とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

GH6正式発表と実使用レビュー

さて、ついに正式発表になったGH6ですが、これについて書いてみたいと思います。すでにvookさんの方で記事を書かせて頂いたので、まずはそちらをご覧いただくのが良いかと思いますが、こちらではもう少しウチのブログらしく?ラフに書いてみます。(とは言え改めて読み返してみると難解だ。。。)

vook.vc

繰り返しになりますがvookさんに書いている内容と根幹は変わらないんですが、少し文章が堅苦しく書いちゃってるんで、いつも通りの感じでここでも書いておきたかったってのもあるんですよね。

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昨年のGH6開発発表時に望んでいた事

私がGH6に一番期待していたもの、それはクロップの無い、そして高解像度が落ちない4K120pでした。GH5やS1Hでも120pを撮影する事ができますが、それはFHD画質の話。ほとんどの映像が4Kで作っている私としてはなるべく4Kでハイフレームレートが撮りたかったのです。高解像度で美しいスロー映像が撮れるだけで映像表現の幅が広がりますし、クロップがなければ通常撮影との画角変化を気にする必要もありません。春の発表において4K120pの撮影はできる旨の発表はあったものの、クロップの有無に関しては言及されておらず、内心「4K120pは実はクロップなんじゃね?」と心配していたものでした。まぁ、結果は5.7Kからのオーバーサンプルによる4K120pを実現していて、私の心配は杞憂に終わるんですけどね。というか、これのヤバさは表向きのスペックからは読めないのでメーカーももっと宣伝すべき内容だと思うんですよねぇ。。

次に期待していたことはダイナミックレンジの向上でした。先の発表から画素数が増えていることは分かっていましたので、S/Nやダイナミックレンジの低下を心配してたのでした。こちらも見事に杞憂に終わりました。ダイナミックブーストをOFFしている時ですらGH5Sを超えるダイナミックレンジブーストをONすればそれはフルサイズカメラの領域に入ります。

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昨年春の発表資料より(この時はクロップの有無が全く不明だった)

動画作例

まずは作例。とにかく色々モードを試したいという事もあって、多くのレンズで通常の4Kに加えて5.7K ProRes/4K120p/FHD300p(VFR)とかで撮影しています。目玉機能のダイナミックレンジブーストも同様

www.youtube.com

素材を持って帰って家で見た時の感想は、「え?マジ?このレンジの画、この解像感の高フレームレートがついにマイクロフォーサーズで撮れる様になったか」と唸ったものです。レンジの感覚はフルサイズとなんら遜色なく、ブーストOFFの際にはフルサイズよりも低いISO250@V-Logが使えるので使いやすいし、ブーストしたときの破壊力はエグイし撮影した本人が惚れ惚れしていました。というか感動して正直、よくこんなもん作ってくれたと涙しそうになりました。GHファンの度が過ぎているかもしれん。。。

スペックから想像できない画力

代表的な動画フォーマットを列挙してみます。相変わらずのコーデックモンスターっぷりなのでALLL-Iとかも挙げるとキリがないので4パターンを列挙します。というか開発の中の人も全部記憶できてるんだろうかと余計な心配をしたくなります。

  • 4K120p 4:2:0 (H.265)  10bit Long GOP
    (Full画角/Pixel by Pixel画角設定可能)
  • 5.7K 60p/48p/30p/24p (H.265) 4:2:0 10bit LongGOP
    (ダイナミックレンジブースト可)
  • 4K 60p/48p/30p/24p 4:2:2 (H.264) 10bit LongGOP
    (ダイナミックレンジブースト可、Full画角/Pixel by Pixel画角設定可能)
  • 5.7K 30p/24p (Apple ProRes 422 無印 or HQ) 1.9Gbps 
    (ダイナミックレンジブースト可)

冒頭にも書いた通り、真っ先に書くべきは4K120pを含めて多くのフォーマットは5.7Kオーバーサンプリングによって実現されています。その解像感と広いダイナミックレンジから得られる次元はマイクロフォーサーズの限界を超えたものです。

