カメラを長い事やっていると勘違いに出くわします。私もその昔、勘違いしてたものも含めて記載したいと思います。メモした順番で紹介します。
以前書こうとしていて途中まで書いていたのを武川さんの動画を見てて、思い出しました。
武川さんと被ってる内容もあります。そして勝手に動画貼ってすんません。武川さん今度会ったら何か奢らせて頂きますm(__)m
- 被写体深度と言ってしまう
- 色温度は低いほど青く、高いほどオレンジと思っている
- マイクロフォーサーズはセンサが小さいからボケないと思っている
- 望遠レンズでしか圧縮効果は得られないと思っている
- 絞り「解放」と書いてしまう
- 10bit撮影はYoutubeが8ビット階調なので意味がないと思っている
- マイクロフォーサーズはセンサが小さいから画質が不利である勘違い
- 10bitフォーマットはダイナミックレンジが広がると思っている
- ISO感度は高いほどノイジーだと思っている
- ミラーレスカメラの事を一眼レフと言ってしまう
- ミラーレス機のシャッター音はスピーカーから出ていると思っている
- カメラのWi-Fi機能はスマホと接続させるための機能だ
- MBとMbitを混同してしまう
- SDカードに書かれているWrite:50MB/sと書いていれば400Mbpsの書き込みができる
- 動画はシャッタースピードは速めに変更できないはずだ
- 動画はシャッタースピードはとにかく速く設定してしまう
- ローリングシャッターはシャッター速度と関係がある
- 東日本ではシャッター速度は1/50、西日本1/60設定しておけばフリッカーは出ない?
- フリッカーが出てしまったら修正が不可能だ?
- Logの10bit RAWの12bitのビットの意味合いは同じ?
- DaVinci ResolveをDaVinch Resolveと書いてしまう
- DaVinci Resolveをダビンチディゾルブだと思っている
- DaVinci Resolve無償版はかなりの機能制限をされている
- ALL-IコーデックはPCに負担がかかる
- 4K編集は高価なPCが必要だ
- APUTUREをAPERTUREだと間違えた
- ここからは私の疑問です。だれか教えてください
被写体深度と言ってしまう
まぁあるあるですね。「被写界深度(ひしゃかいしんど)」
メーカーの方の口から「ひしゃたいしんど」という言葉を聞いたことがありますが、世間一般的には間違いとして認識されているはずです。
ひしゃかい しんど 【被写界深度】
ある一点に焦点を合わせたとき,その前後の一定範囲内ではピントの合った像が得られるが,この範囲内の,近点と遠点との距離のこと。同一条件下では絞りを小さくするほど深くなる。被写体深度。
とあるので完全な間違いでは無いのですが、間違えていると思われるのが嫌な人は被写界深度で使うのが良いでしょう。ひしゃたいしんどと言うと、「ああ、この人間違えているな...」と100%思われるでしょう。
色温度は低いほど青く、高いほどオレンジと思っている
色温度は低いほどオレンジ、高いほど青い。小学校で学んだガスバーナーの炎の温度と同じです。
これはカメラの設定のせいで勘違いされていることが多いです。色温度が低い(青い)環境ではカメラ側で高い色温度設定をするとモニタにはオレンジ色になります。低くする(青よりになる設定)ことで正しいホワイトバランスになりますが、このカメラの設定の挙動から勘違いを生んでいる様です。
マイクロフォーサーズはセンサが小さいからボケないと思っている
間接的には正解だと思いますが、フォーサーズの画角は実際はフルサイズで撮ったものをフォーサーズサイズにトリミングしたものと等価になります。でもボケ量は同じですよね。
違うのは画角であり、画角をそろえるためには被写体との距離を撮る必要があります。距離をとるとボケは小さくなります。これについて書き出すと長くなるので、機会があったらまた書きますが、同じF値で画角をそろえた場合のフルサイズとフォーサーズのボケ量の違いは概ね2段分となります。なのでフォクトレンダーノクトンとかの明るいレンズを使うと十分なボケが得られます。人物撮影での個人的なお勧めはLEICA 42.5mm F1.2のノクチクロン。
