とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

DJIが9月に日本製ミラーレスカメラに対抗するような製品の発表を行う? という噂について

少し前にデジカメInfoに上がっていた噂について考えてみたいと思います。

digicame-info.com

元ネタはSONY Aplha Rumors(SAR)でこの記事です。

www.sonyalpharumors.com

生成AIによる画像

はじめに

まず、大前提として噂サイトは広告で収入を得ているのでPVが稼げる噂記事で注目を集める事に大きな意味があります。とは言え、噂がいつも外れだとそっぽを向かれるので信憑性にランクをつけていたりと各サイトいろんな工夫を凝らしているようです。とくにカメラや車、最近ではスマホなどは趣味性が高く、商品サイクルが短い工業製品ですので情報を共有するサイトは比較的収入を得やすのかもしれません。

今回のDJIの噂も単なるPV集めで、大した内容(噂)ではないのかもしれませんが仮に「DJIがミラーレスに対抗するカメラを作ったら」という内容で考えてみたいと思います。とはいえ火の無いところに煙は立たぬという言葉もある通り、DJIが近く「画期的な?」何らかの製品を出すことは間違いなのかもしれません。でもRonin 4Dの様な一般の使用用途とは異なる製品が出てもコンシューマー界隈は盛り上がらない訳でして。。。個人的にもRonin 4Dの様な製品じゃないものを望んでいます。

なお、参考までに過去に執筆したRonin 4Dの記事は下記になります。

jp.pronews.com

DJIが作るならミラーレスカメラと真っ向勝負する製品は出ないと思う

まず、いわゆる普通のミラーレスカメラをDJIが作るか?というと多分答えはNOだと思います。出すとしたら、商機(勝機)がある製品でしょう。
というのも、デジタル一眼カメラが市民権を得て、ミラーレスカメラに移行から久しいですが、いわゆるミラーレスカメラの形をした真正面から国内ミラーレスカメラと競合するような海外製品は登場していないからです。

生成AIによる画像

海外メーカーがミラーレスを作らないワケ

ではなぜ、CANONNIKONSONYLUMIXPENTAX、OMDS、FUJIFILMが作っている製品とそっくりなものを作らないのか?というと、ひとえに「儲からないから」ということができるかと思います。

過去にはSAMSUNGがミラーレス一眼を出してましたが、早々に撤退しました。それは日本のカメラメーカーには真っ向勝負しても勝てないという側面と、レンズ交換式カメラ市場はビジネスとして美味しくないからという両面からの判断だったという認識です。

そして、ミラーレスカメラはフィルムカメラの時代とは比べものにならないくらい電子化が進みとんでもなく高機能になっていて、開発コストが膨れ上がっているのが現状だと思います。たとえDJIだったとしても日本のメーカーにスチルメインのカメラで真っ向勝負で挑むというのはあまり無いかなと思うのです。

膨らむ開発・製造コスト

たとえばイメージセンサーは昔はCCDというほぼ画素と転送路だけが搭載されていたものが、CMOS化に伴い列A/Dコンバータや各種アナログ回路を搭載することになりました。そして、この数年では積層化に伴い更なる高機能化が図られている一方で製造・設計コストとはとんでもなく膨らんできています。にもかからわずラージサイズセンサーの出荷台数は言うほど伸びていない。

画像処理エンジンは、以前はスチルが秒間数枚撮れれば成り立っていたシステムも8K化や高フレームレート化に伴う高性能化が必須となっています。にもかかわらず各社専用の画像処理エンジンを独自開発して膨大なコストをかけながらも3年〜5年で画像処理エンジンを刷新する戦略をとっていると思います。

実はスチルをマニュアルフォーカスで撮影する分においては、今も昔もさほど違いがないのが一眼レフ、ミラーレス一眼の世界です。なのでスチル分野として出すにはものすごく特徴的な部分が無いと勝負にならないハズだと思います。

でも多分本当にレンズ交換式のDJIのカメラが出そう(しかもLマウントで?)

