このブログをご覧の方であれば、この数年のミラーレス一眼の動画性能の向上に関しては、把握しておられる方も多いと思いますが、改めて一眼(一部レフ機含む)動画の黎明期から今現在までの歴史を振り返ってみたいと思います。
私が触れてきたカメラ、所有してきたカメラに思い入れがあるので話が少々偏ってしまうかもしれませんがその点はご了承ください。
そして今回は第一回「一眼動画黎明期編」としてお届けします。(続かなかったらごめんなさい)
動画性能に特徴のあるカメラ一覧
まず、一眼レフで動画が撮れる様になった2008年からの年表を作ってみたのが下記になります。他にも特徴的な機種はあると思いますが、独断でリストアップしています。
オリンパス(OMDS)機が無いじゃないか!と言うツッコミが出そうなのは承知の上で書いています🙏
一眼動画黎明期
いつまでを一眼動画の黎明期と言っていいのかは正直わかりませんが、少なくともGH2の登場までは黎明期と呼ぶのに相応しいのかもしれません。そこで本エントリでは2010年のGH2までを一旦記載しようと思います。
Nikon D90
一眼で動画を撮ると言う文化の発展はCanon EOS 5D MarkIIやLUMIX GH2の存在が大きかったと言えますが、その前にNikon D90が世界初の動画が撮れる一眼だったと言う事実があります。とは言え、私は使ったことがありません。
解像度は1280x720で最長5分、コーデックはMotion-JPEG
撮影中のAF駆動はできないし、撮影中にAE制御や露出の変更も出来なさそう。色々調べてみるとローリングシャッター歪みもかなり凄そうな機種です。
でも、ラージセンサーでボケを活かした撮影ができるカメラは当時は他になかったので、極一部のマニアな人たちがあれこれ工夫しながらD90で撮っていたと言う話を耳にします。
説明書もいまだにダウンロードが可能ですが、動画撮影に関する記述はほぼありません。
そして、このD90の後に発売されたのが、そう、EOS 5D MarkIIです。
EOS 5D MarkII
一眼動画の歴史に名を刻むとしたら間違いなくこの機種でしょう。個人的には後に発売されるLUMIX GH2も同じくらいの存在だと思います。
フルサイズでFull HD 30pが撮れて当時としてはフツーの人が扱えないほどの高ビットレートだったと記憶しています。40Mbps程度
何度かこの機種で撮影した動画を編集しましたが、それが結構大変。当時のコンデジとかに搭載されていたMotion-JPEGとかとは全く違うデータ量でした。
引用:【デジタル一眼レフカメラ】EOS 5D Mark II 基本情報
当時そこそこスペックが良かったIntel iMacでも、その扱いには苦労した記憶があります。当時はまだまだIEEE1394でDVテープから低ビットレートのデータをPCに取り込むと言うスタイルが趣味動画の文化としては残っていて、EOSの動画データを動画編集ソフトでエディットするものものすごく時間がかかった記憶があります。
後に岩井俊二監督作品のヴァンパイアがこのEOS 5D MarkIIだけで撮られてたと聞いてDVDを借りてかじりつくように映像をチェックしたものです。
以下リンクからその映像の一部を垣間見ることができます。本編は407円でレンタルされていますのでガチなEOS 5D MarkIIを堪能できますので是非。
ちなみに私はEOS 5D/EOS 5D markIIIは所有してましたが、EOS 5D MarkIIは所有せず、友人から貸してもらったり、撮影データを貰うのみでした。
初期のファームでは映像はマトモに撮れるものの、正直使い物にならないほど使い勝手が悪かったと記憶していますが、後のファームではだいぶ改善された機種です。各メーカーとも動画という機能に関してはまだまだ手探りだったという背景もあるのでしょうね。
LUMIX G1
EOS 5D MarkIIの直前に、世界初のミラーレス一眼 LUMIX G1が発売されています。
当時EOS 5DやEOS 50Dでスチルばかり撮っていた私ですが、家電量販店のカメラコーナーに見慣れないLUMIX G1が展示されているのを見て「何だこのおもちゃみたいなカメラは??」と思ったのが第一印象です。
引用:概要 デジタル一眼カメラ/ボディ DMC-G1 | LUMIX(ルミックス)
