とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

CP+2024 LUMIXブースワークショップの内容とフォローアップ④ 「ピン送り動画を簡単に撮影したい」

ちょっと時間が空いてしまいましたが、CP+2024 LUMIXブースワークショップのフォローアップの第4弾です。(いろいろ本業でバタバタしてしまっててなかなか続きが書けずすいません)

で今回は

ピン送りを簡単にしたい

というもの。よく映画とかで見るフォーカスが手前の被写体から奥の被写体にピントを移動させたりその逆にピントを移動させるあの動きです。

人物が2人で会話する場合なんかでもよく使われるカメラワークです。

このカメラワークはピン送り、フォーカス送り、ラックフォーカスとか色々呼び名があるという認識ですが、LUMIXの場合「フォーカストランジション」という機能名として実装されています。

定番のフォーカストランジションを使ったピン送り方法

本記事の目的はこのフォーカストランジションを使わずにより簡単な方法の説明をするものですが、まずはLUMIXに搭載されているフォーカストランジションについて機能説明をしたいと思います。尚、本題はコレではないので、一気に後半の「フォーカストランジションを使わない簡単なピン送り」まで読み進めてもらってもOKです。

この機能はLUMIX GH5に初めて搭載され、以降のGHシリーズ、LUMIX G9II、LUMIX S1H/S5II/S5IIXに搭載されているものです。(BGH1やBS1Hにも搭載されていると思います。他にも搭載されている機種があるかもしれません)

まず、フォーカスポイントを2点決めます。ここでは例として手前のレンズから奥のカメラへピントを送る場合を想定します。

まず、この機能を起動すると、それぞれPOS1/POS2/POS3の設定を指定する必要があります。それぞれポジション1,2,3の意味ですが、3つ全て指定する必要はありません。二点間の移動であればポジションを2つ指定すればOKです。ここでは

POS1を手前(前ピン)のレンズ

POS3を奥(後ピン)のカメラ

を被写体として例にとっていますので、まずはPOS1の指定からしてみたいと思います。(指定の順番は問いません。またPOS1が奥、POS3としても問題ありません)

気にするべきは自分の決めたピント位置を指定した後に何のボタンでポジションを指定するかです。

POS1はWBボタン、POS2はISOボタン、POS3は露出補正ボタンを押すことでカメラにポジションを記憶させることができます。

このボタンがどこにあるかですが、下記の通りになります。

左からWB/ISO/露出補正±ボタン

要は、ピントを合わせたあとにWB/ISO/露出補正±ボタンを押せばそれぞれのポジションをカメラにセットできるというものです。

ここではPOS2は設定せずに

・POS1を手前(前ピン)のレンズ

・POS3を奥(後ピン)のカメラ

としていますのでまずこれを設定します。

マニュアルフォーカスで設定する必要はない

ピントを合わせる作業に関してはフォーカスエリアをジョイステックもしくは背面ダイヤルで移動せます。この状態でAF-ONボタンを押します。

この機能はフォーカスリングを回してピントを合わせる必要があると勘違いされがちですが、フォーカスエリアを移動(必要に応じてピントエリアを拡大縮小)させてピントをAF-ONボタンで設定することができます。

意外とみんな使ってないけど、私はAF-ONボタンは一番押す回数が多いボタン

 AF-ONボタンでピントを手前に合わせた状態

この状態でWBのボタンを押すとPOS1がセットされます。同じ場に次は奥のカメラにピントを合わせて露出補正ボタンを押します。

これでセットは完了です。ちょっと分かりくい例ですがポジションを1,3を変更することによってフォーカスが移動します。

 

なお、フォーカスの速度も調整することも可能ですのでお好みに合わせて設定してみてください。

この状態で録画を開始しつつポジション1、3を液晶画面でタッチすれば何回でも同じピント位置を繰り返し移動することができます。

この記事の本題ではないので、説明はこれくらいにしておきますが、この機能は三脚固定撮影の場合に使用するケースが多いのですが、次の方法を使うようになってからは使用頻度が減りました。

