GH6では高速センサーと処理エンジンの刷新で今までにない高解像度でのスロー撮影が可能となりました。
GH6は全画素読み出しによる解像感の非常に高い4K120p撮影が可能となっています。
スローが楽し過ぎて上記作例では使いすぎという位にスローを多用しています。
今回はGH6でのスロー撮影の方法について少し解説してみたいと思います。
スローの撮影方法は2種類ある
GH6のスロー撮影方法は2種類あります。
①4K120p/FHD240pのような通常撮影でハイフレームレートを撮る方法(通常ハイフレームレート)
②バリアブルフレームレートで撮る方法
の2種類です。
スロー撮影は例えば30p(秒間30pコマ)の動画を作る際に4倍のコマ数である120pで撮影すれば、25%スローの速度にしてもコマ落ちの無い滑らかなスローを実現できます。
上記の2つのいずれの方法でもスロー撮影ができますが、GH6では2つのモードの使いこなしで、やれる事が変わってくるので是非理解しておくと良いと思います。
尚、便宜上①を通常ハイフレームレートと表記して②のバリアブルフレームレートと区別します。
①手軽で制限の少ない通常ハイフレームレート
おそらく前者の通常ハイフレームレートが初心者の方でもとっつきやすいと思います。
音声も記録されますし、人体などの認識系AFが使えないものの通常AFが使用可能です。そもそも120コマでAFフレームを取得しているためAF自体が速く正確に動作します。
尚、ここでは60pを超えるものをハイフレームレートとして紹介します。
通常ハイフレームレートの設定方法
まず、記録ファイル方式(コンテナ)はMOVに設定します。その上で4K120pなりFHD240pを設定します。
実際に4K120pで撮影したプロパティを見てみると下記の様になります。
音声ありで120p(119.88fps)で記録されていることが分かります。
通常ハイフレームレートの特徴
・音声も併せて撮れる
・AFが使える
・編集時に速度を落とす作業が必要
・カメラ内での再生時はスローとして見えない(ヌルヌルには再生される)
となります。特に撮影中のAFが使えるので初心者の方にお勧めな方法ですが、スロー素材として使うには動画編集時にレートを落とす必要があります。つまり下記の様な感じです(DaVinciでの操作を例に取ります)。
120pで撮影された素材を30pにするなら25%(1/4スロー)にする必要があるのでクリップの速度を変更します。DaVinciでは速度を変更する方法がいくつかありますが、私はこれを使う事が多いです。
クリップを右クリックして速度を変更
この動画は30pで作っているため、30p/120p=25%の数字を入力
これだけです。
通常ハイフレームレートでの撮影は普段から4倍の情報量で撮影しておいて、後で必要なところだけを決め打ちでスローにするという撮影・編集方法に向くかなと思います。
例えばvlog(ビデオブログ)を撮影する際に全部4K120pで撮っておいてB-Roll場面だけ25%スローでエモい映像にしちゃおう!と言う事が可能です(ちょっと勿体ない使い方でビミョーな撮り方だけどこの需要はかなりあると思う)。
②撮影コマ数と記録フレームレートを独立して決められるバリアブルフレームレート(VFR)
手軽に撮るなら①の通常ハイフレームレートですが、高品質に撮るなら②のバリアブルフレームレート(以降VFR)を使いこなすべきだと思います。
撮影コマ数は例えば120fpsに設定して、記録フレームレートを30pにすれば25%(30/120)のスローとなるわけです。
VFRの設定方法
こちらも記録ファイル方式(コンテナ)はMOVに設定します。その上で記録モード(画質設定)を選択します。例えば下記では4K30pを選択していますが、着目すべきは「VFR可能」の表示です。
この表示がなければVFRは設定できませんが、GH6ではVFR記録できるモードがかなり増えました。当然10bitでの記録が可能となっています。
一旦メニューを上がって「バリアブルフレームレート:ON」にします。
ダイヤルで撮影コマ数(フレームレート120p)と記録フレームレートを30pに設定した状態。