【LUT公開あり】Happy 4/3's Day! with NOCTICRON 42.5mm/F1.2
望遠レンズでしか圧縮効果は得られないと思っている
標準レンズでもトリミングすれば同じです。なので、望遠レンズだから圧縮効果が表れるという表現はちょっと違います。正確には圧縮効果が表れる領域が大きい。標準レンズではその領域が小さい。という事が言えるかと思います。下記写真は中央部だけを見たら同じ画角ですよね。
https://news.livedoor.com/article/detail/18257760/
望遠の場合は標準や広角では周辺が写らないので圧縮効果が強調されるだけです。
絞り「解放」と書いてしまう
開放です。でも今まで書いてこなかったか、自信はない。。。
10bit撮影はYoutubeが8ビット階調なので意味がないと思っている
そもそもグレーディングをする段階で10bitに意味があります。10bitグレーディングした映像は8bit出力でバンディングが発生しにくく、完パケが8bitでも意味があることです。
マイクロフォーサーズはセンサが小さいから画質が不利である勘違い
確かにフルサイズに比べるとスチルの場合は不利だと思います。が、動画の場合状況はかなり変わります。とくに2020年6月時点で高画素(多画素)フルサイズ機ではフル画角で全画素をピクセル単位で読み出しが出来る民生機種が無く、画素混合(ピクセルビニング)もしくは間引き(ラインスキップ)で読み出しで動画を撮ることになります。
一方GH5Sの様な画素数を抑え画素ピッチを抑え、動画撮影に特化した機種が存在します。GH5Sの場合は大概のフルサイズ機種の画質を凌駕してしまいます。
下の映像を撮るために初めてGH5Sで撮った時の衝撃は、今でも忘れられません。
GH5S First Look (TEST Shoot Vol.1) #GH5S
10bitフォーマットはダイナミックレンジが広がると思っている
同じカメラで8/10bitデータを比べた場合、改善するのは階調性であって、ダイナミックレンジは広がりません。もしかするとレンジぎりぎりの領域でS/Nが改善されてレンジが広がって見える可能性もあるかもしれませんが。10bit撮影では8bitに比べてデータの「目」が細かくなるというイメージになります。グラデーションがより綺麗になるという効果です。
ISO感度は高いほどノイジーだと思っている
数年前までは、この認識は正しかったのですが、一部これがあてはまらない機種があります。
例えばS1HなどのデュアルネイティブISOを搭載したカメラではISO3200よりもISO4000の方がノイズが少ないです。まぁレアケースだけどGH5SやBMPCC4Kも感度によってはこの逆転現象が起きます。
ミラーレスカメラの事を一眼レフと言ってしまう
ミラーレスカメラはノンレフ機であり「一眼レフカメラ」ではありません。ミラーレス一眼カメラ、ミラーレスカメラという言い方が正しいとされます。
NIKONであればDシリーズ、PENTAXであればKシリーズ、キャノンEOS 5Dなどの(xDシリーズ)などはミラー&ペンタプリズムを搭載した「一眼レフ」です。
そう定義するとα99とかのトランスルーセントカメラはどうなのよ?となりますが。あれも一応レフ機の一形態という認識です。
https://cweb.canon.jp/eos/lineup/
あえて皆さん突っ込まないと思いますが、プロを名乗っている方が「ミラーレスカメラ」を「一眼レフカメラ」を言ってしまうケースもよく見ます。一般の方が「ミラーレス」を「一眼レフ」と言うのはよくある事だと思いますが、写真や映像を生業にしている方がこれを言うと恥をかきますのでご注意を。
ミラーレス機のシャッター音はスピーカーから出ていると思っている
基本的にミラーレス機のシャッター音はメカシャッターが動作する際に発生する、れっきとした「機械音」です。なのでスマホの様にスピーカーからわざわざシャッター音を出しているわけではありません。
