MacBook Pro M4のバッテリーの持ちは尋常じゃない。M4に限らずAppleがAppleシリコンを採用してからというもの事あるごとに耳にしてきた話です。
M1搭載のMacBookは驚異的なバッテリーの持ちで話題になりましたが、特に今のM4チップ搭載のMacBook Pro M4はそれを上回るバッテリーの持ちとされています。
Apple公式サイトMacBook Pro M4ページより
新しいMacBook ProのバッテリーはMac史上最長の駆動時間を実現。最大24時間も使えます。しかも高速充電により、約30分で50%まで充電可能です。電源に接続しなくても、すべてのモデルが変わらないパフォーマンスを発揮。だからバッテリーについての心配が減り、大切なことに取り組む時間が増えます。
https://www.apple.com/jp/macbook-pro/
測定条件:24GBのRAMと1TBのSSDを装備した10コアCPU、10コアGPUのApple M4搭載14インチMacBook Pro試作モデルを使用し、2024年8月から10月にAppleが実施したテスト結果によります。ワイヤレスインターネットのバッテリー駆動時間のテストは、Wi-Fiに接続した状態で、25の一般的なウェブサイトを閲覧して実施。ビデオストリーミングのバッテリー駆動時間のテストは、Wi-Fiに接続した状態で、1080pコンテンツをSafariで再生して実施。ディスプレイの明るさを最低輝度から8回クリックし、キーボードのバックライトをオフにしました。バッテリー駆動時間は使用条件と構成によって異なります。詳しくはapple.com/jp/batteriesをご覧ください。
また、MacBook Airもそのバッテリー駆動時間は18時間とその数値は驚異的に思えます。
Apple公式サイトMacBook Air M4ページより
一日中フル稼働できるバッテリー。MacBook Airは最大18時間使えるバッテリーを内蔵。さらに、約30分で最大50%充電できる高速充電にも対応※。だから、バッテリーを気にすることなく、どんな作業でもパワフルにこなせます。
https://www.apple.com/jp/macbook-air/
測定条件:10コアCPU、8コアGPUのApple M4搭載13インチMacBook Air試作モデルと、10コアCPU、10コアGPUのApple M4搭載15インチMacBook Air試作モデルを使用し、2025年1月にAppleが実施したテスト結果によります。すべてのシステムに16GBのRAMと256GBのSSDを実装。ワイヤレスインターネットのバッテリー駆動時間のテストは、Wi-Fiに接続した状態で、25の一般的なウェブサイトを閲覧して実施。ビデオストリーミングのバッテリー駆動時間のテストは、Wi-Fiに接続した状態で、1080pコンテンツをSafariで再生して実施。すべてのシステムで、ディスプレイの明るさを最低輝度から8回クリックし、キーボードのバックライトをオフにしてテストを実施しました。バッテリー駆動時間は使用条件と構成によって異なります。詳しくはapple.com/jp/batteriesをご覧ください。
- カタログスペックに比べて実際はどうなのか?
- 測定開始するもマジでバッテリーが減らない...
- 結果(バッテリー残量ゼロになるまで31時間15分)と考察
- 実際は作業・モニター輝度によってバッテリーの持ちはかなり違う
- ほとんどのケースで電源からの解放されるMacBook Pro M4
- まとめ
- 追記(電力測定自作アプリについて)
カタログスペックに比べて実際はどうなのか?
では、実際にどれだけバッテリーが持つのかをためしてみたいと思います。
計測に使ったMacBook Pro M4のスペック
まず、私の手元にあるのはMacBook Pro M4 10core/ 10GPU メインメモリ16GB/SSD512GBモデルです。(先に記載したApple公式の評価条件は24GB/1TBモデルです)
公式には記載されていませんが、このモデルのバッテリー容量は72.4Whとされています。また、先日導入したばかりなのでバッテリーの劣化は全くないものと思います。
MacBook Pro M4 14インチ
MacBook Pro M4の設定と想定される作業
・動画を再生(FHD/H.264コーデック 5Mbps)
・モニター輝度は最小から輝度上昇ボタンを最低輝度から8回クリック
・Wi-Fi:ON
・キーボードバックライト:ON
・バッテリー使用時はディスプレイを少し暗くする:OFF
Apple公式の測定方法よりも少し厳しい条件ですが、これは室内で軽いテキスト入力をしながら動画を見るということを想定しています。実際はテキスト入力しながら計測するのは難しいので動画再生のみでバッテリーの減りを計測しています。テキスト入力よりも動画再生のエネルギーの方が支配的なのでこの方法で概ねバッテリーの持ちを推測することができる。という考えになります。(ただ、この考えは後述する実験でそこそこズレがある事が分かりました)


計測前:左 / 計測時:右
デフォルトのバッテリー使用時はディスプレイを少し暗くするをOFFに設定
モニターの解像度は1800x1169
ディスプレイ輝度は最低状態から輝度調整キーを8回押した状態の輝度


