とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

2008年から現在まで動画性能に特徴のあるカメラを振り返る その4「衝撃の4K GH4登場編」

今までの3回で2008年から2013年までの動画に特徴を持ったカメラ(一部動画撮影不可含む)を紹介してきました。

sumizoon.hatenablog.com

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前回までに参考にした年表を再度掲載しますが、下記の通りです。このペースで書いているので中々今の時代に追いつかないですが、今回はある意味一眼動画の転換期である2014年について書いてみたいと思います。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sumizoon/20240917/20240917203906_original.jpg

2014年4K一眼登場

2014年と言えばLUMIX GH4の登場が印象的ですが、その前にBlackmagicDesignからBMPC4Kなるカメラが登場しました。

参考:JVC GY-HMQ10

実は民生(に近い)価格としての4Kカメラは若干遡ること2012年の春に発売されたJVC-KENWOODのGY-HMQ10だったと記憶しています。

www3.jvckenwood.com

このカメラ、複数のSDカードを使って4Kを画面分割して記録するというなんとも力技で実現したカメラで、4Kで記録したければ4枚のSDカードを用意するという超絶面倒な仕様だったと記憶しています。(1枚のSDカードで4K記録できたかどうか記憶にないです🙏 そもそもこれ、すげーカメラだなと思いつつも手に取った事はありませんでした)

https://www3.jvckenwood.com/press/2012/gy-hmq10.html

当時は「4Kって恐ろしく手間がかかるんだなぁ」とこのカメラの仕様を見ながらビビっていたものです。

Blackmagic Production Camera 4K(BMPC4K)

BlackmagicDesignが発売した民生価格帯の4Kカメラがコレ。お値段たったの$3,995という衝撃的な価格でした。
センサーサイズはSuper35mmでCinema DNG/Apple ProRes422収録可能。しかもグローバルシャッター機。マウントはキヤノンEFマウントとなっていて、多くの人の期待を背負って登場したカメラでした。

このカメラの発表は2013年の春(NAB2013)でしたが、その発売は幾度の延期が繰り返された、実際に入手できたのは2014年になってからだったと思います。この頃のブラマジ製品は「出す出す詐欺」の様な言われ方をしていたのもある意味いい思い出です。

プレスリリースは下記

https://www.blackmagicdesign.com/jp/media/release/20130408-03

4Kのフレームレートは30pまで。ダイナミックレンジは12STOP。メディアはSSD
スペックだけを見るとすごく良い印象ではあるのですが、実際のこのカメラを手にした人は非常に少なく、撮影されたサンプルを見てもさほど綺麗な印象を受けなかったものです。
当時の動画制作の貴重な情報源のRAKTANK氏の通称「黄色いブログ」でもこの機種は取り上げられていて、以下の記事を食い入るように読んだものでした。

www.raitank.jp

4Kっぽい精細さがあんまり見られないという印象がこのブログからも感じられつつ、なんか完成度がイマイチじゃね?と思ったものです。

LUMIX GH4

さて、2014年4月が4K時代の本当の意味での始まりでしょう。当時はSAMSUNがまだミラーレスカメラ(世界初の裏面照射APS-C 4K機 NX1)を作っており、4K動画を実現していましたが、4Kカメラとしては圧倒的にGH4が普及したという印象です。

スペックとしては下記の通りで、今見ると別に大したことはありませんが、とにかく一眼で4K撮影ができる初のカメラとして発売当時は入手困難な状態に陥りました。

マイクロフォーサーズマウント
16M Live MOSセンサー
DFDテクノロジー(AF)
4K30p
HDMI外部記録にて10bit撮影対応
アップデートキーによるV-Log L撮影可能

この機種の発売日は今もよく覚えていて、私も(EOS 5D MarkIIIを下取りに出して)発売日に手にした一人です。本当にこんなカメラ(とSDカード)で4Kが撮れるのか?という疑問を抱きつつ、ビビりながら4Kフォーマットで撮影をして、その映像を自宅のPCで見た時の画質に対する驚きと破壊力はとんでもないものがありました。見たこともない解像感に鳥肌が立ちまくっていたものです。

4Kやべー!すげー!

とディスプレイの前で一人で叫んだものです。

そして、バカみたいにGH4で動画を撮りまくったのが2014年だったと思います。Youtubeにアップしている映像だけでも相当な数にのぼりますが、そのうち何本かを貼っておきます。

とにかくスチルを撮る感覚で動画を撮るだけでも、ものすごく楽しかったのがこの時期でしたし、多くの人も、スチル(クオリティ)が動いている!と実感したのがこのGH4でした。

中でも以下の友ヶ島の映像は多くの人に見ていただいた映像で、今みても綺麗よねぇと思う映像です。

youtu.be

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youtu.be

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GH4は映像の品質も素晴らしいのですが、バッテリーの持ちも凄かったです。バッテリ一本で3時間の4K動画を撮影できるそのスタミナは非常に重宝しました。

ステージ上においておけば2時間半のライブであれば余裕で完走してくれるので、とにかくステージ上に置くカメラとして大活躍したものです。そして今でも使えるクオリティと言えます。(以下動画は字幕をONにするとどれがGH4だか分かる様になっています)

また、GH4は4K以外にもFHDの96fps撮影が可能で、当時スロー撮影でも重宝したものです。

youtu.be

また、のちにV-Log Lで撮影できるオプション(アップデートキー)が発売されるのですが、それまでは1-300氏の提唱されていたSTAP Logで絵作りを楽しんでいたものです。当時GH4に関してWEB検索をすると多くの人がSTAP Log(擬似Log)で撮影していた人がいかに多かったかを垣間見ることができます。

GH2で動画を盛り上げていたマニアックな層がこのGH4でも多くの情報を発信していたという記憶があります。それだけ、研究に値するカメラだったし、多くの人が、このカメラを使い倒そうというアプローチを見せていました。

余談

当時動画編集に仕様していたのはMacMini 2012だったと記憶しています。GPUは内蔵でしたが、遅いながらもFCPXとDaVinci Resolveを駆使しながらユルく編集をしていました。GH4の4KはH.264なのでPCの負荷もさほどではなく、これで十分使い物になっていました。DaVinciは非常に重かったけど、色だけ触って編集はFCPX側にXMLで渡すというフローだったはずです。今みたいにネットもYoutubeも大した情報がなく、多くに人が手探りだった時代。それはそれで面白かったなぁと。

まとめ

α7Sまで書こうと思いましたが、また次回に引っ張ります。正直一時期所有していたα7Sよりも圧倒的にGH4の方がよく使ったし、α7Sよりも総合的にGH4の方が良くできた動画カメラだったと思いますのでα7Sに関してはあまり書くことはないのですが。。。

私を動画どっぷりの世界に引き込んだカメラGH4ですし、思い出がものすごく詰まったカメラではありますが数年前に手放してしまいました。GH5/GH5Sやフルサイズに移行したというのが理由ではありますが、今でも普通に使える4Kカメラですし、状態のいいGH4があれば記念に持っておきたいと思うのでした。

自己紹介

筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人

2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。

 

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