やれ、8Kじゃないとか4K120pは他のフルサイズで実現されているとか噂サイトでの書き込みも散見されます。でも、それはスペックだけに着目した話で、実際に使う場合の感覚は大きく異なります。そもそも4K120pと書いた所でそりゃスペックは同じに見えるので当然の話。

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GH6 4K120pからの動画切り出し

一般的なフルサイズ8Kカメラで実現されている4K120pは画素混合で解像感を犠牲にしているはずです。というかフル画角全画素読みの場合は結局30pまでの実現だということがあまり理解されていないようです(Z9は外部収録で60pまでイケるとアナウンスされています)。またそれらはクロップをすることで混合無しの4K120pを実現する機種もありますが、当然画角変化を伴います。

GH6のハイフレームレートは解像度、画角にエクスキューズが付かないリアル4K解像度を実現できるカメラとして私が一番評価しているポイントです。というかクロップ無しの全画素読み出しでができる解像度としてパナソニックは2500万画素の画素数を選んだのではないかと言う気がしています。これに関しては後述します。

そして、ダイナミックレンジブーストこそ理解されにくいスペックですし、ハイライトロールオフの美しさについて書いた所で注目されにくい点です。

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5.7K ProRes422HQダイナミックレンジブーストON時の動画切り出し 

ですが、GH6で得られる画は、スペックからは判断できない圧倒的な美しさがあると感じます。

従来のGHシリーズと何が違うのか

まあ、書きたいことは山ほどあるわけですが、従来のGHシリーズとの変化点をいくつかピックアップして書いていきたいと思います。

空冷ファン搭載

GH5/GH5Sとの大きな違いでまず真っ先に気づくのが空冷ファンの搭載です、これは普段は全く無音ですので音声ガーという心配は無いです。おそらく真夏の炎天下だとファンがブン回る事があると思いますが、「熱停止させない」というGHシリーズのフィロソフィーがあらわれています。

https://panasonic.jp/dc/products/g_series/gh6/toughness_extensibility/img/gh6_toughness_extensibility_img01.jpg

https://panasonic.jp/dc/products/g_series/gh6/toughness_extensibility.html

ここは長期に渡って検証してみたいと思いますが、4K30pとかで使用する限りは過酷な環境でもファンは回らないのでは思います。

今ではいくつかのカメラが空冷ファンを搭載していますが、いずれも価格が高いシネマカメラにのみ搭載されているものです。20万円台のマイクロフォーサーズにコレを乗っけてくるとは正直思いませんでした。
ちなみにこんなファンを備えているのに防塵・防滴設計というスペックが驚くべきポイントです。確かにS1Hも同じだったけどどんな構造になっているのか興味が湧きます。

ダイナミックレンジブースト

GH6にはダイナミックレンジブーストをONさせるとハイライト側のレンジが拡張されるという機能が備わっています。これはスチルの高輝度階調優先機能などの現像処理時のガンマカーブを変えて撮るという手法とは根本的に異なっており、ハード的に低ゲイン、高ゲインを同時にキャプチャして画素レベルで合成するというものです。

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https://vook.vc/n/4153

実はこれに似た機能はZ CAM E2にも備わっていますが、Z CAMの場合は不自然なブラーが発生するため正直使い所を選ぶ必要がありました。さらにフレームレート低下も起こります。ピクセルレベルで見た場合、合成の対象となる2つの映像をキャプチャする時刻が異なるため動体撮影に向かないという問題点を抱えていました。

ところがGH6のダイナミックレンジブーストは5.7Kの60pまで使えて動体撮影でも不自然なブラーが一切発生しません。完全に同時に2つのゲインで映像を得た上で合成を成り立たせているものです。

ただし、この機能はLog撮影ではISO最低感度は2000となりますので日中の屋外撮影を行う場合はほぼNDフィルタを使うのが前提となるのでその点は注意が必要です(おそらく内部的には高ゲイン側のベース感度がISO2000なのだという理解)。