ただし、電子シャッターが使える機種の場合、シャッター音をスピーカーから発生させる機種もあります。
カメラのWi-Fi機能はスマホと接続させるための機能だ
たしかにスマホと接続するのは機能の一つですが、PCとつなぐとめっちゃ便利になります。自宅でのスチル撮影が多い方は是非PC接続を試すといいかと思います。
MBとMbitを混同してしまう
8Mbit=1MB(MByte)です。ビットとバイトの単位を間違えないようにしましょう。
400Mbps(400Mbit/sec)のビットレートの記録は50MByte/secなので、理論的には50MB/sの最低速度が保証されているカードであれば記録が可能です。
SDカードに書かれているWrite:50MB/sと書いていれば400Mbpsの書き込みができる
ややこしいですが、SDカードにこの様に書かれている表示は最低速度保証の値ではありません。最大速度になります。動画の場合は最大速度がいくら速くても、記録最中に書き込み速度が低下すると記録事故に繋がりますので注意が必要です。いくらカードに4K対応とか書いていても、ALL-I(400Mbps)を想定しているはずはないので注意しましょう。
カードを選ぶ一つの目安はビデオスピードクラスです。V30の表記がある場合は最低書き込み速度30MB/sが保証されています。V90の場合は90MB/sとなりますので720Mbpsのビットレートの記録に耐えうると言えます。(相性もありますので完璧とは言えないですが。。)
動画はシャッタースピードは速めに変更できないはずだ
どうもフレームレートとシャッター速度がイコールと考えておられる方が多いのですが、変更可能です。ほぼすべてのカメラではメカシャッターよりも自由度が高い設定が可能です。30p映像を記録する際のシャッター速度は1/4000だろうが1/16000だろうが設定は可能です。機種にもよりますけどメカシャッターよりも設定速度が速いのが電子シャッターです。(その代わり幕速はメカシャッターよりも遅いです)
動画から写真を切り出す前提の場合はシャッター速度を少し速めにするとよいです。(被写体にもよりますが)
動画はシャッタースピードはとにかく速く設定してしまう
動画のセオリーはフレームレートの倍の逆数つまり30p撮影であればSS=1/60で撮影する事が自然な動きを表現できます。
一枚一枚のコマはブレていますが、連続で動く動画の場合はこのブレ(ブラー)が無いと逆に不自然な映像になってしまいます。意図的にシャッター速度を上げる場合は別として、このセオリーを守る方が無難です。
興味が有る方は「モーションブラー」でググってください。
ローリングシャッターはシャッター速度と関係がある
ローリングシャッター現象とはセンサーの上から下までの走査にかかる時間差から生じます。この速度はシャッター速度に関係がないので答えとしては「無関係」ではあります。
が、例えば飛行機のプロペラなどの表現はローリングシャッターを見えにくくさせる効果があります。
https://youtu.be/clg2H97_l4k?t=102
一方で、プロペラが止まるほどのシャッター速度で撮影するとモロにローリングシャッター現象と分かる画像が撮れます。
他の方の映像を引用させて頂きましたが、下記の映像はシャッター速度が高すぎることによりローリングシャッター現象が強調された映像になります。
キヤノン EOS Kiss M のローリングシャッター現象
東日本ではシャッター速度は1/50、西日本1/60設定しておけばフリッカーは出ない?
商用電源周波数の関係で、ほとんどの場合はこの設定でよいですが、LEDの発光周波数は商用周波数で点滅していないケースが多くセオリー通りの設定をしてもシャッター速度の設定だけではフリッカーが消せない事があります。
フリッカーが出てしまったら修正が不可能だ?
若干手間ですが、結構どうにかなります。大昔に紹介した下記動画を参考にどうぞ。
状況にもよりますが、効果は絶大です。高いプラグインを買うよりも早く簡単です。
Logの10bit RAWの12bitのビットの意味合いは同じ?
