とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

4月3日 フォーサーズの日に思ったこと

この記事を書き出したのは2025年4月3日。フォーサーズの日でした。いつからフォーサーズの日と言い出したのかはわかりませんが、とにかく4/3はフォーサーズの日です。

4/3に公開するつもりが疲れて寝落ちして気づいたら4/4そして完成せず4/5になっていました。

ちなみにマイクロフォーサーズフォーサーズという言葉を区別してない人も多いと思いますが、そこらへんの詳細な話は「メンドクサっ」と思われるのでやめときます。
(今の世の中、フォーサーズセンサーを搭載して販売されるミラーレスカメラはマイクロフォーサーズ機ですが、センサーはフォーサーズです。とか書いても「だから?」とかうだうだ書いても「だから?」と言われるよね。。。)

世界初のミラーレス LUMIX G1

世界初のミラーレスカメラが生まれたのは2008年10月の話。実に今から16年半前の話。今販売されている全ての一眼カメラの原点がこのLUMIX G1と言えると思います。

世界初のミラーレスカメマイクロフォーサーズ機「LUMIX G1
2008年10月発売

当時私はG1を「一眼の形をしたオモチャのようなカメラ」という印象を持っていました。質実剛健ボディのEOS 5Dに比べるとかなり安っぽいボディでやたら小さい。店頭で手に取ったものの結局購入には至りませんでした。なお、当時の販売価格はなんと8万円。時代が違うとはいえ、カメラの価格は当時非常に安かったのです。

このG1ですが、一眼レフ「フォーサーズ」のセンサーをミラーを取っ払って電子ファインダーにして、フランジバックを短くして、一眼レフの写りはそのままに小型化を実現したカメラといえます。

ただ、一眼レフが採用しているAFシステム(位相差AFセンサー)がないため、動きもののに弱いという側面がありました。(まぁ、動き物に弱いという部分はLUMIXの中でも長く続くわけではあるのですが。。。)

一眼レフが大きく重く感じていた人たちに深く刺さった製品ですので、G1を今でも持っているという人はいるかもしれません。ですが、多くの個体の表面は加水分解していて結構ベタベタかなと思います(笑)。

小さいことを是とする考えと大きいことを是とする考え

マイクロフォーサーズの記事の話ではありますが、他のマウントを含めて少し全体的な話をしておきたいと思います。

今のミラーレスカメラの一つの流れは、センサーは大きい方がいい。そしてボディは小さいほどいい。という流れがあります。もちろんその考えは全てに当てはまらないのですが、すくなくともソニーαシリーズはその流れを汲んでヒットしている製品群だという認識です。今でこそαシリーズはジワジワと大きくなってきていますが、私が初めて手にしたαは衝撃的な大きさでした。そもそもマウントがボディから飛び出しているデザインです。

筆者が初めて手にした EマウントAPS-C機 「NEX-5N
2011年9月発売

当時私のレフ機(EOS-5D)をもって撮影することが多かったのですが、小さいカメラでも一眼クオリティで気楽に撮れるという事に感動を覚えたものでした。
同時期に使っていたもう一つのカメラはLUMIX GH2。このブログでも何度も紹介していますが、この時代の金字塔を打ち立てたカメラです。

映像制作で大活躍したマイクロフォーサーズ機「LUMIX GH2」
2010年10月発売

FHD解像度、フレームレート24fpsであれば今でも通用する画質です。特に当時うん百万した映画撮影用のカメラよりも画質が好ましいというブラインドテスト結果もあります。
1-300さんが、当時のコメントを残されています。当時このコメントを興味深くみていました。当時黄色いブログに予想をARRI Alexaに対しての同情票はあったと思いますが、それでも肩を並べるというのはすごい事です。また、当時のブラインドテスト予想で黄色いブログの主要メンバーが絵を見てGH2だとわかっていたのも面白いところです。

とはいえ、この時代はまだフルサイズミラーレスカメラがなかった時代。後にSONYがミラーレスカメラにフルサイズセンサーをぶち込んだα7シリーズを連発する流れになっていきました。冒頭で書いた「センサーは大きい方がいい、そしてボディは小さいほどいい」という流れの始まりです。それが2013年の話です。

2013年10月発売 Eマウントフルサイズ機「SONY α7」

センサーが小さい事がデメリットかメリットか?