一方、高感度で撮るような夜間撮影ではむしろこの機能はデフォルトでONにした方がいいのでは?と思えるものです。

この手の機能はいわばオマケ機能的なものとして捕らわれがちですが、その考えは捨てた方が良いです。

ハイライトのダイナミックレンジは13+STOPとなりフルサイズ並みのレンジの広い撮像が可能です。このハイライト側の伸びはグレーディング素材として大きな武器と言えます。たかが1段されど1段。使える感度が1段上がったら大騒ぎするカメラ界隈ですがレンジが1段上がっても理解されないのがカメラ界隈。でも良く考えてみたら高感度耐性を要求する場面より高レンジを要求するシチュエーションの方が多いと思うのだけど、それは私の場合だけなんやろか。。

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夜な夜なダイナミックレンジ測定の成果
感覚では分かっていたけどこうやって可視化したかった

https://vook.vc/n/4153

V-Log LではなくV-Logである

ダイナミックレンジの広さは過去のマイクロフォーサーズを大きく超えるものですので従来のマイクロフォーサーズのV-Log L(Lは多分Lightと推測)ではなくシネマカメラVaricamで採用されているV-Logを名乗っています。

そして、V-Log撮影時の最低感度はISO250です。これは拡張感度ではなく常用感度です(ダイナミックレンジブースト時はISO2000)。ブーストOFFですらGH5Sよりもレンジは広く、それでいてISO250の低感度が使えるというのは非常にありがたい事です。特にISO250はツルッツルです。いやシルキーというべきだけど。

クロップの無い高解像度4K120p画質

vookさんの記事では明確に他機種に対する比較は避けましたが、この4K120pが他の多くのカメラと違う点です。先にも触れましたが、例えば各社高価格帯の8Kカメラが現在は3機種ありますが4K120pの撮影では2x2画素混合によるものなはずです。8Kからの2x2画素混合の場合は4K表示をフルで活かす解像度を得ることが難しいのです。

そもそもベイヤセンサで真の4K解像度を得るためには概ね水平/垂直ともに1.2倍以上の画素数が必要とされていますので8Kの画素混合や4Kセンサでの全画素読みでは4K表示パネルを活かしきれないのです。

私の知る限り4K記録でエクスキューズが無い4K120p撮影できるカメラは今のところEOS R3のみなはず。EOS R3が本当に全画素読みで120p撮影できているのかは機会があれば検証したいところですが、少なくともGH6の4K120pは解像感が高い4K120p映像が得られており間違いなく5.7Kからのダウンサンプリングであると考えています。そもそもEOS R3とGH6では価格帯が全然違うので比べるのも無理がありますが、少なくとも現段階に置いて最もコストパフォーマンスの高い高解像度4K120pを得られるカメラがGH6という認識です。

ずっと撮りたかったのに撮れなかった高解像4K120pの世界がここにはあります。なので今回の作例ではやたら4K120p映像が多いという。。。

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FHD300fpsが楽しすぎる

GH5Sの際にはクロップされるものの最大FHD240fps撮影が可能でしたが、GH6ではバリアブルフレームレート設定でクロップ無しの300fpsの撮影が可能となっています。30p映像を作るなら10%スロー、24p映像では8%スローを実現すること可能という事です。もちろんバリアブルフレームレートなので例えば240fpsにするとかの調整も可能です。

流石に4K撮影と比べると解像度低下は否めませんが、FHD鑑賞前提であれあ解像度が十分あります。GH4の時にバリアブルフレームレート(最大96fps)が搭載されましたが、それと比べて比較にならないほど鮮明で美しいものです。しかし技術って進歩するもんですねぇ。。

夜な夜なマーブルチョコレートをグラスに落として遊んでいたのは言うまでもありません。

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サムネイルにしたマーブルチョコ 300fps撮影
撮影してるおっさんの絵を想像頂ければ幸いです

バリアブルフレームレート(VFR

GHシリーズでは以前から搭載されていたバリアブルフレームレートですが、この機能についての有効性について触れておきます。一般的に日本で発売されているミラーレスカメラではNTSCが基準となっていますのでフレームレートは30p/60p/120pと30pがベースとなってその倍のフレームレートが撮影フォーマットとして扱われます。(正確には29.97p)
一方で、GH6に搭載されているバリアブルフレームレートはセンサー読み出しのフレームレートを任意に設定する事ができます。ただし、ある程度のステップ範囲ですのでVFRでは1fps単位での微調整まではできないのが少し残念な所。つまり4K120pだとフリッカーが出るので100pに近い設定で記録する事ができたら最高じゃんと思うのです。ここはパナソニックさん、是非100pドンピシャ設定できるようにしてほしいです。現状VFRはステップの関係上NTSC設定だと105pが一番100pに近い設定。