スロー効果が25%となり、カメラ内の再生時においてもちゃんとスロー再生が可能です。
ちなみにFHD@VFR300fps、記録フレームレート30p撮影時の素材プロパティはこんな感じで通常の30p映像と同じですが映像自体は10倍のスローとなります。
尚、私は一旦設定したらカスタム設定のC4に保存していつでも簡単にVFR設定を呼び出せるようにしています。
VFRの特徴
・音声は記録されない
・撮影中の連続AFは使えない
なんだ、制限があるじゃないかと思われがちですが、そうでもありません。そもそもスローだと同時収録音声を使うことはほぼ無いので音声を撮る必要はあまりない。
また、そもそも連続AFは使えませんが、撮影開始前にシャッター半押しやワンプッシュAFが使えるので任意のポイントの所に手軽にピントを合わせる(AFを使った置きピン)ことが可能です。これはGH5/GH5Sでは出来なかった機能です。
VFRの利点としては下記のものがあります。
・通常ハイフレームレートでは設定できないFHD300fpsが設定ができる
・再生時にスローで確認できる
・スロー効果を自分で設定できる
なので、編集時に速度を変更する必要がありません。撮影コマ数も(調整幅があるものの)任意に出来る点も素晴らしいです。
ライブ配信中にVFRを使用した実演を少し試してみたので、ご興味ある方はこちらをご覧ください。次回もうすこしマトモに説明&実演できるようにしたいと思いますm(__)m
てなわけで、次回ライブ配信中にGH6を使ってスロー映えする何かを撮ってみたいとおもいますのでリクエストがあればTwitterに @sumizoon 宛にもツイートいただければと思います。テーブルでできる簡単な小物とかがベストなんですが、良いもが思いつかないんですよね。。。家の中だと🍺を注ぐとか、コインを落とすとかマッチを擦るとか、マーブルチョコを落とすとかしか思いつかない。。
パナソニックさんに是非実現してほしいと思う事
GH6のハイフレームレート、VFRは素晴らしく綺麗に撮れるので大満足ですが、更なる要望としてダメ元で書いてみます。
現状4K120pやFHD300fpsはクロップでも撮影できますが、逆に捉えるとクロップでもフレームレートは4Kでは120p、FHDでは300fpsが上限です。幕速や処理速度を考えると2.4:1やクロップの場合は更にフレームレートを上げることが原理上可能なのでは無いかと思うのです。
つまり縦に画素数を制限するシネスコ2.4:1であれば、16:9に対して実質16:6.66なので
120p x 16.666/9=162fps@4K
300p x 16.666/9=405fps@FHD
が実現可能なのでは?と思わんでもないのです。縦に画角を制限するが為にデータレートは
4K120p(16:9) ≒ 4K160p(2.4:1)
FHD300p(16:9) ≒ FHD400p(2.4:1)
センサがこんな駆動ができるかは分かりませんし、ビーナスエンジンが処理できるかは分からんのですが、特殊なフレームレート(VFR)を実現できるGHだからこそ実現してほしいと願っています。
というか、コレができたら神です(普段「神機能」とか書く事に躊躇する私ですが、間違いなく神機能)。
FHD300fpsも素晴らしいですが、今回改めて思ったのはフレームレートは高ければ高いほど新たな映像表現が広がるという事です。人間の目は時間方向の分解能には制限があります。動体視力が如何に優れる人であっても400fpsを捉えられる人は居ないはずです(現役のイチローとかだとイケたんやろか)。過去にRX100系で時間制限数秒のスロー撮影機能がありましたが、画質はとても満足できるものではありませんでした。今回のGH6のFHDは素晴らしい画質だし、そもそも400fps台のFHD動画とかインパクトが半端無いと思うのです(俺だけか?)。
新しいセンサーとエンジンでコレができる潜在能力があればやっちゃって欲しい。それこそヘンタイの極み
筆者:SUMIZOON
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
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