はじめに
G9PROIIに関する記事は以前LUMIXの公式マガジン(LUMIX Magazineさん)、VIDEO SALONさんの方に寄稿させていただきました。
また、当ブログにおいても下記の記事を投稿しました。
で、今回は何の話かっちゅうと「G9PROIIがRAW動画に対応する」と予想外のアナウンスがあったのでこうして記事を書いてみたいと思います。
GH6とG9PROIIの共通点と違い
これらの中で現状の「GH6にあってG9PROにないもの」と「G9PROIIがGH6を超える部分(機能、性能)」をまとめると
GH6とG9PROII共通の動画機能
・プロユースの高画質記録フォーマットを含むコーデックモンスター(ProRes収録可)
・4K映像は120pを含めクロップされない5.7Kオーバーサンプリングで超高精細である
・USB-Cによる外部SSD記録が可能
・高いボディ手ブレ補正効果
GH6にあってG9PROIIに無いもの
・空冷ファンがない(長時間記録時に熱停止する可能性あり)
・チルトフリーアングル液晶ではない
・外部レコーダーによるRAW動画記録がない
・物理ボタン類が少ない
・前面タリーランプがない
・CFexpressカードスロットがない
G9PROIIがGH6を超える部分(機能、性能)
・像面位相差センサー搭載している
・ダイナミックレンジブーストの最低感度制限撤廃(GH6はISO2000始まり)
・手ブレ補正効果が高い(動画撮影時電子手ブレ補正効果の向上)
・低感度画質が大幅に向上
・バッテリーグリップが使用できる点
・リアルタイムLUTが使える
とお伝えしました。当然ながらこれは動画性能に限っての話なのでスチル性能の場合はさらにGH6を超える部分として例えば秒間60コマのプリ連写、スチルRAW16bit記録ができる点などがあります。
実質的にはG9PROIIはGH6に対して
動画・静止画画質:G9PROII > GH6
記録フォーマット:G9PROII ≒ GH6
スチル性能:G9PROII > GH6
でも動画の記録フォーマットはほぼ同等と言いながらも「外部レコーダーによるRAW記録」ができない点はGH6とG9PROIIの差でした。
私もハイブリッド機フラッグシップのGH6がスチルフラッグシップのG9PROIIと差別化を図るために、G9PROIIのRAW動画対応は行わないと思っていました。
というかねぇ、マイクロフォーサーズでRAW動画撮影できる機種はLUMIX GH5S / BGH1 / GH6と基本的にGHシリーズだけだったわけでして、GシリーズでRAW動画撮れる事にはならんやろうと思ってたんですよね。。。
でも。。。。昨日発表されました。コレ
https://panasonic.jp/dc/products/g_series/g9m2/expression.html#hdmi_raw
外部レコーダーによるProResRAWとBlackmagic RAW対応のアナウンスがされました。
尚、新ファームウェアの公開日は「近日公開」となっています。
マジですか。。GH6のアドバンテージはまだありますが、動画撮影機能に関しては
「GH6よりも優秀なAFが使えて、GH6よりもダイナミックレンジブーストが低い感度から使えて低感度画質が綺麗。つまりGH6以上のRAWが撮れる」
GH6よりも秀でている部分が多くなってしまいました。まあデジタルモノの常だけどね。
私自身はProResRAWはより生のRAWに近く、高い品質のRAW記録ができるという認識を持っていますが、DaVinci Resolveを使っている事によるポスト処理での親和性を考えると、Blackmagic RAW収録できるようになるという事の方に今回のアップデートの恩恵を感じます。
もちろんApple Final Cut Proを使用している方はProResRAWの恩恵を得られると思いますが、ここではBlackmagic RAWの話を中心にしたいと思います。
G9PROIIのRAW動画撮影・編集に必要なもの
前述のようにBlackmagicRAWの場合についてRAW動画撮影・編集に必要なものを記載します。
①VideoAssist 12G HDR
https://videosalon.jp/report/gh6_braw/
参考:BlackmagicDesignのVideo AssistのWEBページ
間違って3Gを買わないように注意してください。尚、5インチモデル、7インチモデルいずれでもRAW記録できます。おすすめはコンパクトな5インチモデルですが、画面が少しでも大きい方がいいという方は7インチモデルを検討するといいでしょう。
②VideoAssist 12G HDRファームウェア Ver 3.14以上
③最新のDaVinci Resolve STUDIO
無償のDaVinci Resolveでも編集できるかもしれませんが、RAW収録したデータはノイズリダクション(NR)がかかっていない「素」のデータですし、歪曲補正や周辺減光を含めてカメラ内部収録で行われる処理のほとんどはバイパスして収録されます。なのでNRを行うにしても有償のSTUDIOが使えないと厳しいです。
またG9PROIIのRAWであることを理解して処理できるのは最新版Verとなるので必ず最新版にアップしてください。18.6.4になります。
④SDカードもしくはSSD
ビット単価が安い高速なSSDがおすすめですが、V90のSDカード(720Mbps書き込み速度保証)でも5.7K29.97pの8:1/12:1(固定ビットレート)は記録可能です。
以前GH6のBlackmagic RAWに関する記事を書いたときに調べたビットレートは下記の通り。59.94pで撮るならSSDが必須と考えていいでしょう。
