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ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. という便利なレンズ

今年の秋くらいから一本のマイクロフォーサーズのレンズを長期に渡り試させて頂いていたのでその事について書いてみたいと思います。

お借りしていたレンズというのは
LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. / POWER O.I.S.
です。

https://panasonic.jp/dc/lens/products/leica_dg_vario_elmar_100-400/img/mv_pc.jpg

https://panasonic.jp/dc/products/g_series_lens/leica_dg_vario_elmar_100-400/spec.html

LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. / POWER O.I.S.の主な仕様

このレンズの主な仕様は下記の通りです。発売は2016年3月10日となっており発売から既に6年近く経っているレンズになります。

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35mm換算800mmを実現する超コンパクトシステム

レンズ構成:13群20枚(ED非球面レンズ:1枚、EDレンズ:2枚、UEDレンズ:1枚)

マウント:マイクロフォーサーズマウント/金属マウント

光学式手ブレ補正:搭載(Gシリーズに準じたMODE切換えが可能)

最小絞り値:F22

開放絞り:F4.0(W端)~F6.3(T端)

絞り形式:9枚羽根 円形虹彩絞り

撮影可能範囲:1.3m~∞(FULL)(撮像面から)/ 5.0m~∞(5m~∞)(撮像面から)

最大撮影倍率:0.25倍(35mm判換算:0.5倍)

フィルター径:φ72mm

三脚座:付属

防塵防滴:対応

最大径×長さ:φ約83.0mm×約171.5mm※

質量:約985g(レンズキャップ、レンズリアキャップ、外付け三脚座含まず)

実売価格:16万円前後

外装に関して

鏡筒は金属で出来ていて質感は上々です。レンズフードも金属で出来ていますが、このフードは組み込み型になっており外すことはできません。三脚座は少し変わったタイプを採用しています。多くのメーカーの三脚座はリングごと外すタイプが多いですが、これは三脚座の根元の部分だけが分離する構造となっています。

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この三脚座部分は逆に取り付ける事も可能となっていて雲台に搭載した際の前後バランスを広い範囲でとることができます。

また、ズームをした際にはレンズが伸びる構造となっています。

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テレ端400mm(35mm換算800mm)の状態

レンズにはフォーカスリミッタとAF-MF切り替えスイッチ、POWER O.I.S.(光学手振れ補正)のON/OFFスイッチが配置されています。

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このレンズによる動画作例と描写の感想

あれこれ書く前にこのレンズでの作例を見て頂ければ幸いです。表示モニタがFHDであっても是非4K設定にして最大表示でご覧いただければと思います。

LUMIX G100 +  LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm(三脚使用)

このレンズ思っていたよりも全然いいぞ!?というのが撮った後に思った感想です。というのも、私は以前にマイクロフォーサーズの銘玉
LEICA DG ELMARIT 200mm/F2.8/POWER O.I.S.(以降Leica 200mm F2.8)」+「DMW-TC20(2倍テレコン)」を使って撮影していた事があります。つまりはこの組み合わせは今回お借りした 「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm」のテレ端と同じ35mm判換算800mmの画角を実現するものです。Leica 200mm F2.8の方はテレコンを装着しているとは言えその写り(映り)は単焦点そのもので、キレの良い写りとヌケの良い描写に舌を巻きました。

で、このレンズを借りるまでは流石にLeica 200mm F2.8 + 2倍テレコンの描写に足元にも及ばないよね?と思っていましたがなんのなんの、全然いける。

100-400mmはレンズとある価格情報サイトの口コミではテレ端の描写が甘いと指摘されている事が多いのですが、私が使った感想はかなりマトモな印象を受けました。たしかに300mmのズーム域にに比べて少し解像感は落ちる傾向にあると思いますが、それでも4Kでの動画撮影においては400mm(35mm換算800mm)撮影もなんら問題ないと思います。むしろ動画を見て頂くと分かる通り非常にシャープに映る印象です。

