マイクロフォーサーズの利点は被写界深度の深さにあると思う一方で、ガッツリ背景をボカしたポトレを撮りたいんじゃ!って方も居るかと思います。
Camera : Panasonic DC-G9M2
Lens : 50-100mm F1.8 DC HSM | Art 016
Adopter : VILTROX EF-M2 II 0.71x (Focal Reducer Speed Booster Adapter)
マイクロフォーサーズはピント範囲が広くなる傾向にあるので、だからこそフルサイズとマイクロフォーサーズを使い分ける意味があるんですが、マイクロフォーサーズでガッツりボカしたいって言うケースもあるかと思います。
間もなく発売のG9PROII
正直マイクロフォーサーズはボケないと言われがちですが、大きくボケた画も撮る事ができます。逆にフルサイズであっても暗いレンズを使ったり、被写体までの距離が遠すぎる撮影、被写体と背景の距離が詰まりすぎている場合はさほどボケません。
まぁ結局ボケは撮るシチュエーション(+設定F値)とレンズに大きく依存し、センサーサイズはボケに関わる一つのファクターです。
じゃあ結局マイクロフォーサーズででかいボケを得るにはどうすればいいのか、それについて記載します。
まぁありきたりな話なので初心者向けのコンテンツで、その解説はありきたりですが。。。
ひたすら明るい単焦点レンズを使う
NoktonF0.95シリーズを使うというのが昔からのマイクロフォーサーズユーザーの鉄板です。また、フォクトレンダ NOCTON-F0.95シリーズはマニュアルフォーカスですので、MFに慣れてない方にとっては結構億劫(人によっては苦行)かもしれません。実際はミラーレスカメラはマニュアルフォーカスレンズのピント合わせのアシストが充実してるんでほとんど失敗なく撮影を行う事が可能です。
で、F0.95という明るさは極端に明るいのでそのまま開放で日中の屋外で使うとシャッタースピードが上がりすぎる事がありますので、たとえスチル撮影であろうとボケを狙う場合はNDフィルタが必要になる事があります。(ここも今時の電子シャッター1/32000とかを使うとへっちゃらな事が多いんだけど)
NoktonF0.95は多くのMFTユーザーに愛されている
ちなみにボケ感だけで言うと例えばマイクロフォーサーズの25mmF0.95のレンズを使用した場合はフルサイズで50mm F1.9あたりに相当します。つまりは50mmF1.8を使っている感覚に近いものです。
どうでしょうかMFレンズとは言えマイクロフォーサーズでも十分なボケが得られると言って良いと思います。
あとはお気に入りのレンズとしてLEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 ASPH. POWER O.I.S.もフルサイズの85mm F2.4相当のボケ感になるのでポートレートに最適な一本です。
すげー昔に撮ったNoctocronの作例を一本貼っておきますが、これはマイクロフォーサーズなのか?と思うほどに綺麗なボケが表現できるレンズだと思います。
ひたすら明るいズームレンズを使う
マイクロフォーサーズの中にはアホほど明るいネイティブのズームレンズが2本存在します。
それが以下の2本
・LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7
・LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm F1.7
このF1.7通しの変態的なズームレンズはただ明るいだけでなく、綺麗なボケとシャープなピント面、端まで高い解像度を実現した「マイクロフォーサーズだから実現できた」レンズです。
・LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7
をフルサイズのボケ量にあてはめて考えると20-50mm F3.4
・LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm F1.7
をフルサイズのボケ量にあてはめて考えると50-100mm F3.4
フルサイズ大三元とは違うズームレンジですが、フルサイズボケ換算(と勝手に命名)するとF3.4となります。勝手にボケ換算なるものを持ち出しましたが、もちろんレンズ自体の明るさはF1.7の明るさになるので夜の撮影でもISO感度を極端に上げる事なく撮影を行う事ができます。
ちなみに私は持ってない。。。が周りのマイクロフォーサーズガチ勢の知人はみんな持っているw 触るたびに買いたくなるレンズです。
以前撮った作例の中にこれらレンズが含まているので参考までに
「変態なレンズ」で「変態な使い方」をする
そして最後に紹介するのが
・SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art
です。SIGMAが誇る(と言っても発売日は結構古く2016年)「F1.8通しの変態レンズ」
間もなく発売されるG9PROIIに付けてみた
尚、SIGMAは他にF1.8通しズームレンズとして18-35mm F1.8 DC HSM | Artも発売しています。
これらのレンズはキヤノンEFボディ用のレンズですのでそのままマイクフォローサーズレンズには使用できません。で、必要になるのがマウントアダプターです。まぁキヤノンEFレンズをマイクロフォーサーズに付けるための筒です。まぁ、筒とか言ってるとメーカーに怒られそうですが、アダプター内部ではAFや絞り機構を動かすためのプロトコル変換がなされています。まぁそりゃそうよね。ボディから出力される信号はマイクロフォーサーズ、信号を受け取るレンズ側はキヤノンなのでマイクロフォーサーズ→EFレンズへのプロトコル変換が必要です。で、私は普段Viltroxの0.71倍マウントアダプタを愛用しています。
