工房の販売サイトとAmazonなどでも購入することが可能です。
自己紹介
筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。