ここまでかなりDJIのレンズ交換式カメラの登場に対して否定的な内容で書いていますが、どうやら本当にレンズ交換式のDJIのカメラが出そうな雰囲気です。というのも、この投稿を見たから。

www.youtube.com

まぁ、焦点工房さんが何か情報を持っているのか否かはこの時点では不明です。50mm F2のLマウント版の再販は単なるLUMIX S9での需要が増えたからという見方もできます。ですが、深圳のTTArtisanが何かを掴んでいる可能性は大いにあります。

なお、TTArtisan 50mm F2は私が最も気に入っているマニュアルフォーカスレンズです。価格が1万円ちょいで、独特の描写と、中央の解像力の高さは値段からは想像できません。気になる方は買ってみても損はないです。

DJIが既存ミラーレス対抗機を出すとすると何らかの特徴があるハズ

スチル機として

普通に国内ミラーレスカメラメーカーと同様な製品を作っても、市場インパクトは少ないと思います。ですが、可能性があるとすると、スマーフォトンがそうであるように、真っ当なスチル機ではなく、AIとのコンビネーションを活かした製品であるなら可能性はあるのかもしれません。

ご存知のようにiPhoneをはじめとするスマートフォンのカメラのスチル画質の向上は目を見張るものがあります。

深度情報を使用したボケであったり、ユーザーからは意識させないような高速撮像スタック撮影からの低照度撮像(高感度撮影)などで高S/N(高ダイナミックレンジ)を達成しており非常によくできています。

それを写真と呼ぶのか否かは置いておいて、ぱっと見は一眼が不要と思わせるほどに最近のミラーレスカメラのスチル画質は進化しています。一方で、ミラーレスカメラの画質進化はぶっちゃけ2015年くらいからさほど進化していません。数年前にSONYが、「スマートフォンの画質は2024年には一眼カメラを超える」と予言した通りに正直なっていると思います。

で、国内各社はスチルとしての一眼カメラの残された道として、AFの強化、高速撮像、動画性能強化にシフトしているわけですが、正直それだと買い替え需要を喚起するほどには至らないわけです。結果、販売が見込めずに価格だけが上昇するするという悪循環を招きかねません。

DJIがスチル機として何かを発表するとすると、圧倒的にダイナミックレンジを拡張するギミックの様なものであったりするのではないかと思います。おそらく一発撮りの写真ではなく、新しいユーザー体験をもたらすスチルカメラ。繰り返しになりますが、それは従来写真とは言えないレベルの何かをもたらすのではないかと密かに期待しています。そんなものが出たとすると賛否が分かれそうですけどね。

具体的に書くと既存ミラーレスカメラのレンズを使いながら
・短秒スタックによる2〜4STOP拡張
・AIを使用したスタック処理(位置合わせ、ブレ補正)
・AIを使用したノイズリダクション
・AIを使用したハイレゾ
・ネットワーク連携によるSNSアップロード機能
Androidベース

まぁ、この予想はあくまでスマートフォンのカメラが歩んだ道を一眼が歩むというものでしか無いので予想が当たるとは限りません。大外しするかもです。後述するように擦りすらしないかもしれません。
そして、一眼のセンサーはスマホに比べて単機能であるので、上記と相性がいいセンサーがあるのかは不明ですしね(特にスタック処理)。

動画機として

さて、先のスチル機の予想よりもあり得るのが動画機としての進化です。ぶっちゃけDJIはスチル機としてカメラを進化させることに興味がない可能性があります。スチルよりも動画をシェアするという方向にSNSはシフトしています。それはこの数年特に顕著ですし、今後その流れは変わることはないでしょう。

となると、やはり今回のDJIの新製品は動画ユースをメインに考えた製品ではないかと思うのです。

DJIが動画カメラを作るとすると、OSMMO POCKETの様なジンバル技術を使った製品と、DJI Actionの様にソフト的なブレを回避する製品のふた通りが考えられますが、前者をラージセンサーカメラで作ると大型になってしまいます。

仮にDJIがAPS-C/フルサイズセンサーでレンズ交換式動画カメラを作るとすると、今までの国内メーカーに無い特徴のカメラになることが予想されますが正直内容に関してはあまり思いつかない。。。。

というのも、動画性能はかなりセンサーに依存しているので、スマホのスチルで行われているスタックやAIを活かした画質向上が2024年現在のテクノロジーではパフォーマンス不足と言えるからです。とは言えDJIが作るからには「あっ」と言わせる何かがあってもおかしくない。(何か思いつくことがあればコメントで教えてください)

 

冷静に考えると

DJIにはOSMMO POCKETやDJI Actionシリーズがあります。前者はジンバル一体型のカメラ、後者はGoPro競合のアクションカメラです。いずれも動画カメラとしての製品ですが、これらと単純にカニバる製品は出さないのではないと思うのです。だとするとラージセンサーでしか実現できない製品なのでしょう。

スモールセンサ+AIでは到達し得ない画質や特徴を持った製品が出ることに期待せずにはいられなのでした。

以上雑感でした。

 

 

自己紹介

筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人

2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。

 

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