このアダプターはレデューサーレンズという縮小光学系のレンズが組み込まれており、画角を広くすると共に1段開放F値が明るくなるという特性を持ちます。さらに縮小光学系はちゃんとした製品を使う限り、解像感が高まる傾向にあります。実はこの手のレデューサレンズはMetaBonesのSpeedBooster(通称スピブー)を使うのがベストとされていますが、スピブーは10万円前後と如何せん高い。。。レンズによっては全く動かないリスクを冒してまで払える価格じゃないんですよねぇ。。で、色々試して一番コスパがよく映りがマトモなものがViltroxだったというわけです。(私はコレをプアマンズスピブーと呼んでますが、写りは本家スピブーに勝るとも劣らないものだと感じています。)
でこのViltroxのマウントアダプタを介してSIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Artを使うとどうなるのかを考えてみます。まずF値はF1.2(正確にはF1.3弱)これがズーム全域で使えます。レンズそのものの焦点距離は下記になります。
50x0.71=35.5m
100x0.71=71mm
つまりクロップファクタが35mm換算では2倍になるマイクロフォーサーズでは
露出的には71mm-142mm f1.2
ボケ的にはフルサイズ換算71mm-142mm f2.4
となります。
Camera : Panasonic DC-G9M2
Lens : 50-100mm F1.8 DC HSM | Art 016
Adopter : VILTROX EF-M2 II 0.71x (Focal Reducer Speed Booster Adapter)
大三元70-200mmF2.8のテレ端200mmの望遠画角には及ばないもののボケ量は35mm換算142mm域までにおいては「フルサイズばり」にボケるレンズとして運用が可能です。はやとちりしないでくださいね。完璧に動けばの話です。
Camera : Panasonic DC-G9M2
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Adopter : VILTROX EF-M2 II 0.71x (Focal Reducer Speed Booster Adapter)
また、レデューサレンズが無いタイプの電子接点だけのマウントアダプターを使用した場合は
露出的には100mm-200mm f1.8
ボケ的にはフルサイズ換算100mm-200mm f3.6
となります。こちらもいわゆる小三元レンズ70-200mmF4に比べて全域でボケると言えます。
実は上記組み合わせはGH4/GH5のマニュアルレンズとして一世を風靡した時代があります。私も一度試してみたいと当時から思っていましたが、先日やっと購入しました。
現状AF-C動作が完璧なマウントアダプタの最適解は残念ながら無い
前節ではだいぶ期待を持たせる書き方をしましたが、実は動画撮影時においてLUMIXのAF-Cが完璧に動くマウントアダプタは現状ありません。すいません。
が、非常に惜しい例を紹介します。
LUMIX G9PROIIはマイクロフォーサーズLUMIXシリーズ初の像面位相差画素を搭載したカメラで、動画撮影時においても像面位相差画素による焦点検出を行うことでピント合わせを的確に行う事ができます。で、そのG9PROIIとレデューサレンズを組み合わせた場合のAF-C挙動はかなり良い線をいっています。
実は一定距離を確保した状態での動画撮影時のAF-Cの挙動は純正レンズより劣るものの普通にウォブリング無く動きます。
ちなみに下記は
・LUMIX G9PROII
・SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art
・Viltrox EF-M2II
の組み合わせで撮影したもの。ちなみにViltrox EF-M2IIはメーカーHPのファームウェアアップデートを施しました。
問題は
・近くの撮影の場合コントラストAFに切り替わったんじゃ?と思えるくらいの挙動に変化する(SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Artの場合被写体まで4m以上離れてないとちゃんと動作しない)
・レンズのモーターが動作するたびに異音がする
の2点です。特に後者に関してはモーターに余計な負荷がかかっている可能性があり、AF駆動のためのモーターを劣化させ、寿命を縮めてしまう可能性が考えられます。そもそも動画撮影で異音が発生するのは致命的です。
これらはG9PROII発売後にViltrox側がなんらかのファームアップを行う事で改善される可能性もあります。というか、むしろそれを願っています。
とにかく、まともに動く条件はあるので、エクスキューズがつかない状態になってくれればと思いますが、現状はスチルでシングルAFで使うのが無難でしょう。
というかね、G9PROIIと大口径ズームレンズが織りなすボケ表現とAF挙動の可能性にロマンを感じるのです。むしろこれを使う理由なんてロマンしかないでしょう。
願わくばPanasonic純正?EFマウントアダプタを出して欲しいところですけどねぇ。。。(さすがに無理でしょう)
あとSIGMA 50-100mmがViltroxでちゃんと動くようになったからといってデカくて重いレンズには変わりありません。そこらへん理解して使わないとアカンですし、電子接点が2ヶ所になることによる接点不良リスクも増えます。
