とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

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知ってた?LUMIX S1R という47MPカメラの動画性能とスチル描写

フルサイズミラーレスカメLUMIX Sシリーズでの2022年6月時点における唯一の高画素機。それがLUMIX S1Rです。その発売日は2019年3月で既に発売から3年以上が経ちますが、実は私が触ったのは今回が初です。いや、S1Rは使ってみたいとずっと思っていたのですが、「触ると欲しくなるから」という理由もあってあえて避けてきた部分があります。

なのですが、諸事情で高画素スチルが必要な案件があったので今回S1Rをお借りした次第です。で、せっかくお借りしたからには少しこのS1Rについての紹介をば。と思いまして。。。

はじめに

S1Rが必要な理由は明確で、高解像度のスチル撮影が必要だったというのは前記の通りです。で、せっかくS1Rが手元にあるならついでに(と言ってはアレですが)S1Rを動画機として使ったらどうなるの?という観点で少し書きたいと思います。後述しますが、スチル機としての出来が良すぎるためほぼ今回はスチル機としての試用がメインとなりました。

DxO Markの2022年1月までのトップランカー

まぁ、私はあまりセンサーのベンチマークはあてにしていない人なのですが、客観的事実を書くとDxO Mark上はS1Rはつい最近まで並み居るカメラを抑え画質評価としてNo.1の座に君臨していました。

Sensors Database - DXOMARK

DxOベンチマークはあくまでスチル画質のものにフォーカスしたものですが、スチル画質の評価がいかに高かったかが伺えます。

加えて、S1Rは2019年のカメラグランプリは大賞を受賞しています。(そいやS1は受賞してなかったっけ。。。)

https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s1r/camera_gp.html

LUMIX Sシリーズをおさらい

少しLUMIX Sシリーズの振り返りをしてみると下記の様になります。

以下はすべて現行機種です。

◆2019年3月発売

LUMIX S1:光学ローパスレス/有効画素数2420万
LUMIX S1R:光学ローパスレス/有効画素数4730万

◆2019年8月発売

LUMIX S1H:光学ローパス搭載/有効画素数2420万

◆2020年9月発売

LUMIX S5:光学ローパスレス/有効画素数2420万

ちなみにフルサイズLUMIXには更にもう1機種、BS1H(2021年10月発売)というボックス型のカメラが存在します。

上:S1R / 左下:S1H/右下:S5

(S1はS5導入時に売却したため手元に残っていないですがS1Rとサイズは同じ)

LUMIX S1/S1H/S5/BS1Hはいずれも24MPの画素数。動画撮影にも強いカメラとして認知されているカメラで、私も撮影で使ってきたカメラです。(BS1Hはプロニュースでのレビューでの使用機会ですが)

久々にS1系のボディを握りましたが、やっぱり大きいながらもしっくりくるものがあります。

LUMIX 孤高の47MP機

S1R以外のLUMIX Sシリーズは、ローパスフィルタ有無やそのボディ作りで大きな違いはありますが、いずれも撮像素子は24MPです。つまりLUMIXフルサイズで高画素数を活かしたスチル撮影をしたい場合はLUMIX S1Rが唯一の選択肢となります。

とは言え、動画色が強いLUMIXシリーズの中において、スチルに重きを置いたS1Rは一部では話題だったものの「そこまで注目が得られて来なかった」というのが私の理解です。

尚、Lマウントの高画素数ボディとしては下記の2機種が存在します。

◆2019年11月発売

LEICA SL2:光学ローパスレス/有効画素数4730万

◆2021年4月発売

SIGMA fp L:光学ローパス搭載/有効画素数6100万(メカシャッター非搭載)

憧れだったS1Rの4K60p動画性能

動画性能の側面について触れておきますが、そもそもですよ、S1Rは4K60pがほぼクロップしない画角で撮れる初のミラーレスカメラです(クロップファクタは厳密には1.1倍程度)。

S1Rは4K60pにしてFULL画角が選択できる

いまでこそフルサイズの4K60pはいくつかのカメラでノンクロップで撮影することができますが、時は2019年の春、同期時に発売されたS1の4K60pがAPS-Cクロップになるのに対してS1Rはほぼフルサイズ感覚で4K60pが撮ることができるものだったのです。(まぁ今までS1Rを使ってきてない私がドヤ顔で言うのもアレだけどね)

 

でも動画メインで使う機材として、私がLUMIX Sシリーズの中で購入したのは後述するS1の方でした。Logによる10bit撮影やオーバーサンプリングによる4K30pは動画品質として素晴らしく、最新のファームでは外部RAW記録できるまでに化けていきました。

とは言えS1は4K60pのクロップファクタが大きく、S1Rの動画作例をほぼネットでは見ない状況でして、当時は「S1Rの4K60pを使ってみて~!」とずっと思っていました。

(ただし、S1Rは8Kオーバーサンプリングではなく、8Kからの画素混合から作られる4Kデータと思われますのでS1Rの4K60pの解像感はS1の4K30pに比べて劣るものと推測。そして15分の時間制限もある。つまりパナソニックとしては動画機としてコレを売るスタンスはほぼ無かったと思います。ですが、「やっぱりLUMIXの色でフル画角で4K60p撮りたいよねぇ」とカタログを見ながら指をくわえていたものです)