フォーカストランジションを使わない!簡単なピン送り

さて本題、先ほどはフォーカストランジションを使ったピン送りの方法を説明しましたが、ご覧の様に、設定するまでは少し時間がかかるのがフォーカストランジションの難点です。もちろん、高精度に繰り返しピン送りをするのには素晴らしい機能なのですが、ラフに手軽にピン送りをしたいという場面は結構存在します。Run&Gunシューティングなど、ささっと撮って移動するような撮影ではいちいちフォーカストランジションの設定をして録画をする、というのが煩わしいのです。

ではどうするのかですが手っ取り早い方法があります。

この方法は手持ち撮影の場合において非常に有効な撮影方法なので覚えておくと何かと便利です。(その代わりフォーカストランジションの様に3点でひたすらピン送り動作を繰り返す様なことはできません)

先に書いておくとこの方法は若干の慣れと理解が必要ですが、そんなに難しいことはありません。またどうしても慣れないという方は最後に書いているタッチフォーカスを使った撮影手法を使うのも良いかと思います。

準備⓪

なお、いつもの様に動画撮影ではクリエイティブ動画モードでのダイヤル設定で撮影することが大前提となります。おそらくほとんどの方はこの状態で動画撮影されていると思いますが、この方法はレリーズ(シャッター)ボタンで撮影を開始することが前提なので、このモードじゃないと動作しないのではないかと思います。

📹MもしくはS&Qがクリエイティブ動画モードというやつです

準備①

・AFモードレバーはSもしくはCに設定
・AFモードは1点もしくは1点+補助に設定することを推奨
・AF連続動作はMODE2がおすすめ

まずAFレバーがMFになっているのであれば、SもしくはCに設定します。AFモードがフルエリアなどフォーカスモードになっている場合は、1点AFや1点プラス補助などのモードに設定します。

左AFレバー/右AFモード設定ボタン

1点+補助がおすすめ

AF連続動作はMODE1もしくはMODE2である必要がある
(REC前のリハーサルができるMODE2がおすすめ)

準備②

・ピン送りしが完了した構図を作る

・ピン送りが完了した後をイメージしてフォーカスポイントを設定

準備⓪①のあとは最終構図をイメージします。要はピン送りが完了した構図をイメージするわけです。ここでは先ほどと同じように手前のレンズから奥のカメラにピントを送る前提なのでこんな感じです。フォーカスポイントは最終狙いの場所になる位置に設定しておきます。

状態A

・この状態からカメラを振り構図を変えて手前のレンズにピントを合わせる

この際にフォーカスポイントを動かしてはいけません。また、この時にピント合わせは親指のポジションにあるAF-ONボタンを必ず使う様にします。

状態B

・AF-ONボタンを押したまま元の構図に戻す

一つ前の最終構図にAF-ONボタンを押したまま戻します。すると何が起きるかというと手前のレンズにピントがあったままになります。

AF-ONボタンを押したまま状態Aの構図に戻す

撮影

これで準備はOKです。

・シャッターボタンを押して撮影開始

・AF-ONボタンを離す

・シャッターボタンをもう一度押して撮影停止

の手順で撮影すれば、手前にピントがあった状態から奥にピントが送られる映像が撮れるというものです。

大した技ではないのですが、この撮り方をしている人は見たことが無いので、

すみずーんフォーカス

とでも名付けておきますかねw (かっこ悪っ。。。)
いや、普段からこの撮り方でバリバリ撮っているという方もおられるかもしれんけど。。。尚、LUMIXの像面位相差搭載機種ではAFの反応がすげー速いのでAFカスタム設定で速度を調整するのもありです。

まぁ素直にフォーカストランジションつかっておけと言われそうですが、この撮り方を覚えると簡単に映像にアクセントをつけることができるので技として覚えておいても良いかと思います。

尚、これYoutubeのショート動画として共有しておきます。

youtu.be

 

 

筆者:SUMIZOON

Facebookグループ一眼動画部主宰

Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
チャンネル登録して頂けると幸いです

 

f:id:sumizoon:20200713234902p:plain