追加作例
この記事を書いた後に結構このレンズを使ったので、作例をいくつか貼っておきます。
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撮り方でボケを強調する
まぁこれは多くのカメラマンが認識している事だと思いますが、被写体と背景の関係の話です。被写体(たとえば人物)が手前にいて、その背景が人物の背中に接するほど近い場合と、背景が抜けていて100m離れている場合ではその背景のボケはまるで違います。冒頭でも書きましたが、人物と背景が近寄っていればフルサイズであろうとさほどボケは出ません。ボケボケ言ってすいませんが、被写体と背景の関係に気を使ってみては如何でしょうか。
ちなみにこの手の計算は、サクッと手軽にできる
カワセミHPさんの被写界深度計算機というものに10年以上前からお世話になっています。
http://kingfisher.in.coocan.jp/boke2/bokekeisan2.html
機種こそ古く表示されますが、マイクロフォーサーズの場合はG2/GF1を設定すればOK。フルサイズの場合はEOS 5DIIを入力しそれぞれ35mm換算の焦点距離とF値被写体までの距離、背景の距離を入力すると概ねのボケ感をシミュレーションすることができます。
現実主義とロマン
なんでこんな事やるのか?って聞かれそうですが「結局ロマン」なんです。普通にボケだけが欲しかったらフルサイズで明るいレンズを使うのが真っ当な人の考えですけど、どのメーカーもなし得ていない「クロップ無し&全画素読み出しの4K120p」でフルサイズを超える映像を撮るってロマンでしょう😅? むしろ現状5.7Kオーバーサンプリング4K120pをF1.2通しのズームレンズでAFCで撮るなんてG9PROIIにしか出来ない芸当でロマンの塊です(現状は完璧には動かんけど)。
じゃあなんでそこまでマイクロフォーサーズに拘るのかを書いてみます。ボケ(被写界深度)と画質云々を一旦置いておいてマイクロフォーサーズの利点を考えてみます。
センサーが高速である
まぁ、Z9やα1の方が高速じゃ!って言う人も居られるかと思いますが、実は双方動画撮影においてはローリングシャッター(幕速)は速くはありません。
まぁ8K読み出しにおいて15msec程度なのは十分速いとも言うけど。実は使いたいのは解像度の高い4K120pだったりする。Z9とα1は4K120pの場合は隣接4画素混合による読み出しなはずで実質ピクセルバイピクセル読み出しの感覚に近いです。
また、α7SIIIは4K120pでも画素混合読み出しにはなりませんが、こちらもピクセルバイピクセルのクロップ読み出しになります。
APS-Cの場合においてもFujiFilmX-H2SはクロップされますしSONY FX30はかなりクロップファクターが大きくなります。
一方でG9PROIIやGH6の場合は水平5.7Kからのオーバーサンプリングによる全画素読み出しによる高解像度4K120p撮影が可能です。(まぁ、Z9とα1が6K程度の画素数に抑えていたならば、全画素読み出し4K120pが実現できていたとは思うけど)
まぁとにかくGH6とG9PROIIに搭載されている撮像素子は結構速い。その速さを活かしてレンジ拡張(ダイナミックレンジブースト)なんていう駆動があったりするわけです。GH6/G9PROIIの4K120pの場合はダイナミックレンジブーストは効かないものの解像度の高い撮影が可能になっています。
望遠に強い
まぁ、これもよく言われる事ですわな。マイクロフォーサーズは水平方向がフルサイズの約1/2のサイズなのでフルサイズを2倍クロップしたような画角で写真・映像を撮影するようなものです。「じゃあ高画素フルサイズで撮影してトリミングしたらええやないけ」と言われそうですが、それだとフルサイズの場合60MPでも最新のマイクロフォーサーズに解像度で勝てません。
しかもフルサイズなのに2倍クロップさせて撮るというのがなんともイマイチな撮影スタイルです。(あくまで個人の感想による)
換算800mmが小さいレンズで使えるのは魅力の一つ
その他を挙げると
・ボケが要らない場合はとことんシステムが小さくできる。
・レンズがリーズナブルである。
・むしろ被写界深度いらない場合が多い
・手振れ補正が強力で次元が違い過ぎる(機種に依りますがG9IIつかったらもう戻れん。。)
まとめ
センサーが高速で望遠に強い、そして広角レンズもそろっているマイクロフォーサーズですが、ボケと画質に関してフルサイズに劣るという認識を世間一般にされています。ですが、それは同一F値で画角を揃える場合の話です。
例えばフルサイズ50mm F1.4とマイクロフォーサーズ25mm F1.4は画角は同じになりますが、後者はフルサイズの50mm F2.8に相当するボケ量となります。逆に画角を揃えない場合、フルサイズ50mm F1.4とマイクロフォーサーズ50mm F1.4で同一の距離で撮影した場合、同じボケ量になります。その代わり2倍望遠に映る。
前記の様にバカみたいに明るいズームレンズをつかった場合、フルサイズ大三元に近い(レンズによっては超える)描写とボケを得ることができます。また、フルサイズに対して1段以上ISO感度を落とす事ができるので結果として映像品質はフルサイズ並みかそれ以上。
まぁ、別にフルサイズ、マイクロフォーサーズのどっちが良いとか別にどうでもいいですし、どっちも使うのもアリですが、こんな事を考えるのが好きなんでしょうね私。。。
筆者:SUMIZOON
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人