(後述しますが、実は100pで撮る方法はあります。これも他の多くのカメラでは出来ないハズ)

とは言えVFRを積んでいる民生機器なんてGHシリーズ以外見たことがない。相変わらずの変態っぷりです。
尚、VFRの設定では撮影中のAFは動作させることができません。これは以前のGH5/GH5Sでも同様ですが、GH6ではREC前のワンプッシュAFが可能となりました。

システム周波数変更

GH6では4K120p撮影が出来ますが、これは東日本での商用電源の50Hzと相性が悪く使用する照明によってはフリッカーが盛大に発生します。これを嫌ってPAL圏のミラーレスカメラを使用することで50p/100p撮影を行うコアなユーザーもいるほどです(あまりおすすめできる方法ではありませんが)。

GH6ではNTSC/PALのシステム周波数を変更することが可能です。

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NTSC→4K120p/60p/30p

PAL→4K100p/50p/25p

と言った感じになります。ただし、PAL圏周波数設定では30pでプロジェクトを作るのには不向きですのであくまでスロー撮影でフリッカー対策を行う緊急避難的使用に留めるのが良いかと思います。(PALのモードに入れるとベースが50Hzになるので30pなどの通常が出来ないなど色々不都合が発生する為です)

尚、システム周波数の変更後は本体の再起動が必要になりますのでご注意を。こちらもユーザー側でシステム周波数変更できる変態っぷりです。

4K60p 422 10bitはH.264で記録できる有り難み

LUMIX SシリーズやGH5M2では4K60pの10bit記録ができる様になりましたが、そのコーデックはH.265でした。一見すると圧縮率の高いH.265で記録できることは優位性が高いことの様に感じるかと思いますが、編集段階ではH.265データというのはPCの負荷が大きいのです。今回編集をしていて「4K60pがやたらサクサクだな」と思ってよくよくコーデックを調べたところ4K60pはH.264であることが分かりました。もちろん最高画質でH.265で撮ろうと思えば5.7K60p10bit撮影が使えますので状況に応じて使い分けを行えば良いと思います。

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4K60p 4:2:2 10bitのプロファイル

なにせ4K60p10bit撮影でもそこそこのPCであればプロキシを生成することなく楽に編集を始められるのが良い。一方で5.7KのH.265とかはプロキシを作らないと、ちと編集は厳しい。できる事ならSDカード側にプロキシ吐いてほしいです。

記録メディアはCFexpress x 1とSDカード x 1のダブルスロットに

GH6では高品質なApple ProRes422(HQ)コーデックでの記録もできるようになりましたが、そこで必須なメディアがCFexpressです。5.7Kの高解像度映像のデータレートは1.9Gbps(@5.7K Apple ProRes422HQ)で238MB/sの書き込み速度が求められます。このデータレートはSDカードのV90(最低書き込み保証90MB/s)では保証出来ない速度となりますので従来のGHシリーズからの変更は必須だったようです。

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CFexpressスロットの採用は各カメラメーカーの間で徐々に広がってきています。今は若干割高感がありますが、高データレートを使う場合は用意しましょう。

なお、私は以前も紹介した国内ブランド(製造は台湾)のSUNEAST CFexpressを使って撮影を行いました。

チルトフリーアングル液晶

機構的なことを書くと液晶画面がチルトフリーになりました。これはS1Hでもお馴染みのアレです。チルトとバリアングルを併せ持った機構で、液晶を横に開いた状態でもHDMIケーブルと干渉する事なく角度を自由に変更できます。

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ついでに書くとS1Hではチルトさせる場合には底面にあるロックを外す必要がありましたが、GH6ではそのロックスイッチが廃止されています。実際にS1Hの機構の場合は三脚に固定した場合に、ロックスイッチにアクセスできないと言う不便さがありましたのでロックスイッチが無くなったことはありがたいです。