さて話をマイクロフォーサーズに戻します。マイクロフォーサーズ機に搭載されているフォーサーズセンサーは、ざっくり言うとフルサイズの半分の大きさです(面積はざっくり1/4)。このセンサーサイズのため、レンズを含めたトータルシステムが軽量になるということは多くの方が認識している通りです。
一方で、センサーサイズが小さいことによるボケ感の少なさやS/Nが劣る部分をネガティブに捉えられがちです。ですが、照度がある条件であれば超コンパクトなシステムで下記のようなフルサイズでは撮るのが億劫になる映像や写真を撮ることが可能です。

マイクロフォーサーズはノイズが。。。という声

一方で、私のよく撮影する伊丹空港で、マイクロフォーサーズを使っている人は、夕刻を過ぎると「マイクロフォーサーズじゃこの時間帯は撮影できない!」という声を何度も聞いたことがあります。確かに、フルサイズと同じF値の軽量なシステムで撮影しつづけた場合には極端に暗い中での撮影はフルサイズに比べしまうと不利です。限界領域になったときにその差は現れるからです。ですが、その限界領域を引き伸ばすことはレンズの選択によっては十分可能です。

マイクロフォーサーズはボケが。。。という声

また、ポートレートを撮影していて、マイクロフォーサーズを使っている人は、「ボケ感が足りない。。。」と言う声を聞くことがあります。ですが、フルサイズで85mm F1.8で撮影した場合と、マイクロフォーサーズに42.5mm F1.2をつけた場合のボケの大きさは18%程度しかありません。さらに、先日紹介した方法だと、フルサイズ85mm F1.8を16%大きいボケを実現することができます。

sumizoon.hatenablog.com

先日公開した驚異的な?ボケ表現のマイクロフォーサーズ映像(G9PROIIで撮影)

フルサイズを超える低照度撮影とフルサイズを超えるボケを実現する2つのケースは、マイクロフォーサーズのトータルシステムとして軽量であるという部分を、ある意味捨てて実現するものですが、低照度撮影やボケが必要なケースに応じてレンズを使い分けるので、条件が良ければ望遠では100-400mmや12-60mmのような超軽量システムでの撮影でフルサイズを超えるような写真・映像品質は可能です。例えば、下記の映像は超軽量なシステムで機動力重視で撮った物です。

要は軽くも撮れるし、フルサイズ並みのボケや極端な暗所撮影だってイケる。という選択肢がマイクロフォーサーズにはあるというのを書きたかったのでした。
でも、本当に書きたかったのは下記。

システム軽量化以外のメリット

マイクロフォーサーズのメリットはセンサーサイズが小さいことによるシステムの軽量化はわかりやすいところですが、実は、私は高速撮影マイクフォーサーズの1番のメリットだと考えています。

センサーが小さいことはそれだけ、半導体設計上のメリットが生まれて、高速撮像を実現しやすいからです。下のS1RIIを使っている森脇先生を撮影する日は降雪が予想されたので、私の中ではマイクロフォーサーズ一択でした。というのも、雪を印象的に映すカットを織り交ぜたかったので、240fpsが、できれば300fpsが欲しいと考えていました。

先生の言葉がコンテンツのメインではありますが、映像として目に止めてもらうというのも一つの目的ですので、そうしたカットを織り交ぜたかったという観点から、マイクロフォーサーズを選択しています(Shot on s1RIIと記載した映像、写真以外はほぼG9PROIIでの撮影)。

ここぞという場面のスローは今現在、マイクロフォーサーズを超える機種はありません。もちろんS1RIIの様に暗いレンズでも4K120pが撮れるというメリットはあるのですが、LUMIX GH6/GH87/G9PROII以外で300fpsを実現しているミラーレスカメラは無いのです。
しかも値段も4K120pが撮れるフルサイズ機よりも圧倒的に安い。

結局マイクロフォーサーズという名前は正解だったのか?

