S1Hの外付けタリー実装。世界初のネタかも?
LUMIX S1Hのタリ―ランプを外付けできる機能を確認しましたので記載したいと思います。
ただし、試される方は自己責任でお願いいたします。申し訳ありませんが、このネタを真似てS1Hにいかなる損傷が発生しても当ブログは責任を負いかねます。
実はS1Hには隠された機能というのを以前聞いたことがあって、どうしても試してみたかったのでした。とは言え、私は電子工作が苦手というのもあって、たかTubeさんに、相談したらソッコーで作っていただきました。
隠されたS1Hの機能とは?
S1Hの隠された機能、それは
・REC最中はヘッドフォンジャックの4番ピンがグランド出力(0V)となる。
・待機中はフローティング
といういわゆるオープンコレクタ出力するという仕様の様です。
よくわからんという方が殆どだと思いますが、簡単に書くと一般的なヘッドフォンジャックは3ピンですが、これを4ピンにすると「あるピン」からREC中か待機中かを示す「電気信号」を取り出せる、というものです。
この4番目のピンというのは、一般にはカメラのヘッドフォン出力としては使われていないピンで、そこにREC情報を割り当てている様です。
実はパナソニックの方にS1Hのタリ―ランプの外付けが出来ないか?と展示会で質問させて頂いた時に、「装着できる機器が現在ないため仕様開示は行っていませんが、ヘッドフォン端子の未使用ピンにREC中/待機を区別するための信号を出力をしているので、電子工作などを施せば外付けタリ―ランプ実装は可能かと思います。ただしメーカーとしては保証はできません。」との回答を頂きました。(後々はメーカー純正の外付けタリーが発売する可能性も見越しての仕様なのかと推測しています。)
当然電子工作をした電子機器を外付けするのは、メーカーとしては保証できないというのは当然のスタンスだとしても、これを試してみたいと思うのが男心。
どんな仕様なのかを推測する。
仕様開示がされていないので、ここからは推測です。
S1Hのヘッドフォン端子は他のカメラと同様で3.5Φ/3ピンプラグのステレオ運用ですが、「未使用端子」ということはパソコンのインカムなどで使われている「4ピンプラグを使用するのではないか?」と推測しました。
ネット検索すると山ほど情報がありますが、インカム等に使用される4ピンプラグの極性は③がGNDで④がマイクになっています。
つまり④のマイクに当たる部分がREC Signalなんじゃないか?と思ったわけです。
ここの③‐④番にテスターをあてて、REC中/待機中で動作がどのように異なっているかを観測してみます。
結果は
REC中:電圧は0V近く、抵抗値は100kΩ付近
待機中:電圧はフローティング(不安定)。抵抗値は∞Ω
確かにREC中を認識するための信号は④番に出力されています。
おそらく一般的なオープンコレクタ出力もしくはオープンドレイン出力を行っていると推測されます。
要は、REC中はグランドレベル(0V)それ以外は上記トランジスタのスイッチが切れているので電位は未確定というもの。
あの人に相談
というわけで、なんとなくの仕様は理解できたものの、コレをベースにタリーランプを外付けしたいのですが、問題は電子工作です。というのも、私は久しく半田ごてを握っていないし、この手の工作は苦手。それに用意するTr.も何を使っていいかわからん。。。
で、さっそく上記回路を前提に、お友達のたかTube氏に相談。タリーを作れませんかね?と伺ったところ二つ返事で「やりますよ~」と快諾頂きました。
そして、相談させて頂いて1時間後にはすでに実証回路を作ったと連絡、次の日には「送ります~」という仕事の速さ。。。恐るべし。。。
ちなみに同氏は数々の私の笑いのツボを押してくる、知る人ぞしる動画投稿者でもあります。
S1H専用外付けタリ―ランプが届いた
で、届いたブツを開封。アリもので作りました!という本体ではありますが、なかなか良いです。私がリクエストさせて頂いたのは、100m先でも演者さんがタリーを認識できる割と明るいもの。というのも演者さんが近くであれば、標準でS1Hは前面にタリ―ランプが搭載されているので外付けする意味は少ないのです。いわゆる長距離撮影で使える派手に光るやつ。というがリクエスト。なので被写体が真っ赤っかに染まるので近距離撮影では使わない(使えない)仕様です。
点灯式!
