LUMIX S5の発表・発売に際して、巷にはPanasonicはマイクロフォーサーズはどうなるのか?という憶測が流れていますが、私なりの意見を書いてみたいと思います。
尚、私はソッコーでLUMIX S5を予約した人ですが、マイクロフォーサーズシステムを手放す事はしていません。その理由に関しても含めて書いてみたいと思います。
揺るがないマイクロフォーサーズの利点
まず、フルサイズLUMIXに移行してもマイクロフォーサーズシステムを手放さない理由について書いてみたいと思います。
①システム全体のコンパクトさ
いくらLUMIX S5がコンパクトだからと言ってシステム全体がコンパクトとはならないわけです。まぁ、これは皆さんご承知の通りでしょう。特に後述する望遠撮影においては、例えばマイクロフォーサーズで200mmを付けるのとフルサイズ400mmを付けるのでは画角は同じでもその大きさは全く違います。
とは言え、LUMIX S5のキットレンズ20-60mm F3.5-5.6をマイクロフォーサーズに焼き直すと10-30mm F1.75-2.8なわけです。マイクロフォーサーズの10-25mmF1.7に似た特性の撮影ができるという。。。これだとS5に20-60mmの方がコンパクトなわけで、ま、システム全体のコンパクトさに関しては例外もありますわな。。。
②マイクロフォーサーズの高速性、省電力性
これはマイクロフォーサーズの優位性は未だ高いと言っていいでしょう。GH5Sが4K60pを実現したのが2017年春の事。一方フルサイズで4K60p以上に到達したミラーレスフルサイズカメラが登場したのは2020年の夏の事で、遅れる事3年半近くとなります。つまり、高速性に関しては数年先を行くレベルであると言えます。2020年でこそEOS R5/6、α7SIIIは4K120pに到達しましたが、次世代のマイクロフォーサーズは同等もしくは同等以上の高速性を実現すると信じています。
現にZ CAM E2-M4(マイクロフォーサーズマウントシネマカメラ)では16:9画角では4K120pを2:35:1の画角なら160pを実現しています。
ちょっと前に撮影した作例を載せてます。↓
フルサイズの高フレームレートの実現が難しい要因の一つが発熱による放熱設計が難しいためと考えられます。EOS R5の発熱問題が炎上して間もないですが、マイクロフォーサーズの場合はそういった問題を聞いたことがありません。じゃあα7SIIIは?というと恐らく12Mの画素数に抑えている事が最大のポイントであり、それが発熱対策に功を奏していると考えられます。そう考えると3年半も前にGH5が20Mという画素数で4K60pを無制限記録を実現しているマイクロフォーサーズの利点が見えてくると思います。(フォーサーズ云々よりもPanasonicが熱設計に命を懸けているっていうのがデカいのかもしれんけどね)
③絞り2段分の優位性
よくマイクロフォーサーズの被写界深度はフルサイズを2段絞った状態に匹敵するとされています。つまり画角を揃えた場合にボケ量に関しては
25mmF1.4(マイクロフォーサーズ)≒50mmF2.8(フルサイズ)
となることを指しています。逆の見方をすると被写界深度を深く撮影したいケースにおいては
25mmF1.4(マイクロフォーサーズ)がISO800
で最適な露出だった場合、フルサイズで同じ被写界深度を得ようとすると
50mmF2.8(フルサイズ)ではISO3200が最適露出
となります。これ、つまりはマイクロフォーサーズに対してフルサイズが2段分以上高感度特性が上回っていないとフルサイズではマイクロフォーサーズを高感度画質で上回れない事を指しています。
ところがGH5Sの高感度特性は非常に高いためフルサイズとの高感度耐性の比較をすると最新のフルサイズ機に比べても2段の違いは無いと言えます。α7SIIIだとこの関係が破られる可能性がありますが、当該カメラ以外のフルサイズミラーレスに関しては基本的にこの関係が今でも成り立っていると思います。。
これに関しては以前からちょいちょい記事を書いていますのでそちらを参考にして頂ければよいと思います。
※予め書いておきますが、この優位性に関しては動画撮影に限ったものとして捉えてください。
よって最新の一般的なフルサイズ機と比較した場合でも下記が当てはまります。
「200mmF2.8+GH5S」>「400mmF5.6のレンズを付けたフルサイズ機」
④クロップファクター2倍の優位性
さらに、訳のわからん遊び(本人は真剣だけど)としてGH5Sにヨンニッパ+レデューサレンズで1段明るくして換算560mmF2.0で撮影するなんていう芸当もフォーサーズならでは、です。仮にこれをフルサイズで同等の撮影をしようとすると600mm F4が必要になります。(それでもGH5Sの方に分があると思います。)
エグい画質!?夜間最強GH5Sにヨンニッパとレデューサ付けたらどんな映像が撮れるのか
望遠撮影が楽なのはご承知の通りだと思いますが、だからといって広角に弱いかというとそれも違います。7mm(換算14mm)域の優秀なレンズもありますし広角側にも強いのがマイクロフォーサーズと言えます。
OLYMPUS 超広角ズームレンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO マイクロフォーサーズ用 EZ-M0714PRO BLK
- 発売日: 2015/06/26
- メディア: エレクトロニクス
じゃあ、なぜS5を買うのか
じゃあ、あんたS1HとかS5とか不要やん!と言われる方もいらっしゃるかと思います。そもそも、映像撮る際してマイクロフォーサーズとフルサイズの2システム体制というのは割と使い分けるにはちょうどいいシステムだからです。なので、2つを使う事でいろいろ撮影の幅は広がります。そして、この2システム体制はフルサイズ&APS-Cの二台体制とはちょっと意味合いが異なります。