以下、これを書くと各所から怒られるかもしれないけど。。。。。

そもそも「マイクロフォーサーズ」ですが、その名前の印象からして、実はその命名はあんまりよくなかったのでは?と思ったりします。
世の中に溢れる名詞としてマイクロという接頭語がつくものがネガティブとは言えませんが、たとえばミニとかリトルとかマイクロという言葉の中には

・ミニカー
・マイクロ企業
・リトルリーグ
ミニゲーム

などがあります。私はこれらに別に悪い印象は持たないのです、下位に位置していて、上位がある印象をうける言葉たちです。もちろん、マイクロフィルム、マイクロプローブなど小さいからこそ素晴らしいという印象をうける言葉もありますが、マイクロフォーサーズという「マイクロ」はカメラ業界にとって少しネガティブな名詞として捉えられていないか?という思いが私にはあります。

予備知識がない人に対して、「このカメラはマイクロフォーサーズのカメラなんです」と言ったら、なんかよくわからんけど「下位のカメラ」として認識される傾向にあるのでは?という懸念です。事実マイクロフォーサーズは先代のレフ機であるフォーサーズと同じサイズのセンサーを搭載しミラーレス化した流れですので、フォーサーズの弟分的な名前の付けられ方をした可能性もあります。

そして、パナソニックにその意図があったかどうかはわかりませんが、マイクロフォーサーズ機の発売以降、世の中の全ての一眼カメラはミラーレス化に向かいました。

ミラーレス化自体はパナソニックフォーサーズ陣営)に先見の明はありましたが、もしかすると名前の付け方によってはいまと少し違う別の未来があったのかもしれないよね。と思わんでもない。

だったら、どんな名前だったらカッコいいのか。ChatGPTに聞いてみた結果が下記。

1. Neo Four Thirds(ネオ・フォーサーズ
はい、ベタです。でも「ネオ」をつけるだけで20%未来感がアップ。進化した印象に。なんか“次世代の標準”って感じがするでしょ。

2. FourThirds X(フォーサーズ・エックス)
“X”をつけると人間は勝手に「高性能」って思い込むんですよ。ソニーも富士もX付けまくってますし、仲間入りしたらどうですか。

3. Alt FourThirds(オルト・フォーサーズ
Alternative」の略。“王道ではないがこだわりの選択”みたいなブランド思想を感じさせる。ニッチに刺さりたいならこれ。

4. Fusion FourThirds(フュージョンフォーサーズ
写真と動画、軽さと画質の融合。テクノロジー感もあり、マシンの進化っぽい響きも。名前にしてはちょっとエナジードリンクっぽいけど。

5. FourThirds Visionフォーサーズ・ヴィジョン)
“ビジョン”とか言っとけば、だいたい何でもかっこよく見える魔法の単語。未来を見据える、映像美、的なやつ。

6. FourThirds Nova(フォーサーズ・ノヴァ)
「Nova=新星」。新しい世代の誕生感。スペースっぽくて厨二心にもアピールできる、ちょっと危険なネーミング。

7. FT Aura(エフティー・オーラ)
これはもう、「フォーサーズ」って言わずに略称+洗練ワードで攻めるタイプ。Auraで雰囲気と高級感を匂わせる。

8. FourThirds Edge(フォーサーズ・エッジ)
“エッジ”って言っておけば「シャープな性能」と「攻めたデザイン」の両方に聴こえる。企業も人もそうありたいですよね。…たぶん。

ChatGPT

ChatGPTさん、アンタ面白いよ。でも、やっぱりマイクロフォーサーズで正解だったのかもしれん。

筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人

2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。

 

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