BlackmagicRAWのビットレート 5.7K 17:9(5728×3024)59.94p(5:1圧縮) 約2.3Gbps 5.7K 17:9(5728×3024)59.94p(8:1圧縮) 約1.45Gbps 5.7K 17:9(5728×3024)59.94p(12:1圧縮) 約0.96Gbps 5.7K 17:9(5728×3024)29.97p(5:1圧縮) 約1.16Gbps 5.7K 17:9(5728×3024)29.97p(8:1圧縮) 約0.72Gbps 5.7K 17:9(5728×3024)29.97p(12:1圧縮) 約0.48Gbps 17:9(4096×2160)119.88p(5:1圧縮) 約2.4Gbps 17:9(4096×2160)119.88p(8:1圧縮) 約1.48Gbps 17:9(4096×2160)119.88p(12:1圧縮) 約0.98Gbps
https://videosalon.jp/report/gh6_braw/
https://videosalon.jp/report/gh6_braw/
④その他
HDMIケーブル、VideoAssisi12G HDR用のバッテリー、そしてもちろんG9PROIIとレンズです。
一応、諸々Amazonリンク貼っておきます。
ちなみにG9PROIIのキャッシュバックキャンペーンは2024年1月14日までになっているのでキャッシュバックを利用したいという方はお早めに。Amazonでもちゃんとキャッシュバックキャンペーン応募は可能ぽいです。
マウント方法に関して
モニターをマウントする場合、SmallRigなどのコールドシューマウントを使う方が多いですが、安いものも結構あるので探してみてください。ポイントはチルト(前後)方向のネジ締めができること。左右(パン)方向はなくても良い。むしろパン方向のネジ締めができないマウントはちょっとしたことで回転してしまいます。でも、チルト、パンがネジ締めできる小型のコールドシューマウントはほどんど見たことがありません。
ホットシューにマウントする場合、撮影ではほとんど左右にVideoAssistをパンさせる必要は感じませんので例えばこんなやつが安価でよいかもしれません。
でも、ぶっちゃけホットシューやコールドシューにVideoAssistをマウントさせるのはおすすめしません。
そこそこ重いVIdeoAssist 12G HDRでこの手のマウントを使うことは落下のリスクが大きいから。もし使うなら落下防止策をちゃんとしておきましょう。
S5II/S5IIXと筐体が共通のG9PROIIはケージもS5IIのものを使うことができることが多いです。
これにこういったものを付けるのが落下対策としてリスクがすくないのですが、このマウントはパン方向のネジ締めができないタイプなんですよね。悪くはないですが意図せずパン方向にモニタが回ってしまうことがあります。FALCAMさん、これのパンしないタイプ作ってください。
作例
LUMIX G9PROII以外のLUMIXではありますが、Blackmagic RAW収録した作例をいくつか貼っておきます。
この映像はGHシリーズやSシリーズで撮影したものですが、少なくともGHシリーズでの作例と同レベルの撮影が可能と考えて差し支えないと思います。むしろ低感度(ISO2000未満)からダイナミックレンジブーストが有効であるG9PROIIの方がGH6よりも綺麗に撮れる可能性が高いです。
内部収録や外部SSD収録(ProRes422記録)に比べてノイズリダクションの手間はかかるものの色とコントラスト調整がしやすい印象でした。
Blackmagic RAWの利点
Blackmagic RAWの利点に関しては以前の記事を参考にしていただければと思います。
動作が軽くてサイズも小さい。それでいてRAWの良さであるリカバリー耐性を持つ。編集者はそのデータをほとんどRAWと意識することなく使えるのがBlackmagic RAWの良さだと考えています。詳細はVideoSalonさんに寄稿した下記記事をご覧いただければ幸いです。
Blackmagic RAWは既にベイヤーレベルでの情報を持たない、ディベイヤーを行ったYUVもしくはRGBの情報に近い形で記録されているイントラコーデックの一種だと思います。(というか、Blackmagic RAWの技術的な話を私は全然理解してないし、ホワイトペーパーもないんですよね。一部ディベイヤー済みみたいな情報はあるけど。。。)
ゆえにH.264のイントラコーデック並みにデコードが速い。おそらくフレームごとにホワイトラバンスやティント補正やガンマ情報に関するメタデータを埋め込んでいてそこからホワイトバランスを再調整するための色マトリクス演算をDaVinci側に委ねるというシステムなのだと推測しています。(ベイヤレベルの圧縮記録ではないのでREDの特許に抵触しない。故にBMPCC4K/6Kなどのカメラは搭載できているのだと勝手に想像)
だから機種に対応した最新版のDaVinciが必ず必要だったりする。という事なのかなと思っています。
いずれにせよユーザーとしては軽くてほぼ正確にホワイトバランスを再調整できるというのが一番のメリットでしょう。もちろんグレーディング耐性は高いですが、カメラが本来持つS/Nが高いことが前提です。
余談
G9PROIIはGH6よりも高いダイナミックレンジと低感度ダークノイズの低さで圧倒的にGH6を上回ります。
https://videosalon.jp/report/lumix-g9proii/
上記は-4EVで撮影し現像時に+4EVプッシュ現像したものですがかなりノイズの出方に違いがあります。G9PROIIの方が圧倒的に綺麗なのです。G9PROIIはISO500、GH6はISO250なのにその差は歴然としています。
これは低感度でG9PROIIがダイナミックレンジブーストが発動しているためなのは間違いなく、明らかに絵の素性が異なります。
とにかく何を言いたかったかっちゅうと、G9PROIIのRAWはすげーいいんじゃね?という事。
まぁここらへんは実際にG9PROIIでRAW動画を撮影した感想なんかも含め後日ここで記載したいと思いますが、すげー期待が持てる。
最後まとまりがなくなっちゃいましたがぜひG9PROIIのRAW動画にチャレンジする人が多く居たらいいなと思う今日この頃です。
ではでは
筆者:SUMIZOON
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人