フルサイズ+APS-Cシステムの場合は私は古くはCANON EOS5DとEOS50D、ソニーα7Sとα6300という様に使ってきた過去があります。そしてそれはあくまでフルサイズのサブ機としての使用方法でした。ただ、このケースとは若干異なり、Lマウントフルサイズとマイクフォローサーズに関してはレンズの互換性はありません。じゃあ、何の意味もないやんと言われるかと思いますが、フルサイズ/APS-Cとフルサイズ/マイクロフォーサーズではクロップファクターの差が後者の方が大きく得意分野が顕著に分かれます。
つまり、使い分けるのに明確な理由が持てるという事になります。いつも2つのシステムのレンズを持ち歩くわけにはいきませんが、撮影の目的によってLマウントにするかマイクロフォーサーズにするかというのを明確に区別しやすいというメリットがあります。
ただねぇ、フランジバックがほとんど同じなので無理と分かってるけど、Lマウントのレンズをマイクロフォーサーズでも使いたい時があるんよね。。。(逆もしかり。。)
MFTよりもボケが欲しい場面がある
なぜ、S5を買うのか?と言われたら「男のロマンです。」と言いたいところですが、ちょっと冷静に考えているつもりです。まずボケが欲しい場合はフルサイズがボケを作りやすいのは確かな所です。なので明るいレンズを使ってマイクロフォーサーズでは出しにくいボケをつかった表現というのはフルサイズを使いたいと言うところが本音です。
NOKTONのF0.95シリーズであればフルサイズの大口径単焦点並みのボケを実現できますが、開放はやや甘くMFが必須となってしまいます。そしてそうやって頑張ってもフルサイズでF1.8を使った方が2段近い画質のアドバンテージを持つことになります。
また、S Pro50mmF1.4では開放から使える非常のボケの綺麗なレンズです。これを使いたいというのが一つです。
これから発売される単焦点シリーズが気になる
シルエットが同じで、少なくとも動画を撮る際のフォーカスギアやジンバルの運用が非常に楽になるはずです。
単純にこれらを使いたいというのがあります。
被写界深度を気にしない(もしくは浅く撮りたい)場合はMFTに対して2段の違いがあるから
これは先の述べたMFTのメリットを逆に捉えたものです。
25mmF1.4(MFT)で撮った場合と50mmF1.4(フルサイズ)で撮った場合フルサイズは2段分ボケが大きく、ノイズ感も2段分違う事になります。
結局何をどう撮るかでマイクロフォーサーズなのかフルサイズなのかというのが変わってくるという事です。
GH5Sだとスチルにはちと厳しい
GH5Sは動画画質においてはマイクロフォーサーズの一つの完成形だと思います(手振れ補正入れてくれと言う話はよく聞きますけど)。
そもそもGH5Sの12MPという画素数は画素ノイズが少なく電力も抑えられることから、4K動画撮影に関しては非常に良い画素数だと思います。ですが、これがスチルも併せて撮るためのハイブリッドカメラとして考えた場合はどうでしょうか?今どきのカメラの20Mオーバー機に比べるとスチルの解像度としては少し見劣りします。感度も重要ですが、写真はなんだかんだ解像度が欲しいというのが正直な所。α7SIIIもそうですがそういう意味ではスチル機としての使い道を想定している人も少ないのではないかと思います。
とまぁ、ここまで書いたところでちょっと本筋からズレてしまってきているので、フルサイズのメリットに関してはまた別途書きたいと思います。
GH6は出るのか?
思えばGH5が発売されてから既に3年半が経っていますが、後継機にかんしてはちょいちょいスペックの噂がでるものの信ぴょう性が疑われるものばかりです。個人的にはGH6に関しては出ると信じていますし、早く出てほしいと願っています。むしろYoutube配信の高まりと多くの配信者のフルサイズ移行を考えるとマイクロフォーサーズのチャンスは再び訪れると思っています。
そもそもフルサイズにはフルサイズの良さ、マイクロフォーサーズにはマイクロフォーサーズの良さがあります。これは放送用のカメラと制作用のカメラの位置づけによく似ていると思いますが、放送用のカメラは2/3インチ、それに対して制作用のカメラはSuper35mmが一般です。放送用のカメラは浅い被写界深度をそれほど必要としないのでこれからも2/3が主流でしょうし、制作用カメラもこの先もSuper35mmが主流でしょう。
特にYoutubeなどの商品レビューや自撮りに関しては今でこそフルサイズを使いたいという人が多くなっていますが、やがて多くの配信者の多くはボケがそこまで必要ないと気づくと思います。
また、記念撮影や記録撮影でボケはそこまで必要ないはずですし、なんでもかんでもシネマティック〇〇的に撮るのもアレでしょう。。。シネマティック運動会とかシネマティック演劇とかシネマティック機材レビューとかシネマティックやってみた動画とか要ります??
もちろん演出上ボケを多用する映像にニーズがあるのは間違いないですが、むしろボケを排除したいニーズがあるのも事実です。
マイクロフォーサーズは必要があれば、明るいレンズを付ければボケを多用した撮り方も可能、標準的なズームを使えばボケを排除して撮ることもできる非常のバランスの取れたフォーマットであり、動画全盛の時代に非常にマッチしたセンササイズだと個人的には思います。そして、そのようなマイクロフォーサーズのメリットをメーカーも信じているはずです。熱に強く、高速性に富んでいるというのも一つです。
動画需要が高まるにつれマイクロフォーサーズの利便性、優位性が再認識されるといいなと思う今日この頃です。
確かにLUMIX S5は素晴らしい撮影機材となるのは疑いの余地はありませんが、一方でマイクロフォーサーズのこれからも驚きの進化を期待せずにいられません。
筆者:SUMIZOON
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