その他スリープに移行しないように上記設定に変更(右が変更後)
測定開始するもマジでバッテリーが減らない...
測定開始はお昼の12時 バッテリ残量100%
動画再生を開始してバッテリーの減りを見ていきますが本当にバッテリーの減りが遅い。
測定開始後4時間50分 バッテリー残量91%


測定開始4時間50分後のバッテリー残量は91%
実に10%弱しかバッテリーを使用していない表示。意味がわからないくらいに残量が残っています。このままだと測定終了までかなりの時間を要してしまいますのでもう少し厳しい条件で測定すればよかったと、この時少し後悔しました。
測定開始後9時間 バッテリー残量78%


測定開始9時間後でバッテリー残量が78%
こりゃ朝になっても終わらない勢いです。朝になり出社する前に電気を消して自然光だけで撮影を続けました。流石にAppleの公称24時間を超えることはないやろと思い測定開始後31時間経った夜19時に見ると。。。
まだ動いている。。。。
測定開始後31時間12分 バッテリー残量1%
というわけで、せっかく31時間も動画を撮ったのでエビデンスとして残しておきます。
なお、映像ソースとして使ったのは自身で撮影編集した自主制作映画です。余談ですが、気合を入れて制作した割には再生が回っていないので是非ついでにご覧いただけると幸いです。2:50までは飽きるかもしれませんが、そこから本編な動画となっております。
結果(バッテリー残量ゼロになるまで31時間15分)と考察
結果は上記の動画の通り31時間15分。驚異的という言葉はあてはまるかと思います。
後述しますが、この時の消費電力は2.5W以下と推測されます。これはM4プロセッサのハードウェアデコードが働いているため極端に電力が少ない状態になっているはずです。MacBook Pro M4の無負荷時のモニター8段階の状態だと概ね1.8W程度、つまり700mW程度の電力でFHDの映像をデコードしていることになります。
なお、この計測をして思ったのはSSDにある比較的10分程度の短い動画をループ再生しているためAppleの公称24時間を軽く超えてしまったという可能性はあります。またWi-Fiを使っていないという点も結果に大きく影響していた可能性があります。
そこで少し定量化したいと思います。Macにはバッテリーの電流をモニターすることができます(今回は手法を割愛しますが、またしても自作スクリプトで対応しました)。それを使って少し計測してみました。
実際は作業・モニター輝度によってバッテリーの持ちはかなり違う
今回はいくつかのユースケースに分けて電力を算出してみました。
まず、FHDをループ再生したときのスクリプトで取得した電力は1分平均で2.5W、MacBook Pro M4 14のバッテリー容量は72.4Whなので誤差こそあれ30時間近い駆動ができた事実と乖離はありません。よってスクリプトがそれなりに正しく機能しているという前提で話を進めます。なお、消費電力は映像ソースの輝度に大きく依存するので結果はあくまで参考値としてご覧ください。
とりあえず、想定できる下記の状態を考えます。
・MacBook単体でSSD内の動画をQuickTime上で再生(モニター輝度中間:8)
・MacBook単体でSSD内の動画をQuickTime上で再生(モニター輝度最大:16)
・MacBook単体でNetflix動画をChrome上で再生(モニター輝度中間:8)
・MacBook単体でNetflix動画をChrome上で再生(モニター輝度最大:16)
Netflixを視聴しつつ電力をモニタ
(映像の輝度によってかなり振れ幅がある)
・MacBook Pro(モニター輝度中間:8)Chromeにてブログを執筆 + FHD 15.6インチモバイルモニター(モニター輝度70%)でNetflix視聴
・MacBook Pro(モニター輝度中間:8)上でDaVinciResolve 8K 420 10bitプレビュー + FHD 15.6インチモバイルモニター(モニター輝度70%)でタイムライン表示
上記の使用状況で得られた実測電力をベースに何時間バッテリー駆動できるのかを算出したのが下記になります。


