とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

外部モニタでカメラ制御 Portkeys LH5P LUMIX BGH1/BS1Hに最適なモニタ

今回はカメラ周辺機器メーカーのPortkeysさんから外部モニターのLH5Pを提供頂きましたので紹介したいと思います。

Portkeysについて

Portkeysは中国は深センのカメラ周辺機器を設計、製造をしているメーカーです。製品ラインナップの中心は外部モニタですが他にはEVFなども扱っています。

f:id:sumizoon:20211102233426p:plain

https://www.portkeys.com/

中国の外部モニタメーカーと言えば低価格帯のFeelworldを思い浮かべる方も多いかと思います。というのもOEMを含めてかなりの数のFeeelworld製と思われるモニタが発売されているからです。ですが、PortkeysのモニタはFeelworldに比べて少し高いですが、全く別のインターフェースと独自の機能を持ち合わせています。
インターフェースは洗練されている印象で、多くのメーカーのカメラをUSBや無線でコントロールするという技術力を持っているメーカーさんです。

◆直販サイト

www.portkeys.com

◆Portkeys Official Store(Amazon)

www.amazon.co.jp

◆PortKeys LH5P Amazon販売リンク

5.5インチ外部モニタ LH5Pの概要

で本題です。今回提供頂いたPortkeysの5.5インチ外部モニタLH5Pの概要を記載したいと思います。

f:id:sumizoon:20211108214433j:plain

・モニタサイズ:5.5インチ
・液晶解像度:1920 x 1080
・本体重量:250g
・最大輝度:1700nits
コントラスト比:1000:1
・操作系統:タッチスクリーン/物理ボタン
・入力仕様:4096x2160 24p / 3840x2160 24p30p / FHD 60p
・端子類:HDMI入力、HDMI出力、ヘッドフォンジャック 3.5mm
・バッテリータイプ:SONY NP-Fバッテリー
・有線カメラコントロールSony, Canon, Panasonic, ZCAM 
・無線カメラコントロール:SonyA7III, BMPCC4K / 6K / 6K Pro
・その他:3D LUT適用表示
 カラーキャリブレーション対応(Xrite i1 Display Pro)

特徴的なのは最大輝度1700nitであることです。これくらいの輝度があれば屋外の視認性は高く晴天時の日中でもモニタが見えないという事は起き得ないと思います。
また、無線もしくは有線接続を行っての外部カメラコントロールが可能となります。

また、このモニタは工場出荷時に適正な発色となるようにキャリブレーションがされていますが、必要に応じてユーザー側でXrite i1 Display Proを使いキャリブレーションを行う事ができます。

LH5Pの機能について

外部モニタを使いたい方の多くは大きな画面で撮影中の映像を確認したいというものだと思います。カメラの背面液晶はそのモニタサイズからピントを確認しにくく、仮にピーキングを使ったとしてもピントの確認は難しいです。ピントの確認以外にも細かいゴミや映り込んだ被写体を確認するにも外部モニタで見た場合とカメラの背面液晶での視認性は大きく異なります。データをPCで確認した際に「撮影現場では気づかなかったモノが映ってしまっていた」「ゴミが映っていた」なんて経験は多くの人が経験した事があると思います。その際に大きな手助けになるのが外部モニタです。

外部モニタには一般に多くの機能が盛り込まれていますが、LH5Pの主要なものをいくつかリストアップしたいと思います。

ジェスチャーによる拡大縮小

f:id:sumizoon:20211108214544j:plain

デフォルトではONになっていないのでジェスチャーによる拡大表示をONにする必要があります。

f:id:sumizoon:20211109195543p:plain

・ピーキング

言わずと知れたピント合わせに便利なピーキング機能ですが、当然この機種にも実装されています。写真では分かりづらいと思いますが、大型モニタなので視認性は高いです。

f:id:sumizoon:20211108214637j:plain

・波形モニタ

ヒストグラムは付いているけど波形モニタは実装されていないモニタが意外と多いのでRGBの波形モニタで確認したい人には便利です。尚、下図ではカメラ側の情報表示をしているので正確に波形を表示したいという人は情報表示をOFFにするといいでしょう。

f:id:sumizoon:20211109195847p:plain

その他撮影をアシストする機能はショートカットとして画面の左右にアイコン配置をすることが可能です。

モノクロ表示、ガイド、グリッドやクロスヘア、フォールスカラーやゼブラなど多くのアシスト表示に対応しています。

f:id:sumizoon:20211109200253p:plain

・3DLUT表示

最近の外部モニタに実装されているのが3DLUT表示です。所謂Log撮影の際にLUTを当てた状態でモニタリングをすることが可能です。LUTはUSB経由でインストールすることが可能ですので好きなLUTを放り込んでおくのがよいかと思います。

f:id:sumizoon:20211109202303p:plain

LUTの読み込みはUSBポートにUSBメモリなりカードリーダーを差し込んで「USB Looks」を選択すれば読み込み画面となります。取り込みたいLUTをタップしていけばモニタ本体内にストアされる仕組みです。

f:id:sumizoon:20211109202326p:plain

一旦ストアされればUSBメモリが無くてもLUTの適用が可能となります。あとは上の写真の様にLUTを選択するだけです。複数のLUTをストアすることが出来ますので、いろいろなルックを試したいという人には良い機能だと思います。こちらで試したLUTは33点の.cube形式となります。