GH5を凌駕するGH5S並の高感度耐性

5.7Kで撮影、後処理した映像はGH5/GH5Sで撮影した映像よりも高解像でレンジが広くGH5Sを凌駕するものです。ノイズに関してはピクセルレベルでの素のノイズ感はGH5Sに及ばないものの5.7K素材をノイズリダクションするとGH5Sよりも低ノイズに見える結果となるケースも多い様に感じました。当然GH5よりもノイズ感は圧倒的に良いです。

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そもそもGH6は画素数が多くディテールがしっかりしており、少々ノイズリダクション処理を行なったとしても細部が潰れるといった事が起きにくいのです。

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作例でも夜の撮影ではISO6400を多用していますが、ちょっとノイズリダクションをかければかなり綺麗に見えます。故にGH5Sに対して劣ると言う感覚はありません。

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そもそもGH6のノイズの出方はGH5の様なボタっとした大きめのノイズではなく、粒子の細かいものです。故にノイズリダクションと非常に相性が良くポスト処理においてディテールを保つ事ができる感じです。
ただし、ノイズを綺麗に除去するためには理想はProResでの撮影をする事です(上記作例は5.7K H.265だけど後でちょっと後悔)。というのも時間方向に圧縮が入るH.265の5.7Kだとノイズ情報も圧縮されてしまうので、夜でもスゲー綺麗に撮ろうと思ったら時間方向に圧縮が無い(ハズの)ProResコーデックでの撮影を行うのがベストかなと思います。ただねぇ、ProResだと5.7K60pが撮れないのが残念です。ファームアップでどうにか対応して頂けると最高だけど、カードの速度的に無理なんかも。。。

そのほか

いや、細かい事を書くといくらでも過去のGHシリーズとの違いがあります。

タリーランプの実装

前面タリーランプは当然のことながら、外付けタリーランプも使えます。これ以前S1H用に友人に作ってもらったものですが、これがそのまんまGH6でも使用可能でした。

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https://vook.vc/n/4153

ヘッドフォンジャックにRECの状態が区別できる信号を埋め込んでいるためにできる機能ですが、超マニアックなGH6の隠し機能です。

sumizoon.hatenablog.com

尚、友人のたかTube氏に作って頂いたタリーランプですが、他の方への工作依頼は受け付けておられないので依頼を出さないようにしてくださいね。

EVF/背面液晶の同時ON

これ、できる意味あるのか?と思いがちですが例えばカメラマンは演者さんなどに映像を見せながら構図をしっかり決めることが可能です。カメラマンはファインダーを覗き、演者さんはそれにケチをつける。と言う事が可能(笑)

まぁもちろんモニタの大きさが限られていますのである程度寄りの撮影に限られますけど。

Rec中の拡大表示/HDMI出力時のプレビューでの本体液晶同時表示

やっとできるようになった。多くの人がリクエスト出してた機能ですが、ついに実現!

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https://vook.vc/n/4153

ユーザーが自由に設定できるフォーカスリミッタの実装

これも事あるごとにメーカーさんにリクエストを出していた機能。ソフト的にピントが合う範囲をソフト的に制限することができます。っていうか空港撮影の場合飛行機に50mよりも近づいて撮影できることはほぼないので、50m以内のピント設定は不要です。なのでそこにはソフト的にピントを合わせない様に設定できます。部屋撮りYoutuberの人も事前に背景に抜けない様にピント範囲を設定すれば背景にピントが抜けると言う事がなくなります。

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https://vook.vc/n/4153

この機能を使う時にはギリギリのピント範囲を設定するのではなく、若干遊びを設けると挙動が安定することが分かっています。

なので、私は想定しているピント範囲よりも若干広めに設定するようにしています。

ちなみに夜の点光源撮影で最短時のボケをピントの山として認識してAFが使い物にならないという過去の挙動とはオサラバです。

そもそもこの機能を使わなくともGH6のAFはGH5の時よりも格段な進化をしておりコントラストAFながら高精度にピント合わせが可能となっています。さらに全エリアAFでは瞳認識の目の選択もジョイスティックで左右(縦構図の場合は上下)選択が可能となりましたので使い勝手も向上しています。