Logの場合は特定のガンマカーブを前提に10bitで記録されます。
バイナリ00_0000_1111 (10進表現で15)と00_1001_0110(10進表現で150)はコード的には10倍の違いですが、明るさの割り振りはメーカー毎に設定されたガンマカーブで規定されます。なのでこの場合は10倍の明るさにはなりません。
ところが多くのRAW(特にスチルRAW)の場合はリニア記録なので1bitの意味合いが違います。バイナリ00_0000_1111 (10進表現で15)と00_1001_0110(10進表現で150)は輝度的にも10倍の違いとなります。
※厳密にはオフセット値があるので正確ではないですが、イメージとして捉えてください。
Logガンマの特性は以前書いた下記記事を参考にしてください。
この件に関しては多くの意見を頂きました。過去にRAWデータ解析をした自身の所有カメラではリニア記録だったため、私はRAW記録=リニア記録として捉えておりました。ですが、ARRIRAWなどのRAWではノンリニアで記録されているケースがある様です。各社のホワイトペーパーを漁る余裕があればまとめてみたいと思います。最後に書いている疑問にも関係します。コメントを頂きました方々にお礼を申し上げます。
DaVinci ResolveをDaVinch Resolveと書いてしまう
結構ネットを見ていても、DaVinchと書いている方が多いようです。以外とこの手の間違いは誰も指摘しないのでそのままになるケースが多いです。
DaVinci Resolveをダビンチディゾルブだと思っている
クロスディゾルブと混同しない様に。。。
DaVinci Resolve無償版はかなりの機能制限をされている
普通の人が扱ううえで制限になるのは10bitファイルが扱えない、ノイズリダクションが使えない、などありますが、ほとんどの機能は無償版で使用ができます。手振れ補正とかも当然使えますし、以前は扱えなかった4K書き出しもちゃんとできます。
ALL-IコーデックはPCに負担がかかる
逆です。時間方向の圧縮が無い分、デコードの処理が軽いです。その代わりファイルサイズが大きいです。メディアコストがかかるという風に考えた方がよいです。
4K編集は高価なPCが必要だ
異論があるかもしれませんが、この必要はないです。安価なPCでも大丈夫です。その際に必要なものは、時間と忍耐。。。。
ちなみに私のGH4での初っ端の4K映像はMacMini2012しかも2.5GHzデュアルコアIntel Core i5の方で編集、カラーグレーディングをしています。当時私はGH4での4K映像の多くはこのMacMini2012で作っていました。メモリは16GB入れてましたが、DaVinciですらこれで動作させていました。
[4K] - Beautiful Japan - Uninhabited island Tomogashima (Panasonic LUMIX DMC-GH4 TEST Movie with 4K)
プロキシを使って編集して、書き出しは寝てる間にするというのが我慢できればそんなに高価なマシンは必要は無いです。とは言え、今となってはハイスペックなマシンを使っている私ではあるのですが。。。
遅いマシンを使う方は、速いマシンに触れない事が大事です。いったんそのパフォーマンスを知ると後戻りできなくなります。
APUTUREをAPERTUREだと間違えた
すんません、私です。初めてそのメーカーの名前を目にした時に、アパーチャー?絞り?と思いました。えらそーな事を書きましたが、私はそんな勘違い人間です。
ここからは私の疑問です。だれか教えてください
12bitのRAWでは14STOPを表現できない?
前述の様にRAWは基本的に輝度をリニアに記録するため14STOP(84dB)のダイナミックレンジ表現は出来ないという認識です。輝度をリニアで記録される限り12Bitで表現できるSTOP数は12STOP止まりとなるはずだと考えています。
SIGMA fpのDNG12bitのレンジが狭いのはこのフォーマットによるものもあるのかなと思っていましたが、BRAWやProResRAWの12Bitは12STOP以上を出せている印象があります。
よって場合によってはリニア12BitRAWよりも、明るいほど階調間引く10BitLogの方が広いダイナミックレンジを表現できる可能性がある。という事になってしまいます。
これに関して、どなたか解説頂ける方がおられましたら教えてください。
→この件に関して、コメント頂きました1-300さん、おささん、Tomoさん、Yuga Kuritaさんありがとうございました。やはり、ARRIRAWをはじめとしてRAW全てがリニアで記録されているというものではなさそうです。以前EOSのRAWをDCRAW+PGM出力でディベイヤ前のデータ解析したときにリニアである印象を受けたため、ほぼ全てのRAWがリニア記録されているものだと勘違いしておりました。
この件、少し整理して別途記事にしたいなと思っております。
そして知らないと恥をかく?
というのは私自身の事であると改めて感じた次第です^^;
筆者:SUMIZOON
お陰様で登録者1500人突破
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON をアップしている人
お陰様で登録者11000人到達しましたm(_ _)m