私の愛用しているLUMIXの場合はカメラ本体でLUTをインストールして表示させる事ができるのですが、.cubeは直接読み込みが出来ず、一旦.vltというビューイングLUTに変換する必要があります。Portkeys LH5Pの場合は一般的な.cubeがそのまま読み込めるのは非常に便利かと思います。

カメラコントロールについて

カメラコントロールはLH5Pのタッチ操作でカメラの主要機能をコントロールする機能です。

私の手元にあるカメラは基本LUMIX GHシリーズとSシリーズですが、それらについての接続検証をしてみました。

尚、販売ページを見るとかなりのカメラに対応している事が分かります。CANONSONYPanasonic、BlackmagicDesignはおろかZCAMやTILTAのフォローフォーカスのにまで対応しておりその対応カメラの数は今の所50以上

f:id:sumizoon:20211103095644j:plain

上の対応表を見ていても、「よくもコレだけ対応したもんだ」と感心します。というのも恐らくカメラメーカーのほとんどはカメラを外部からコントロールするためのプロトコルなどは非公開なはずですので基本はリバースエンジニアリングをして各カメラの通信を解析する必要があるからです。(ある程度メーカー内のそれぞれの機種ではプロトコルが決まってるにせよ、かなり大変だと思います。)
さらにはファームアップでそられの情報は変わってしまう可能性すらあるので、Portkeysのカメラコントロール部のソフトウェアを実装しているエンジニアさんには頭が下がります。というか想像しただけで気が遠くなりそう。。。

f:id:sumizoon:20211109210344p:plain

LUMIXの場合は接続時にPC(Tether)を選択するとカメラコントロールが行える

BGH1/BS1Hで威力を発揮するモニタ

話はLUMIXシリーズのBGH1/BS1Hに移ります。このモニタはこの2つのカメラでは必須アイテムになるんじゃないかと思います。

なぜこれがBGH1/BS1Hに最適なモニタであるのかというと、

・そもそもBGH1/BS1H本体にはモニタが存在していない

・BGH1/BS1Hでは一般的な外部モニタではタッチフォーカスが使えない

・BGH1/BS1HではWiFi接続やPCリモートでは各種設定ができるが、画質がイマイチ

とう背景があります。Portkeys LH5PをBGH1/BS1HにUSB/HDMIで接続すれば高画質なモニタリングとタッチ操作が可能となるわけです。これに関しては友人のエマークさんがここらへんの操作を動画内で実演していますので参考にしてみてください。

ただし、この動画でも紹介されている通りLANを使ったTetherコントロール中はUSBを使ったコントロールとは排他的に処理されるのでLANを使いながらカメラコントロールすることは出来ません。これはカメラの仕様によるものです。

youtu.be

こんな感じで画面にタッチして外部コントロールができます。この部分に関しては所謂LUMIX SシリーズやGシリーズの背面液晶と近い感覚で操作する事ができるのではないかと思います。

f:id:sumizoon:20211103100836p:plain

以前、BS1Hの先行レビューをさせて頂いた時に、外部モニタを使用して撮影したものの、フォーカスの移動やフォーカスONを数少ない本体のボタンやダイヤルで操作しないといけないため、操作に慣れるまで結構な時間を要しました。が、これだと間違いなく感覚的に使いやすいかと思います。

なぜLUMIXのタッチフォーカスはBGH1/BS1Hだけで可能なのか?

この機能、タッチフォーカスはLUMIX GHシリーズやSシリーズでも使いたい機能ですが、現状はISO/SS/F/WBなどの基本的な操作にのみの対応です。これはLUMIX側のソフトウェアの仕様に関係してそうです。というのもBGH1/BS1HはPC上のテザー撮影のソフトウェアはLUMIX Tether for Multicamです。このソフトではカメラ上の全てのメニューにアクセスが可能です。というかメニューそのものをPCでコントロールし、加えてマウスクリックでフォーカスするという仕組みです。その機能をうまくLH5Pが使っているためなのでしょう。

BGH1/BS1Hの外部RAW収録時に使えるのか

BGH1/BS1Hの外部RAW収録時に使えるのかについて少し推測してみたいと思います。

そもそもBGH1/BS1Hで外部RAW収録のためにはATOMOS NINJA V(以降NINJA)/ Blackmagic Video Assist(以降VA)の接続が必須です。