でもねぇ、ここは意見が別れるポイントかなと思います。楽にラフにピント合わせをカメラ側に任せたいと言う人は像面位相差の採用を望んでいたと思います。BMPCCの様にコンティニュアスAFが無いカメラでも全然問題ないカメラマンもいる中で全くフォーカスの事を気にせず撮りたいと言うカメラマンもいるはずです。

私自身はいくらここで結構使えるしこれで十分と書いたところでAFの使い方は人それぞれで文字通り千差万別なんですよね。

ここはコントラストAFの画質で勝負したいと言うLUMIXのフィロソフィーなのだと思います。

GH6はスチルでは爆速のAFですし、動画でも凄く安定した挙動を示すようになったとは言えまだ完璧とは言えません。ですが、ユーザーが設定すればピントの精度を大幅に向上させる事ができるというのがGH6です。尚、私はダイヤルの左にフォーカスリミッタON/OFF設定、右にフォーカスリミッタ距離設定を配置しています。

そもそもレスポンスが速くなった

従来のLUMIXではプレビュー(再生)時に動画を選択する画面においてダイヤルを回してもレスポンスが遅くてストレスだったと言う人は少なからず居ると思います。スチルだとサクサクなのに動画のサムネイル選択はかなり引っかかる感じでした。

CFexpressカードを使っているせいなのかもしれませんが、この部分はかなり解消されたと言えます。スチルのように瞬時に画面が切り替わると言うレベルにまでは達していませんが、これはかなりストレスが低減されます。

そのほかメニュー、操作系に関しては従来通りサックサクです。エンジンの処理性能が上がった影響が大きいのかもしれません。

GH6のデメリットと注意点

まず、GH5に比べて少し大きくなったという点が挙げられます。これは小型を望むユーザーにとっては悩ましい所でしょう。とは言え、冷却ファンまで搭載しておきながらこのサイズにパッケージングできたという見方もできます。

バッテリーの持ちはGH5を使ってきた感覚で言うとGH5よりも持たないと言えます。お世辞にもバッテリーが長持ちするとは言い難いものですので、長時間の撮影をするのであれば予備のバッテリーかモバイルバッテリーを用意した方が良いでしょう。

無くなった?いえ名前が変わったEXテレコン

実はEXテレコンというものがGH5にはありました。これは動画撮影時にクロップを行うというもので広くその名前が知られていました。ところがGH5M2からその名前は動画モードではPIXEL/PIXELに変更されています。

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5.7Kやアナモフィック撮影以外のモードでは「動画撮影範囲」という設定でFULLもしくはPIXEL/PIXELを選択することができます。このPIXEL/PIXELが従来で言う動画のEXテレコンとなります。正確な倍率計算が当たっているか分かりませんが、5.7K/3840≒1.5、5.7K/1920≒3なので

4K撮影なら概ね1.5倍クロップ

FHD撮影なら概ね3倍クロップ

で撮影することが可能です。

今後のファームアップ対応

正式にアナウンスされているファームウェアアップデートは

・ATOMOS NINJA V+へのC4K 120P動画RAWデータ出力

・C4KおよびFHDのアップルProRes 422/ProRes 422 HQ(発売時は5.7K 30P対応)

・USB SSD記録

が挙げられます。当然NINJA V+の対応となると収録コーデックはProResRAWとなりますが、.braw対応も併せて行われるのか否かについては気になるところです。ProRew422の対応拡大に関してはなんとか60pも対応して欲しい所ですが、書き込み速度の関係上難しいかも?と想像しています。

また、USB SSD記録はかなり魅力的ですが、これらがどのコーデックまで対応するのか、CFexpressとのデュアル書き込みもできるのかどうかも気になる所です。

まとめ

結局スペックだけに着目すると、GH6は案外大人しめの進化と捉えられがちですが、実際は堅実にまとめてきたカメラだという事がわかります。4K120pや5.7K撮影やProRes内部収録はかなりの進化だと思うケド。。