とにかくなんか凄く小さい。。こんな小さいカメラで写真撮れるの?と思ったものです。まぁその数ヶ月後にはLUMIX GF1を購入したのですけどね。。
巷ではミラーレス一眼はSONYが世界で初めて作ったと勘違いしている人も多いですが、このカメラが正真正銘の元祖ミラーレス一眼です。
もし今も持っている人がいたら大事にしてくださいね。でもプラスチックは加水分解が進んでベタベタになっている可能性が高いです。
LUMIXはPanasonicのムービーの技術力を活かして、最初の機種からそこそこマトモに撮れる動画機としても仕上がっていたという記憶です。
2024.9.13訂正
動画が撮れるようになったのはその次の2009年4月発売になったGH1からでした。お詫びして訂正いたします。A-TAKさんご指摘ありがとうございました。
UMIX GH2
EOS 5D MarkIIが出た翌年の2010年に発売されたのがGH2です。GH2はミラーレスLUMIXの実に5機種目だったと思います(G1→GH1→GF1→G2→GH2)。見方を買えると当時Panasonicはこの短い時期に機種を連発していた事がわかります。
GH1も動画に強いカメラ(ミラーレス初の動画撮影搭載機)で、一部当時地上波ドラマのメインカメラ(テレビ東京「モテキ」)の撮影に使われていたと言うのは有名な話。そのGH1の後継機種として登場したのがGH2です。
ではなぜGH1よりもGH2が一眼動画のいわゆる「草分け」的な存在になったのか?と言うとそれはひとえに「ハックファーム」の存在が大きいと思います。これに関しては当ブログでは何度も紹介している通りですが、一大ブームのようにコアなユーザーが競い合ってその高画質化に取り組んだと言う歴史があります。
詳しくは下記の記事にて
そして、2024年9月においても当時の震源地(ハックファームを生成するためのPtoolの配布元)だったPersonal Viewは未だに健在です。
2024.9 久々にアクセスしてみました。
そして、ptoolのダウンロードリンクも未だに残っています。
とにかく、その画質は未だに通用するくらいに美しいものです。解像度やダイナミックレンジ、ローリング速度などは今のカメラこそ及ばないですが、だからと言ってこれが14年も昔のカメラだと言う事実はGH2を知らない若い世代には驚愕のレベルのものだと思います。
そしてGH2は自宅で使用頻度こそ低いものの、まだまだ使っています。
大体中古で1.2万円くらいですが、Amazon見てたら新品の14-140mmキットのデッドストックが12.8万円であったので一瞬ポチりそうになりましたw
あと、ハック前提なら最新のファームに更新されてない個体の方が確実だと思います。最新ファーム(2018年公開のV1.2)だとハックできない可能性があるのでご注意ください。
EOS 50D(番外編)
EOS 5D MarkIIよりも前の機種であるEOS 50D(APS-C機)は2008年8月に発売になったCANONの一眼レフです。です。そして、どの一眼動画の歴史を語っているサイトにも全くその姿はありません。それは当然で、EOS 50Dには動画撮影を行う機能が備わってい無いからです。
ところがMagicLanternと言う改造ファームを入れると撮れるんですよね。。動画が。しかもRAWで撮れます。思えば私がRAWで動画を撮ると言う原点はこのEOS 50Dにあります。
発売当時はこのカメラをスチル以外で使うことは全く考えていませんでしたが、MαgicLanternの存在を知ったのが2012年くらい。
生成されるRAWは1フレーム毎にLighroomで現像して連番で動画にすると言うアホなフローで編集をした記憶があります。苦労した割にはGH2の方が圧倒的に画質は良かったですが、何よりRAWで撮れるという部分にワクワクしたものです。
さて、第一弾を書いてみましたが、気が向いたら?第二弾を書いてみたいと思います。次回は2011年からのカメラ。NEX-5Nから2014年のα7Sくらいまでを書こうかなと。
すでにやってしまいましたが、曖昧な記憶で書いている部分もありますので、間違っている記載もあるかもしれません。ご指摘いただければ幸いです。
自己紹介
筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。