さっそっくホットシューに付けて
RECボタンを押してみます。すると!
おおおおお!点いた!
たかTube氏の解説
以下、たかTube氏の解説です 。
スミズーンさんの解析結果より、おそらくカメラ内部は添付のような回路になっていると推測します。
カメラ側の100kΩというのはおそらく電流制限用の抵抗でしょう。ただ電流制限用にしては大き過ぎでは?と感じますが、おそらく測定方法によるものと思われるのでここからは実測された「100kΩ」という値を正として話しを進めます。
S1Hはガチのシネマカメラであるため、プロの現場では周辺機器の電源をVバッテリーで運用することを想定しているハズです。
今後この外部タリーランプの仕様が公開されて(あるいは解析されて)V規格という高電圧の粗悪なサードパーティライトが接続された場合、例え異常な電流を流そうとしてもこの100kΩで内部のトランジスタを保護していると思われます。またカメラ内部が100kΩという高抵抗である事から、外部のタリーランプを制御するのはpnpトランジスタでは電流増幅率の観点から設計が難しいのでMOS-FETを使用します。
先日、秋月電子通商さんでたまたま購入していた「AO3401A」というpチャネル型MOS-FETが工具箱にあり、そのデータシートによるとゲート・ソース間電圧は1.5V以上あれば1A程度のドレイン電流が得られます。
ライトは100円ショップの「乾電池式枕元ライト」を改造して使いますので、電源は単四3本になります。
乾電池は新品で1.6V(合計4.8V)、死に際で1.0V(合計3.0V)なので、タリーランプOFF時のゲート・ソース間電位を固定しておくR1は100kΩであればカメラ内部との分圧比を考慮しても電池死に際までLEDを明るく点灯できるはずです。そして最も重要な事は、MOS-FETはゲート電流はほぼゼロと言うことです。したがってカメラ内部のトランジスタに流れる電流は最大でも「1.5Vx3本/100kΩ=45uA」と非常に微量なので安心です。
また、一般的なトランジスタのVceo(コレクタ・エミッタ間最大定格電圧)は20V~50Vなので、乾電池3本程度の電圧では耐圧破壊しないと確信しています。ちなみにLEDですが、昔々クルマのブレーキランプを自作していたものの余りで、以下のモノを使用しています。
そこそこハイパワーで、そこそこ照射角が広いので、スミズーンさんの用途にちょうどいいかと思います。
D1とD2合計で実測80mA程度でしたので、おそらく6時間程度は点灯できると思います。
たかTube氏解説文より
なお、他の方の工作依頼は受けかねます。との事ですので、たかTube氏への電子工作の依頼はご遠慮頂きます様お願いいたします。
どんな時に使いたいのか
まず使いたいシチュエーションは下記の動画を撮影した時の様な超望遠領域での撮影です。引きの絵だとランプの明かりが映ってしまう可能性があるので注意が必要ですが、いつ撮っているのかってのは遠方から確認できるというのは演者さんからも安心感があると思います。もちろん電話とかも併用してこの時は撮ってますけどね。
まとめ
業務で使われる人にとってタリーが外付けできるというのは、撮影現場では大きなメリットになると思い今回ブログの記事にさせて頂きました。
また、電子工作を快諾頂いた「たかTube氏」に深く感謝する次第です。同氏が最近アップされている、GH5Sの半押しレリーズボタン外付け動画で、触れている「発言自粛」と言われているのはまさに今回のタリー出力仕様の事。
SNSが無かったら今回の様な相談もできなかったわけでして、あらためてネットで有識者と繋がることの有効性を感じました。
まだ何か隠されている機能があるのではないのか?と疑ってしまうほど機能が多いS1Hですが、これからもウチのメインカメラとして使い倒していきたいと思います。
てかやべーですよ。この機種。。。
追記 2022.2.22
同様の事はGH6でも可能です。そのため下記の様なふざけたタリーを自作することも可能です。
筆者:SUMIZOON
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Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON をアップしている人
お陰様で登録者11000人到達しましたm(_ _)m