それのどれもが仕事で使うにしても、趣味の作品作りとしても実使用性の高いものです。ポスプロを含めて画質と編集の利便性が最大化するポイントを狙っているものと思います。

  • 熱で止まらない
  • 編集に優しいH.264を使った4K60p
  • 解像感、画角が変わらず扱える4K120p
  • ほぼ全てで10bit化された動画フォーマット
  • ポスプロの相性性が良いProRes422HQ/ProRes422で撮れる点
  • 使い勝手に極限まで配慮した外装、機能の追加作りこみ
    フォーカスリミッタ、カスタムダイヤル、撮影時拡大、液晶/EVF同時表示など多数

動画性能に対しスペックだけを捉えてフルサイズに真っ向勝負するのではなく、ユーザーが道具として使えるスペックに落とし込みフルサイズ並みの画質を追求したというものがGH6なのだと思います。

その風貌からマイクロフォーサーズなのに「でかい、重い」とか言われがちなGH6ですが、コレ、ぶっちゃけ民生価格で入手できる業務レベル機と捉えた方がいい様な気がします。趣味に割り切った道具ならきっとメーカーも冷却ファンなんかつけなかったでしょう。「スチルユーザーなのでファン不要」という方もいるでしょうけど、夏場にスチル撮影で止まるカメラもありますので、GHのプライドにかけていつ如何なる時でも撮影を続行させるという業務機思想の備わったボディという認識をした方が良いかもと思います。とはいえレンズを含めたシステムトータルで見ると結局軽い。

ボディの大きさよりトータルとして考えるべきと思うのです。

てなわけで、まずはウチのブログでのGH6の実レビュー一回目のエントリでした。今後更に気になる部分についても記載していきたいと思います。

GH6の予約キャンペーンに関して

GH6の正式発表と同時にアナウンスされたキャッシュバックキャンペーンですが、レンズキットで3万円、ボディ単体で2万円のキャッシュバックとなっています。更に予約特典としてCFexpressカード128GBがプレゼントされるようです。

特にGH6はメディアスロットがCFespress/SDの構成となっていますので、バックアップ記録を必須とする人にはCFexpressカードが必要です。SDカードは皆さんお持ちだと思いますが、CFexpressは私は二カ月前は持っていませんでした。で、このプレゼントされるカードの実売価格は1万7千円程度です。(大盤振る舞い過ぎて大丈夫か?と心配になる。。。)

https://panasonic.jp/dc/products/g_series/gh6/reserve_cashback/img/reserve_cashback_mv_pc.jpg

GH6 予約購入限定 キャッシュバックキャンペーン | DC-GH6 | Gシリーズ 一眼カメラ | 商品一覧 | デジタルカメラ LUMIX(ルミックス) | Panasonic

このリンクを見ると「本キャンペーンは、パナソニック家電製品正規取扱店からの
購入に限ります」と書いてますので下記リンクから購入先が「正規取扱店」か否かの確認をした方が良いと思います。

パナソニック家電製品正規取扱店 検索TOP - パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社 - Panasonic

ざっと見た限り、Amazon販売(Amazon.co.jpが販売・発送する商品)、やAmazonで店舗を構える「カメラ売ります買います屋」、「カメラ会館」も同リストに名前を連ねているので問題ないかと思いますが、購入先へ念のためキャッシュバック要件を満たしているかの問い合わせをお勧めします。

まぁ、ヨドバシ/ビック/Map/キタムラなどのカメラ専門店は全く問題ないでしょう。システムファイブも当然リストに挙がっています。

尚、大体ボディ単体で26万円中盤、レンズキットで34万程度の様です。

◆参考:System5 GH6購入リンク

・GH6 ボディ単体 ¥266,000

Panasonic DC-GH6 デジタル一眼カメラ LUMIX GH6(ボディ)shop.system5.jp

・GH6 レンズキット ¥340,000

Panasonic DC-GH6L デジタル一眼カメラ LUMIX GH6 標準レンズキット(12-60mm/F2.8-4.0レンズ付属)shop.system5.jp

 

 

筆者:SUMIZOON

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