このレンズによるスチル作例

次はスチルの方を何枚か貼っておきます。

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LUMIX G100 SS=1/50 F7.1 ISO640 RAW撮影(手持ち)

f:id:sumizoon:20211228232434j:plainLUMIX GH5S SS=1/320 F10 ISO160 RAW撮影(手持ち)

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LUMIX G100 SS=1/125 F7.1 ISO640 RAW撮影(手持ち)

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LUMIX G100 SS=1/80 F6.3 ISO200 RAW撮影(手持ち)

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LUMIX G100 SS=1/500 F5.0 ISO800 RAW撮影(手持ち)

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LUMIX G100 SS=1/250 F6.3 ISO400 RAW撮影(手持ち)

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LUMIX G100 SS=1/80 F6.3 ISO400 RAW撮影(手持ち)

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LUMIX G100 SS=1/30 F6.3 ISO800 RAW撮影(三脚使用)

とにかく100~400mmという画角は航空機撮影や圧縮効果を使いたい場合には非常に有効なレンズです。特にスチル撮影の場合においてはレンズ内手振れ補正もしっかり働きます。手持ち撮影であってもボディ内にメカニカルな手振れ補正がないG100/GH5Sでもきっちりファインダーに被写体を導入・維持することが可能です。

このレンズの最大のメリット

このレンズの最大のメリットは35mm換算の800mmという超望遠撮影にも関わらず小さな鞄に入ってしまうコンパクトさにあります。これはマイクロフォーサーズの2倍というクロップファクタによってもたらされるものではありますが、とにかく被写体を大きく寄せたい場合にこのレンズは絶大な効果を発揮します。

そして、楽に振り回せる重量もメリットの一つ。例えばG100と組み合わせた際の重量は1.4kgそこそこ。流石に望遠領域での撮影は三脚に載せるのが定石であっても、スチルで十分なシャッタースピードが確保できる場合はその限りではありません。

デメリット

比較的安くてコンパクト、それでいて800mmの焦点距離で非常に使い勝手は良いのですが、いくつか注意点を書いておきたいと思います。
このレンズはテレ端の開放絞り値が6.3であるため夜間での撮影を行う事に関しては不向きです。まぁこれはある程度撮影に慣れた人にとっては言うまでもないと思います。ただし、GH5Sとかで使う限りは真っ暗でない限りは動画での撮影は問題ないかと思います。(G100などの20M機であれば照度が確保できる日中~夕刻までの屋外撮影であれば十分クリーンな動画・静止画撮影を行う事ができます)

次に、動画撮影時の話になりますが、O.I.S.の効きが良い一方で、O.I.S.の揺り戻しが発生しやすいと感じました。パンニング操作を丁寧に行えばこの揺り戻しを抑える事はできますが、飛行機を離陸開始から割と長い尺で撮影した場合などにおいてはきちんとした三脚や雲台を使うのであればO.I.S.はOFFにした方が良いケースがあります。これはユーザーのオペレーションの腕次第で変わると思いますがこの動作に違和感を感じるユーザーは多いかもしれません。

総合的な感想

とにかく、望遠好きにとって換算800mmというのはたまらない画角です。本来フルサイズで撮影する場合においてはその大きさはとてつもないものになりますが、マイクロフォーサーズにおいて800mm画角を実現するためのシステムはちょっとした鞄に放り込めるサイズです。もちろん高画素フルサイズ機を2倍にクロップして使えば同じ様な撮影はできますが、それでもこのフォーサーズシステムよりも小さくなることはありません。

望遠撮影はその重量、サイズから持ち出すのが億劫になりがちですが、このレンズを使うといつでも持ち出せる気軽さがが素晴らしいです。せっかくマイクロフォーサーズをお使いなら LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. を一度体験してみては如何でしょうか。

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筆者:SUMIZOON

Facebookグループ一眼動画部主宰 メンバー4500人

Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人

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