S1Rで撮影できる動画モード(裏技含む)

まずコンテナはMP4がメインです。そのモードは下記の通り

・4K60p(3840x2160) 150Mbps 4:2:0 8bit 
・4K30p(3840x2160) 100Mbps 4:2:0 8bit
・4K24p(3840x2160)100Mbps 4:2:0 8bit 
・FHD60p(1920x1080) 28Mbps 4:2:0 8bit
・FHD30p(1920x1080) 20Mbps 4:2:0 8bit
以上のフォーマットはFULL/APS-C/Pixel by Pixelが選択できる仕様です。

尚、最新のファームウェアにするとMOVコンテナの

・5K30p(4992x3744)200Mbps 4:2:0 10bit 
・5K24p(4992x3744)200Mbps 4:2:0 10bit

も撮影可能ですが、こちらはPixel by Pixelとなります。実はコレ4:3画角なのでぶっちゃけアナモフィックレンズを使って撮影するようなモードに向きますが、なぜこんな変態?なフォーマットが実装されているのか不思議なところではあります。実は今回はほとんどこのモードでの撮影を行いませんでしたが、おそらく5K撮影時のコーデックはH.265だと思います。

裏技

ちなみに6Kフォトモードを使った裏技としてS1Rでは

・5K30p(5184x3456)10bit撮影が可能であることを確認しています。コレを使うと10bitフォーマットとして一番画角が広い撮影ができます。6Kフォトモードという名前がついていますが、音声記録も可能ですので変則的な動画撮影モードと解釈することもできます。(S1Rで動画撮るという人がどれだけ居るのかは正直疑問だけど)

動画を撮った感想(4K60p動画作例)

是非に大画面でこちらを4K設定にしてご覧くださいませ。

 

光学ローパスレスというカメラの特性からか、4Kの映像はかなりシャープに映るイメージです。目の肥えたユーザーでない限りはオーバーサンプリング4Kと見分けが付かないかと思います。少なくともFHDモニタでは見分けはつかないです。

繊細な描写が可能でなにより4K60pがほぼクロップしないというところは動画撮影でS1Rを使う最大のメリットだと思います。

とは言え、4K60pのモードはクロマサブサンプリング4:2:0の8bitなので極端なグレーディングを行うと破綻をする事になります。まぁ、初めからLogが使えない仕様ですのでグレーディングが前提の絵作りをしたいという人には残念な仕様となっています。

願わくば10bitで撮れればええのに。。。と思います。

ちなみに作例の撮影で使用したプロファイルは風景、709ライク、ポートレートの3つを中心に試しました。

ポートレートはほんの少し赤味が強い発色傾向でしたので、ポスト処理に調整を行いましたがいずれのプロファイルもLUMIX特有の素性の良い色が出せる印象です。

709ライクが一番V-Log撮影+純正LUTを適用した状態の絵に近く、同プロファイルで撮ると汎用性が高く、試したプロファイルの中では一番グレーディング向きだと個人的には感じました。

うむ、ここまで撮れるんだったら10bitやLogプロファイルを追加してほしい!と強く願うところではありますが、冷静に考えるとこの機種の本来の強みはスチル機としての描写だと思います。なので動画性能の向上を今さら要望するのはちょっと我儘が過ぎるのかもと。。。

当初はなんちゃってLog化するためのプロファイルや撮影方法も検討しましたが、8bitなので仕上がりを意識してなるべく撮って出しに近い状態で撮ることに専念すべきだと思います。

S1Rとしての本分 スチルの描写

動画作例を4Kでご覧いただければS1Rの映像はご理解頂けたかと思いますが、やはりこの機種の本分はスチル機としての姿です。

で、いったんスチルを撮るとハマります。いや、正直な話、久々にスチルを撮ってて楽しかった。高解像度のファインダから見える絵が美しいのは想像していたのですが、撮れば撮るほどにその繊細な描写に驚きが続きます。思えば10ウン年前にEOS 5Dでスチルを年間とんでもないシャッターを切っていた時代が私にはありますが、それ以降はリプレイスした5DMarkIIIを触っていてもそれほどの感動はありませんでした。

今回はとにかくシャッターを切っていても楽しいのです。スチルをアホほど撮らなくなっていた間にスチル機の描写性能が上がっていたせいも有るのでしょうけどね。

P1047986

LUMIX S1R + LUMIX S 24-105mm F4 MACRO OIS

よくカメラ関連の記事、動画を見ていると、「空気感を写し取る」とかそう言う類の言葉を目にしたり耳にしたりすることがあると思いますが、それが具体的/技術的に何がそうさせているのかは私には理解できていません。多分言っている方も理解できていないケースがほとんどだと思いますが。。。。でもS1Rで撮った絵の空気感が不思議と感じられるものです。

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LUMIX S1R + LUMIX S 24-105mm F4 MACRO OIS