まず、BGH1/BS1HのHDMIからの動画RAW出力時にはこのモニタでは映像が受けられないはずなのでRAW出力時には使えないハズです。というかRAW出力時にカメラにPortkeys LH5P(だけ)を接続しても何も意味がありません。

でも、RAW収録時でもタッチフォーカスなりタッチ操作で露出をコントロールしたいというのが私の思う所。ではそれが可能になるのか否か。

RAW収録時でもその収録機器であるNINJA / VAからのHDMIスルーアウト自体は通常の映像信号が出てくるので、それらをPortkeys LH5PのHDMI入力に接続すれば映像自体はLH5Pでもモニタ出来て、かつUSBでのコントロールが可能になる「可能性がある」と思っています。

てなわけで簡易的に下記の接続を実験してみました。

HDMIの接続はLUMIX S5(HDMI RAW出力)→ VideoAssist → Portkeys LH5P

USBの接続はPortkeys LH5P↔LUMIX S5

という接続です。

f:id:sumizoon:20211109204122p:plain

この時LUMIX S5の外部モニタはS5の仕様上OFFしてしまいますが、USBのコントロール自体は可能となります。そしてISO/SS/F/WBのコントロールが可能かつ、現在の設定が確認可能な状態となります。

という事は、同じような接続ができればBGH1/BS1HのRAW収録の際に設定をモニタリング、コントロールしつつRAW収録できるんじゃね?という気がするのです。

まぁ、BGH1/BS1H→外部RAW収録機器(NINJA/VA)→Portkeys(LH5P)という接続をすると5インチ級のモニタが2台接続される状態となってしまうので、そんな使い方する人は極めて稀だと思いますが、これは是非試したいよねぇ。

BS1Hをお借りしている時にこれが検証できれば良かったのですが時すでに遅し。どなたか人柱になってください。(出来なくても責任は負いかねますm(__)m)

LUMIXでの注意点

LUMIX GH5/GH5S/S5のケース

LUMIX GH5S/S5での接続検証をする限り、HDMI/USBの両方を接続してTether撮影モードにした場合は本体の液晶モニタが強制OFFします。この時カメラ本体側の液晶自体の電源が落ちている状態ですのでカメラ側のタッチ操作も無効となります。

故に、カメラの設定系や情報表示は予めONにしておく必要があります。(SS/F/ISO/WBの設定以外をしたいと思っても出来ない状態に陥るためです。)

f:id:sumizoon:20211109205120p:plain

S5/GH5Sでは残念ながらカメラのモニタがOFFする

カメラの設定はカメラ側の液晶で確認、外部モニタではクリーン出力で撮影に集中する、必要に応じて外部モニタのタッチ操作で露出を変更するという使い方を想定している方もおられるかと思いますが、残念ながらLUMIX GH5S/S5ではこういった使い方は出来ません。これはLUMIX側の仕様に起因するものですが、おそらくGH5も同じだと思います。もしかするとGH5M2あたりは仕様が異なるかもしれません。

LUMIX S1Hのケース

LUMIX S1Hの場合はUSB/HDMIを挿した状態でも液晶モニタは表示され続けます。ここらへんがプロ機との違いかもしれません。

f:id:sumizoon:20211109205406p:plain

S1Hの変態的な接続例 理想のシステム?

ただし、最新ファームウェアとの相性が悪いため、一つ前のバージョンでのコントロールを確認しています。上図ではVideo Assistを挟んでしまっていますが、S1HとLH5PをHDMI/USBで接続してもカメラ本体の液晶がOFFすることはありません。これが理想よね。

まとめ

おそらく接続するカメラの種類にによってその使い勝手は大きく変わるものと思います。撮影中のコントロールがSS/ISO/F値/WBしかしないという人にとっては本体液晶がOFFしてもなんら差し支えは無いと思いますし、このモニタを使うことによって利便性視認性は大きく向上すると思います。

また、今回は実際に試すことができませんでしたが、BGH1/BS1Hの場合のタッチを使ったメニュー操作が本当に可能なのかは是非試してみたいと思います。

仮にそれができなくてもカメラコントロール(ISO/SS/F値/WB)ができるのは間違いないのでBGH1/BS1Hのモニタとしては現存するモニタの中で一番適していると言えると思います。

◆直販サイト

www.portkeys.com

◆Portkeys Official Store(Amazon)

www.amazon.co.jp

◆PortKeys LH5P Amazon販売リンク

筆者:SUMIZOON

Facebookグループ一眼動画部主宰 お陰様でメンバー4500人突破間近

Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人

↓よかったらチャンネル登録して下さいね~

 

f:id:sumizoon:20200713234902p:plain