左:モバイルモニターで動画視聴、本体でブログ執筆
右:モバイルモニターでタイムライン表示、本体でフルスクリーン表示 素材は8K
表:電力の測定結果とバッテリーの駆動時間(推定)
モバイルモニター |
平均電力 |
推定バッテリー 稼働時間 |
|
輝度中間 (SSD内動画視聴) |
不使用 |
2.49W |
29.08時間 |
輝度最大 (SSD内動画視聴) |
不使用 |
7.11W |
10.18時間 |
輝度中間 (Netflix動画視聴) |
不使用 |
3.72W |
19.46時間 |
輝度最大 (Netflix動画視聴) |
不使用 |
7.62W |
9.5時間 |
輝度中間(ブログ執筆) |
輝度70% (Netflix動画視聴) |
8.77W |
8.26時間 |
DaVinci Resolve プレビュー(8K) |
輝度70% DaVinci Resolve タイムライン表示 |
16.89W |
4.29時間 |
流石にモバイルモニターの電源をMac側からUSB-Cで供給しつつ、DaVinci Resolveで8K動画をプレビューするとなるとかなりの電力を消費することがわかります。仮にずっとプレビューを続けるのであればバッテリーは5時間は持たない計算になりますが、実際の編集で再生をそれだけし続けるということは無いでしょうから、6時間くらいはモバイルモニター環境でバッテリー駆動できそうです。
なお、ブログ記事を執筆しながらモバイルモニターでNetflixを視聴する程度であれば8時間以上の駆動ができます。まぁ、モバイルモニターを使うようなシチュエーションでは電源が確保できないケースは少ないでしょうけどこれは、軽作業であればデュアルモニター環境でも半日作業をしていて電源がほぼ要らないと言って差し支えないと思います。
なお、使用したモニターは下記のものですが、15.6インチの8000円程度で手に入るものは基本的に中身は同じと推測されるのでどれを買っても同じと思います。
モバイルモニタとして快適に使うにはいくつかポイントがあるので下記記事を参考にしてください。
ほとんどのケースで電源からの解放されるMacBook Pro M4
思えば、私が普段本業の仕事で使っているWindowsのノートPCは4つの会議が連続する場合はバッテリー残量がゼロになるくらいにバッテリーの持ちが悪いのですが、MacBook Pro M4で同じ使い方をすればバッテリーの残量はほぼ減らないと言うことになります。
また、私が少し前までつかっていたMacBook Pro 2019 16インチはバッテリーがかなり劣化してきたということもありますが、かなり駆動時間が短く、とても半日の作業をACアダプタなしで行うことはできませんでした。
以前使っていたMacBook Pro 2019 16インチモデル
バッテリーの劣化と電力の大きさからACアダプタの携帯は不可欠だった
これらを比べると、MacBook Pro M4のバッテリーの持ちは驚異的といって差し支えないかと思います。また、発熱に関してもFHD動画再生であればほんのり暖かくなる程度です。
MacBookの快適性は高速な処理速度だとも言えますが、それ以前に「バッテリーがおかしいほど持つ」につきます。つまり、極端に負荷がかかる作業を行うのでなければ、1日仕事をするくらいの作業はACアダプターをもっていかなくても十分作業ができる。と言うことになります(十分に充電されていることが前提)。
まとめ
ウチではMac STUDIO / iPad ProがあるおかげでAppleシリコン搭載のMacBookの導入はつい最近まで先延ばしをしてきましたが、正直もっと早く導入してもよかったと思います。
導入が遅れた私が言うのもなんですが。。。Intelチップを搭載したMacBookをお使いの方は、バッテリーの劣化と消費電力の高さでかなり短いバッテリー駆動時間を強いられていると思いますが、駆動時間観点でみると早いことAppleシリコンMacBookに移行したほうが良いと思えるくらい快適です。もしくはバッテリー交換をするかですが、特別な理由がない限りそこそこの値段で売却できる今のうちにさっさと買い換えた方がよいかもしれません。
また、MacBook Air M4 13インチは53.8Whの容量です。これはMac Book Pro M4 14インチの72.4Whに比べて約25%少ないですが、それでも前述と同条件の使い方をするのであれば上記表の75%の時間は連続駆動できると推測されます。
いずれにせよ事務作業や動画閲覧であればデュアルモニター環境でも8時間以上連続稼働できるのは嬉しい限りです。
追記(電力測定自作アプリについて)
上記電力測定は、自作(とは言ってもかなり生成AIのお世話になっていますが)のプログラムで測定しています。当初はターミナル上でCLIにより電力を測定していましたが、可視化できるようにプログラムを変更しています。アプリ名はベタですがMacWattGraphとしています。
MacWattGraphプログラム実行のイメージ
いくつか概要を書いておきます。
・本プログラム実行による一切の責任を負いません。
・バッテリー駆動の場合のみ動作する仕様です。
・電力測定はリアルタイムというよりも最大60秒ほど遅れて電力が測定される状態となっています。
・右上にバッテリーの残り時間までの予測を記載していますが、これもかなり精度が出ていない可能性があります。
・(定量化は行なっておりませんが)電力には一定の誤差が生じている可能性があります。
・当方のMacBook Pro M4+macOS sequoia 15.6以外での実行は確認していません。・今のところ継続的にメンテナンスするかは未定です。
本プログラムの評価にご協力いただける場合は、グラフ表示がまともにされるか、残り時間が妥当な数値として表示されるかのフィードバックを頂ければ幸いです。
SNS宛に@sumizoonをメンション頂いても結構ですし、Readmeに記載のメールアドレスに連絡いただいても結構です。
一旦のダウンロードリンクは下記の場所
としております。よろしくお願いいたします。
筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人
2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。