RAWデータを弄った限りはダイナミックレンジはS1/S5/S1Hよりもほんの少し劣る印象ですが、逆にハイライトを気を付けて撮るとええ塩梅に撮れる事が多いです。

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LUMIX S1R + LUMIX S 24-105mm F4 MACRO OIS

24-105mmは便利で私もよく使うレンズですが、このレンズってこんなに解像するレンズだったのだと改めて気づかされます。

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LUMIX S1R + SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN|Contemporary 

前日レビューしたSIGMA 16-28mm F2.8 DG DN|Contemporary との相性もよく、むしろ高画素数機でスチルを撮りたくなるレンズの一本

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LUMIX S1R + LUMIX S PRO 70-200mm F4 OIS

こちらは S PRO 70-200mm F4 OISですが、このレンズも高画素機で使ってみたかったのでした。

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LUMIX S1R + LUMIX S PRO 70-200mm F4 OIS

いつもより少しこってり目に現像してみました。高画素機という事もありレタッチ耐性が心配でしたが、何も意識することなく現像は行えた印象です。

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LUMIX S1R + LUMIX S 24-105mm F4 MACRO OIS

P1047102

LUMIX S1R + LUMIX S 85mm F1.8

P1047470

LUMIX S1R + LUMIX S PRO 70-200mm F4 OIS

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LUMIX S1R + SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN|Contemporary 

P1046773

LUMIX S1R + SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN|Contemporary 

P1046811

LUMIX S1R + SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN|Contemporary 

とにかく写欲が湧くカメラだと感じるのは私だけではないと思います。

カメラとしての贅沢な作り

S1RというカメラはS1とハード的な構成はほぼ同じです(中身はしらんけど)。外観からS1と区別できるのは機種名だけであとのつくりは全く同じ。私も長い間S1のユーザーでしたが久々にS1系ボディを持った感覚は「やっぱS1/S1Rボディは贅沢な作りをしているなぁ」というもの。

EVFの解像度はもとより肩液晶、カード、バッテリー蓋の警告、ボタンイルミネーション、SSWF、アイカップ、手振れ補正段数、ファンクションボタン総数、シャッターフィールと実はありとあらゆる所が贅沢な作りをしています。

S1/S1R系のボディは非常にバブリーです。もうね、「コストいくらかけてもいいからいいもの作りたい」というのが随所に見て取れる作りです。

S1Rが中古市場で20万円ってところを見ると正直一台ポチってしまおうかという感覚になります。いや、この数日マジでMAPカメラの中古を調べています。というか美品がもし20万円程度で手に入るのであれば個人的には買っておいた方がいいと思います。

もちろん、現行品種なので新品をポチることも可能ですがね。。。

ボタンイルミを点灯させた状態。肩液晶のバックライトと主要ボタンが点灯する

あと、電源ボタンの配置に関してとかく言われがちなカメラですが、私はむしろこのポジション、構造は好きです。カバンに入れても不用意に電源が入ることがない形状なのでむしろ良いと思う派です。

まとめ

動画に関してはオマケの領域ではありません。ただし、カラーグレーディングを前提にして撮影を行うべきではありません。あくまで高解像のスチルを撮りつつ動画も綺麗に収めたいという人にこの機種は向くでしょう。

で、どんな人向けに向くのか、あるいは向かないのかを書いてみたいと思います。

S1Rに向かない人

・動画撮影がメインである。

・̪シネライクな映像が撮りたい人(Log撮影したい人)

・動画撮影で長回しが必要な人

・ゴリゴリに動画のカラーグレーディングをしたい人

・重い機材を持つのがしんどい人

・自撮りしたい人

S1Rが向く人

・軸足がスチル撮影である(動画も撮るがスチルメイン)

・メカシャッターが必要な人

・そもそも高画素数でのスチル撮影を必要とする人

・ほぼほぼクロップのされない4K60pが撮りたい

・動画は撮って出しか、軽い調整くらいでOK

・バリアングル液晶に抵抗がある人(背面液晶はチルト派だ)

チルトは縦位置撮影にも対応(ここらへんはS1と全く同じ機構)

正直動体はどうなの?と言われそうですが、多分これでモータースポーツとか全然撮れる自信はあります。が、スポーツが得意なカメラはほかにもありますし、必ずしもS1Rじゃないといけないわけではないと思います。S1Rはその線の細さからネイチャーなど自然を表現するような使い方に向くような印象をうけました。

とにかくこのカメラを使って感じたのは久々にスチルを撮るのが楽しいという事。家にデータを持って帰って拡大表示させては「すげー。。。」を連発していました。私はスチルのハード的な進化は動画のそれに比べて飽和傾向にあるという認識ではおりますが、やっぱり久々に高画素機を使うとその進化は十分感じられた次第です。(2019年発売のカメラを使っといて書くのもアレだけどね。。。)

いや、マジでS1Rほしくなった。。。

筆者:SUMIZOON

Facebookグループ一眼動画部主宰 メンバー5000人目前

CP+2021 LUMIXブース

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